婚約から始まる「恋」

観月 珠莉

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*35* キングなベッド (☆)

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意識が全く別のところにトリップしている間に、もうベッドに横たわっていた。
あ…あれ?
ベッドルームを見渡すとモノトーンで統一されていて、一切のムダが無い。
ベッドも広いなぁ~…と思って見渡していると、直嗣さんが申し訳なさそうに声を掛けてくる。

「ごめんな。ベッド狭いだろ?ここに住み出す頃は、結婚なんて考えていなかったし、独りだから充分だと思ってキングサイズを選んだんだ。」

私は、余りの言葉に瞠目した。
いやいやいや…普通、キングサイズって充分な広さですから!!
よぉく考えてください!!キングのサイズですから!!!!!!

「いや…あの~…。」
「話は後だ。今は、さくらを感じさせて…。」

そう言うと、優しくキスしてくる。
あぁ…直嗣さんのキスって優しくて気持ち良いなぁ…と思っている間に、首筋を強く吸われる。

「あ、あの…仕事の時に…困るからっ…。」

私はグイグイと直嗣さんの身体を押すけれど、全く動かない。

「別に、問題無いだろ。さくらは、俺のものなのだから。寧ろ、悪い虫が付かなくて良いじゃないか。」
「あのっ…そうじゃなくって…お客様に見えるのは…ちょっと…。」

私は、泣きそうになる。

「わかったよ。じゃあ、見えないところなら良い?」
「…うん。」
「仕方無いな…。さくらのお願いだからな。」

直嗣さんは、笑いながら請け負った。
話しているうちに、直嗣さんの手は、どんどんくるみボタンを外している。
あっという間にインナーが見え、私は羞恥心で顔が赤くなってくる。

「恥ずかしい…。」
「綺麗だよ。もっとよく見せて。」

腰に響くような低い声で甘えるような声を出す直嗣さんに、子宮がキュンとなる。
直嗣さんの手は、既に胸を揉みしだいていて、インナーは意味を成していない。
チラリと見え隠れする反対側の胸の先端を甘噛みし、期待に先端が自己主張する。
もっと違う欲望を叶えて欲しくて、身体を引き寄せると、直嗣さんは笑みを浮かべた。

「初めてはソファーだったからな。今日は忘れられない夜にするよ。」

そんな気障な台詞も、直嗣さん程に何もかもが揃っているとしっくりするから不思議だ。

「今日だけ…?」

思わず不安になり、そんな風に言ってしまう。

「いや…今日からずっとだな。まずは、永遠に続く幸せへの一夜だ。」

話ながらも、直嗣さんの手が止まる事は無い。
胸を触っていない別の手は、スカートの下から期待に涎を流し続ける最後の砦を陥落させようと進軍していた。
こうして、直嗣さんと私の夢のような時間が始まった…。
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