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別れ
しおりを挟む大雨で公園が浸水した日
私たちは別れた。
たったの4ヶ月。
まだ沢山思い出を作りたかった。
別れたくなかった。
でも仕方なかったんだ。
もうこれ以上辛い思いはしたくないから。
別れる1週間前、私は友達に振ってくる。と言った。
「私振ってくるわ。重めの倦怠期とか言われて1ヶ月。もう私毎日泣きたくない」
8月中旬、私は倦怠期だと言われてしまった。もうどうしたらいいか分からなくなった。毎日のように電話して、どこかにデートにも行き、もっと楽しいことが待ってるってそう思ってたから。
「そっか。笑顔で振ってきなね。」
「当たり前。恋人最後の記憶が涙でくしゃくしゃの顔じゃ可愛くないじゃん。」
最後まで可愛くいたい。
けど本当は別れたくないよ。話し合えば理解できるよ。きっと大丈夫。
私はそんなことを思いながら公園へ歩いていく。
天気は最悪。部活が無くなったくらいの大雨で雷も酷くなっている。でももう先延ばしはしたくない。今日で決着が着く。覚悟を決める日。
公園へ入った。
そこには私が大好きな彼がベンチに座っている。
「おまたせ。ごめんね。」
「うん。」
私は荷物を置いて少しスペースを開けて彼の隣に座った。
「聞きたいんだけどさ、なんで倦怠期になっちゃったの?」
倦怠期は原因があるはず。それを聞いて一緒に解決するのがいいんだ。
「分からない」
その言葉を聞いて私は心が冷えた。
「なんで?」
「そんなこと言われても…。」
分からないって何?普通に探ってよ。分かるじゃん。
「原因が分からないとなんの話し合いも出来ないんだよねー。」
「うーん、そう言われても全然わかんない」
「そっか、」
「うん」
そんな冷めきった会話を交わしていた。
「私さ、颯介と話してたりデートしたり、電話したりするのずっと楽しかったよ。颯介は?楽しくなかった?」
「楽しかったよ。でも今は分からない」
「そっか!」
得意の笑顔で言ったつもりだった。
私の目には涙がうかんでいた。すかさず私は後ろを向いて誤魔化す
「やっぱそうだと思ったんだよね。どうする?どうしたい?」
余裕がありそうに言った。けど、声が震えていた。
「……。」
「私は…そうなりたくは無いよ。」
お互いほんとに別れそうな時は“別れ”という言葉は使わない。
「俺もなりたくないよ。でもこれ以上琴音が傷つくなら、」
「うん、」
「琴音もこの1ヶ月間苦しかったよな?」
「苦しかったし毎日泣いてたけどそれでも、」
頭では別れた方がいいって分かってる。けど
「別れたくないよ。」
「うん。俺も。でもこのままダラダラと続いても俺の気持ちは変わらないと思う。」
私の目には彼の決断したような顔が映し出される。
「……そっか。」
現実を突きつけられた。ずっと心のどこかでは別れない。まだ早いってずっと思ってた。でもほんとに別れちゃうんだ。そんなことを考えていると涙が溢れ出てくる。拭いても拭いてもこぼれ落ちてくる。
「……ごめん。」
「一旦落ち着こっか。」
「ごめんね、絶対泣きたくなかった。困らせたくなかったのに。」
「正直俺は絶対こうなると思ってたよ。」
「まじか、」
「そりゃ、何ヶ月俺は琴音の傍にいると思ってんの。ほぼ毎日電話して、会ったり喋ってたからな。」
嗚咽するほど泣いている私の隣にそっと座り直し私の背中をさすってくれる。
暖かい。嬉しいよ。でももうこれも今日で終わりなんだよ。
「ごめんほんとに。」
「全然。ゆっくりでいいよ。話したいこと全部話な。ちゃんと聞くし、何時間でも俺は待つよ。」
彼の顔をチラッと見てみた。これ以上にないほど優しい顔をしている。あぁ、別れたくないなぁ。
「ありがとう。私は、ほんとに別れたくなくて、」
「うんうん」
「でも、私も辛いし、颯介も考えるの辛いと思うし、」
嗚咽混じりに一生懸命話す
「でも、私は、大好きだし、別れたくないよ。」
「うーん。でも俺はこの曖昧な関係を終わらせないとだめだとおもう。」
「うん。私も思う。でも私は覚悟決まってない。」
まだ私はどこかで別れないって思ってる。
「俺は覚悟決まったよ。」
「正直俺、今日の琴音の行動半分くらい予想してた。こういったらこう言うかなとか傷つけないように話すようにしてた。」
そうしないと私が傷つきやすいから傷つくって思って気遣ってくれてるんだよね。もう前みたいにお互い何も考えないで笑いあってた頃は無いんだね。
