召喚世界のアリス

天野ハザマ

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異界の国のアリス

今後の話

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 翌日。私はハーヴェイを家の門の前で出迎えていた。

「や、おはようハーヴェイ」
「ああ、おはようアリス」

 上空から降りてくるハーヴェイだったけど、着地するなり私に微妙な視線を向けてくる。

「……昨日の今日で外に出ているのは、あまり褒められたことではないな」
「別にいいじゃない。家の前よ?」
「自宅を突き止められる危険性があるだろう」
「あるかもしれないけど。入れないでしょ?」

 ハーヴェイですら入れなかったんだから、と言えばハーヴェイは呆れたように首を横に振る。

「家の前で待ち構えてることだってあるだろう」
「別に平気だけど……」

 別の場所に転移すればいいんだし。無駄だと思うなあ。
 私がそういう顔をしていると、ハーヴェイは大きく溜息をつく。

「まあ、いい。今日はお前の今後しばらくの為の対策を話に来た」
「あ、なら丁度良かったわ。中で話しましょ?」
「なに?」

 ハーヴェイの手を掴むと、私は門に触れる。
 なんかハーヴェイが「う」とか「む」とか言ってた気がするけど、結構どうでもいい。
 魔王なら奥さん数十人くらい居るでしょうに、意識しちゃう私の美少女っぷりに思うところがないわけじゃないけど。
 ともかく、こうすればハーヴェイも転移できるはず。そう思って試してみたわけだけど……転移後、門の内側に私はハーヴェイと共に無事に転移できていた。

「よっし、成功!」
「な、なんだ此処は……!」
「私の家だけど」

 きょとんとしていたハーヴェイは、何かに驚いたように周囲を見回し始める。
 そういえばアルヴァがなんか言ってた気もするけど……まあ、ハーヴェイなら大丈夫よね。

「異空間、か……! それもかなり強固で、恐らくは広大な……!」
「分かるの?」
「当然だ。余は常に周囲に探査魔法を放っているが……先ほどの転移の直後から、それが弾かれている。これほどの強大な魔力……いったい何処の大魔法使いが⁉」

 それは私にも分かんない。ほんとこの空間、どうやって出来てんの? 神様? 会ったことないけど。ていうか居るのかしら、神様。自慢じゃないけど神様、私にこんな力与えても世界とか変えるつもりないわよ?
 ……あ、いや待て。なんか巻き込まれたんだっけ、私。その辺なんか感覚的には納得したけど、理屈が分かってるわけじゃないのよね。

「まあ、別にいいじゃないそーゆーのは」
「良くはない! これほどのものを作れる奴が敵に回れば脅威だ!」
「ていうかぶっちゃけ、私のスキルで出てきたやつだし」
「……は?」
「ま、それは置いときましょ」
「置くんじゃない!」
「置くのよ」

 そもそも説明しろって言われても出来ないし。アルヴァにでも聞いてよ。
 私が説明断固拒否の姿勢をみせていると、ハーヴェイは何か言いたそうな……しかし、やがて諦めたような表情になる。

「……そうだな。とりあえずはいい。これを余に見せたのも、敵ではないという充分な証明ではある」
「そりゃまあ、此処で暮らしてるし?」
「何処に暮らしていようと敵は居る」
「そういう難しい話嫌い」
「ああ、そう見える」
「でしょ?」
「褒めてはいないのだがな……」

 胸を張る私に呆れたように言うハーヴェイだけど、本当に興味ないんだもの。
 ゲームだけど世界はもう救ったし、そういうのはもう良いと思うのよね。
 あ、救われてないんだっけ、あの世界。顔も覚えてないアイツのせいでエンディング最後まで見てないから分かんないや。

「で、今後の話なんだけどね?」
「ああ、それについてだがお前には護衛を」
「そういうのいいから。ちょっとジョゴダの町に行ってこようと思うの」
「はあ?」
「奴隷商人を追ってる冒険者が居るから、詳しい話とか聞いて来ようと思って」
「初耳なのだが?」
「初めて話すもの」

 私の言葉にハーヴェイは何やら頭痛を抑えるような仕草をする。何よ、失礼な。

「……その冒険者とやらには、余が遣いを送ろう」
「え、でも魔王城にスパイ居るかもしれないんでしょ?」
「誰がそのような事を」
「アルヴァ」
「あの男か……」

 ていうかアルヴァ、居ないわね。何処行ったのかしら。

「えーと、なんだったかしら。魔王の動き監視してる奴がいるとか、そういう話だったような?」
「……まあ、居るであろうな」

 私の言葉にしばらく悩む様子を見せた後、ハーヴェイは苦々しげにそう答える。
 ま、自分の部下に裏切り者が居るともなれば、そういう反応にもなるわよね。
 組織って、そういうものらしいから仕方ないのかもだけど。

「確かにこれまで連中が余に尻尾を掴ませなかったところを見るに、薄汚い裏切り者は居る。余が動くことで、その者から情報が伝わる可能性は……確かにある」
「でしょ? そこで私ってわけ!」
「だがアリス。お前とて狙われる身だろう?」
「んー……」

 まあ、そうなんだけど。ハーヴェイの台詞に、私は首をこてんと傾けて見せる。

「でもぶっちゃけ、返り討ちだし。そもそも、私が王都に住んでると仮定して探してるなら、ジョゴダの町に行くのは悪くないと思うのよね」
「それは……そうかもしれんな」
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