特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第52話 【王都帰還・4】

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「へ~、これが会員カードなんだね。結構、作りがしっかりしてるね」

「ありがとうございます。王様達もかなり気に入ってくれたデザインなので、悩んで作った甲斐があります」

 翌日、俺は久しぶりに冒険者ギルドへとやって来てレインさんにも会員についての話をしに来た。
 レインさんもなんだかんだ俺のせっけんは気に入ってくれており、会員なると限定の商品が買えると聞くと直ぐに入会すると言ってくれた。

「それにしても、この会員だけど上限は何人決めてるの?」

「そうですね。多すぎても管理が難しいので、最初は100人まで決めてます。その内、10枠は今の様に事前に説明して入る人達の為にとってある感じですね」

 そうは言っても、俺の知り合いで10枠は埋まりそうにはないのが現状である。
 今の所、会員になってくれたのはアリシアさんとノアさん、王様と王妃様にラントリス家の夫妻、そしてエドガーさんとレインさんの8人だ。
 残り二枠残っているが、月額制というのもあってリンさんやロンさんにも商会はしたが辞退された。

「リン君達も入りたいとは言ってたけど、値段的に厳しいみたいだったね」

「そこは仕方ないですよね。安くしたとしたら、既に入ってくれてる方達にも申し訳ないですし、安くしてしまうと公表した際に狙ってる客層が会員になれない可能性もありますから」

「確かにそうだね。まあ、僕が購入したせっけんはギルドに置いて職員が使えるようにしておこうかな」

「一応容量は沢山入ってますけど、流石にギルドの職員数の事を考えると直ぐに無くなると思いますよ? 月に何度も売れない商品なので、無くなったからといって大量には買えないので……」

 そうレインさんに言うと、悩んだ様子で「自宅で管理する事にする」と考えを変えていた。
 その後、ギルドを出た俺は久しぶりに商業区で買い物に出掛けた。
 ここ数日、料理にはラントリス領に行く前に大量に購入した物を使っていたが、流石に在庫が無くなったので補充をしないといけなかった。

「あっ、クリス! 凄く久しぶりだね」

「エマ。元気にしてるみたいだね。暫く王都を離れてたんだよ」

「そっか、冒険者だから外に行く機会もあるもんね。どんな事しにいったの?」

「他の街の復興支援だよ。土砂の片付けしたり、家を建てたりしてきた」

 俺がそう言うと、エマは首を傾げた。

「クリスって戦闘スキルもあるのに、大工の様なスキルも持ってるの?」

「手には入れたね。ここだけの話、成長系の能力を持ってるから」

「わ~、いいな~」

 エマは俺が成長系の能力持ちと知ると、羨ましそうな視線を向けて来た。
 ここで俺はエマがどんな能力を手に入れたのか聞くと、エマは生産系の能力持ちだと知った。
 それも俺がせっけん作りをしてる際、手に入れた【調合】と【調薬】を持っていると分かった。

「俺がせっけん作りで多用してるスキルだな」

「そうなの? 私も最初はポーションとか作ろうと、ここで働いたお金で頑張ろうとしたんだけど、一人じゃ難しくて……クリスはどうやって勉強したの?」

「勉強らしい勉強は特にしてないな……せっけんが欲しくて、最初は冒険者ギルドの作業場でせっけん作りをして、商品として出すってなってから知り合いの作業場で作り始めたから」

「才能の差、だよね……」

 俺の話を聞いたエマは落ち込み、溜息を吐いて悲しそうな表情を浮かべた。
 俺はそんなエマを見て、最近のせっけん作りの忙しさと他の孤児院仲間の事を思い浮かべある提案をした。

「エマ。俺の店で働くか?」

「えっ、クリスのお店で? それってせっけんの販売をしてるお店だよね。私に出来る事ってあるの?」

「今の話を聞いて、せっけん作りの助手をしてもらおうかなって、他の孤児院組もようやく仕事らしい事が出来るようになってきたタイミングだし、あいつ等ともエマは仲がいいだろ?」

 ノアさんの頼みで雇う事にした孤児院組も、最近はようやく仕事らしい事が出来るようになって来た。
 その為、今から入ってもそこまで差は無いし、何よりその孤児院組とはエマも親しい仲だ。

「私としては凄く嬉しいけど、クリスの迷惑じゃないの?」

「別に店は上手くいってるし、エマが成長すれば俺の負担も少しは減ると思っての提案だ。あっ、でも折角雇ってくれてるここの人には引き抜く形になるし、ちゃんと話した方が良いか?」

「そこは大丈夫だよ。言ってなかったけど、したい仕事があれば数日で辞めれるようにしてくれてるんだ」

「そうか、でも結果的に見れば引き抜く形だしちゃんと挨拶をしておきたいな」

 その後、エマに頼んで奥で仕事をしていたお店の店長のおばさんに事の経緯を説明した。
 すると、おばさんは俺の店を知っており、エマの事を清く送り出してくれた。
 ただエマのしていた仕事も大部分あり、流石に即日と言う訳にも行かず数日間だけ店で引継ぎをしてから俺の店に来る事になった。

「これでエマが成長すれば、多少は俺の仕事も楽になるだろうな。というか、せっけんで難しいのはスライム液を混ぜ合わせる段階だからそれ以外を任せられるとしたら、かなり効率が上がるよな……」

 俺はそんな事を考えながら、どうやってエマを育成していくのか考えながら帰宅した。
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