大人の初恋

yuri

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出会い

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 大手、車会社の下請け。それが私の仕事である。と聞くと少しは印象は良いのではないか。
簡潔に言うと、田舎の製造会社の事務だ。正社員ではあるが、給料は期待できない。
しかし自分がやりたかった仕事なので、やりがいはある。
まだ入社1年目なので覚える事も沢山ある。日々いろんな事を出来るようになるのは楽しい。
しかしここは田舎だ。
東北の雪国。
岩手県だ。
勿論、少子高齢化が進んでいる。その為社員の年齢層も残念ながら高めだ。

 社内恋愛にはあまり期待が持てなそうだ。とはいっても国内ほぼ全社の車の部品を取り扱う会社。社員の数は200~300人。田舎にしては大きい方だ。



 子供の頃、親の転勤で、高校に入るまで5回の転勤を経験した。
その後東京の大学に1人暮らしをしながら通い、今の会社に入社した。
なぜわざわざ都会に行ったのに田舎に就職したかと言うと、疲れたからだ。

 父は国家公務員で母は専業主婦。
かなり裕福に育ったが、転校する度に変わる環境。
1からの人間関係。
裕福であったが為の大人達の見栄。
そんな環境が嫌になり大学という手段を使い独り暮らしをし、親元を離れた。
そして賑やかな都会から離れ、田舎に就職することを決断した。


 私の主な業務内容は電話対応や社員やパートの給料の管理、部品の発送数の入力、元請け等のお客様への接客などだ。
勿論全部1人で行ってるわけではなく、7人のおば様と係長のおじ様、皆で分担して作業をしている。
しかし、年齢、性別、見た目からお客様への接客は私が行うことが多い。

 転勤族だった私は第一印象には自信がある。が、製造会社に来てなぜわざわざ接客しなければならないのかと不満もある。




 ある日元請け会社からの来客があった。
1人は白髪まじりの清潔感の有るおじ様。
もう1人は小さくて小太りの、いかにも性格が悪そうな感じのおじさん。
そして最後に私と同い年位の高身長な男性。顔は良いが愛想はない。


 応接室に案内し、お茶とつまむ物を少し出し
「只今担当の物が来ますのでもう少々お待ちください」
と伝えると、
「俺は良いんだけどね。こっちで組み立てる時に破損してれば分かるから。でも、商品を売ってお金を貰っている以上不良品は良くないよ。君達若い子は何となく仕事をしてるかもしれないけど、、、、」
説教がはじまった。
事務だし、製品の話をされてもなんの話か分からない。
が「そうですね」「仰る通りです」などテンプレートを並べて合図ちをうつ。
1対3の状況でひどく責立てられているように感じた。
担当まだかな、、、
と思っていると、同い年位の高身長の人が
「このチョコレート美味しいですね。何処のチョコレートですか」
と尋ねてきた。
5分もたっていなかったが、地獄のような長い説教はそこで終わった。
意図して助けてくれたのか、本当にチョコレートが美味しかったのかは分からないが、助かった。
その後はチョコレートの話で少し盛り上がった。
彼の名前は高橋 渚(なぎさ)。年齢は予想通り同い年の23歳。
私の中で、無愛想だが良い人とインプットされた。
数分後、担当者が来て私はこの場をあとにした。
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