特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第59話 【嫌いな相手・3】

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 それから数日後、ダント達の事を警戒しつつ生活をしていた俺は依頼に向かう途中。
 王都の外に向かおうとしてる際、後ろから気配を感じ取った俺は気付かない振りをして森の中へと入った。

「まさか、こんな風にしてくるとは思わなかったよ。どうして、そこまで執拗以上に俺を狙うんだ?」

 そう俺は声に出して言うと、後ろから近づいていたダントとその子分達が現れた。
 手にはしっかりと武器を持っており、ダントを含めてその場にいる奴等から殺気も感じた。

「狙う理由? そんなのお前がうざいからに決まってるだろ?」

「うざいからって、そんなに関わってないだろ……」

 ニヤニヤと笑みを浮かべながら言ったダントに対し、俺は溜息交じりにそう言葉を返した。
 その俺の言葉と同時に、向こうの子分の一人が俺に向かって矢を放って来た。
 俺はその矢を魔法で撃ち落とすと、それが戦いの合図となり攻撃を仕掛けて来た。

「なッ!? 待てや、この野郎ッ!」

「待つわけないだろ、こんな大勢を真面に相手する方が馬鹿だっての!」

 攻撃を仕掛けて来たダント達に対し、俺は勢いよく走り出して逃走した。
 そこからは俺とダント達との鬼ごっことなり、俺は森の中を走り回ってダント達から逃げ。
 いい感じに距離が取れると、森の外に出て王都へと向かった。
 ダント達が俺を見失わないようにして走り続け、視線の先に兵士が居る事を確認してその場で立ち止まった。

「はぁはぁ、ようやく諦めたかッ! お前等、こいつの腕へし折れ!」

「……馬鹿だな」

 ダントは俺に追いつくとそう子分に指示を出し、子分達は俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。
 俺はその攻撃を躱し、数人の子分の腹に重い一撃を食らわせて気絶させた。
 その光景にイラついたダントは、自分の手で俺を倒そうと剣を握り襲い掛かって来た。

「お前達何をやっているッ! 直ちに戦いを止めろ!」

「ッ!」

 王都方面から野太い怒号が聞こえると、攻撃を仕掛けて来たダント達は立ち止まった。
 チラッと振り返ってみてみると、予想通り門番をしていた兵士が仲間を呼んで来たようで大勢の兵士達がやって来ていた。
 その後、兵士によって俺を含めてこの場に居た者達は全員王都へと連れて行かれて、俺は何があったのか事情聴取を受ける事になった。

「クリス君、ちゃんと人が見てる所で対応したんだね」

「あいつらを倒す事は可能ですけど、それだと今後も何があるか分かりませんからね。国の力は使える時は使わないと」

 事情聴取を受ける際、俺は事前に冒険者ギルドにあいつらに狙われていた事を話していたと言い、証人としてレインさんがやって来た。
 そして俺の言い分通り、少し前にギルドの職員が俺があいつらから因縁をつけられてる所を見ており、相談も受けていたと証言してくれた。
 ダント達はと言うと、自分達の都合のいいように俺に罪を擦り付けようとしていたが、嘘がバレてより酷い事情聴取を受ける事になった。

「レインさん、ちなみに人を襲った場合って加害者はどうなるんですか?」

「被害の状況から刑罰は決まるけど、クリス君の様に国も認める事業をしてる相手を襲ったから多分そう簡単には許されないとは思うね。これが普通の冒険者同士だったら、数日間の重労働とかで済む可能性が高いけど」

「俺一人を狙ったけど、その狙った相手が新しいせっけんを作れる俺だから罪が重くなるという訳ですね」

「そう言う事だね。それに今回、兵士が大勢来たのもクリス君が兵士に見つけられるように動いたってのもあるけど、元々それだけの人員が用意されていたんだ。国もクリス君が狙われてると知って、準備していたんだ」

 兵士に見つかるように、王都に近づいて戦ったがまさか用意されていたとは思いも知らなかった。

「国の方には俺からは言ってませんけど、レインさんから言ったんですか?」

「いや、僕は聞かれてから答えたから他から聞いたんだと思うよ。あの日、他にも冒険者は居たから噂で聞いて確認の為に僕の所に来たんだと思うよ。そこからは、クリス君が動くまで人を用意して待機しておくと言ってたね」

「……今回の事が落ち着いたら、王家にお礼の品を持って行った方が良いですね。せっけんの詰め合わせで喜んでもらえますかね?」

「十分、喜ぶと思うよ」

 そうしてレインさんと話をしていると、兵士が部屋に戻って来て俺は帰っても良いと言われて事情聴取を受けて建物から出た。
 それから俺は依頼を終わってない事を思い出した俺は、王都の外に出て対象の魔物を狩りに向かった。
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