「迷惑かけてごめんね。」
「仕方ないよ。琴音はそういう子だから。」
私を全て理解してるような言い方で彼は私にいった。
「まぁでもまだ4ヶ月。もう4ヶ月か。早かったな。」
「うん。早い」
「な。俺は楽しかったよ。」
「私も。」
「俺からいう?」
「待って。無理。まだ。」
「どうすんのー笑言えへんやろ?琴音」
「うんでも無理。私から言う。」
「言えんの?」
「むり。」
「じゃあさ、せーので言おか。」
「それあり!」
「急に元気やん笑」
「……。」
「せーのっ」
「待って!」
「もーー笑」
「まだ心の準備まだ!」
「俺はいつまでも待つよ。」
「……今日じゃないとダメ?」
「そうやなー。ダラダラ続けてもな。」
「分かってる。」
「はいせーのっ」
「待ってって!笑」
……寂しい。別れたくないむり。しんどい。寂しい寂しすぎる。
彼はいつの間にかベンチから立って公園のど真ん中に居た。
「琴音、寂しがり屋やからな。」
まるで私の心の中を覗いたかのような発言だった。
「考えてることまで分かるんかよ。」
「寂しいのは俺も同じ。今日俺ご飯通らんかも。」
「……私いっぱい食べる。」
「よく食べるわまじで笑」
そんなことを話しながら私は考えていた。
最後くらいわがまま言っていいよね。図々しいかもしれない、断られるかもしれない。けどもう一生無いかもしれない。
「ねぇ。颯介」
「んー?」
「最後にさ、ギュッでして欲しい。」
断られる覚悟で頼んでみた。大好き。颯介の匂い、仕草、心地良い低い声、大好きな胸の中。
「いいよ。ほら!」
颯介が手を広げた
「まじ!」
私は彼の胸の中へ走った。
「うぉっ!強!笑」
あったかい。心地いい。心臓どくどくしてる。いい匂いする。
「…全然喋らんうちに身長差開いたな。」
「……たしかに?」
「俺背伸びたわ。」
「目線全然違うくなったね。」
そんな目に見えて身長差が変わったことが分かるくらい話してなかったね。
「もっと背伸びるかなー」
「伸びるんじゃない?笑」
そんなことを話してる間に彼の胸から離れた。
「ありがとう。」
「言えそう?」
「うん。頑張るね。」
「いくか。」
「うん。」
「やっぱ待って」
「いいよどうした次は笑」
「ちょっともう1回だけぎゅってさせて!」
やっぱり寂しい。嫌だ。
「何回だっていいよ。おいで。」
また彼の胸の中で包まれる。
幸せ。やっぱりあったかい。一緒この胸の中で居たい
くらい大好き。
また涙が溢れ出てきた
「ごめん。涙制服についちゃう。」
「いいよいいよ。鼻水もつけちゃってもろて」
「何言ってんの笑」
泣きながら笑ってる。この変な感情も、嬉しい、悲しい、嫉妬、幸せ、笑顔、全部颯介がくれた。この幸せが無くなるのは寂しい。
依存気質な私は離れるのは本当に難しい。でも離れなきゃいけない。彼の負担になりたくない。
「もう大丈夫。覚悟決めるよ。」
「ほんとに大丈夫?笑」
「うん。大丈夫!」
「じゃあいくよ」
「うん。」
「せーのっ」
言わなきゃ。言わなきゃ。
私の心臓はドクンドクンと波打っている。
これを逃したらもう一生言えないとおもう。本当は別れたくないよ。けど、颯介がもう私のこと好きじゃないなら一方的で辛いだけだよ私。この1ヶ月苦しんだじゃん。もうこれでおしまいだよ。
「「別れよ」」
5月の席替えで近くなって、仲良くなって。インスタ交換して、彼は理系で私は文系だから分からないとこ教えあったり沢山笑いあって、LINE交換したら交換してから毎日連絡取り合って、他の子に嫉妬したり相談したり、電話して一緒にオールしてオール明けに2人でご飯食べに行って付き合えた。付き合ってからもずっと仲良くて、数学と物理教えてもらったり、英語教えたり、付き合ってからも友達みたいに接することが出来て。学校では席が離れてからあんまり接触することがなかったけど、2人の時間を取るためにこの公園に通うことになって。そこでは普段見せない可愛い顔と甘える姿。いつもズボン抑えてたよね笑「可愛くてつい。」ってずっと言ってた笑「蛙化しないの?」って言われるけど全然しなかった。そんな姿も愛おしかったよ。お互いの家にも行って颯介のお母さんには良くしてもらった。お昼ご飯ごちそうになったり、アイスもご馳走になって、弟くんとも仲良くさせてもらってゲームも一緒にして親戚の方々にもすごい良くしてもらった。
月に1回すっごいでかい喧嘩もしたし、私が一方的に拗ねて電話切ったり色々困らせた。いやもう困らせてばっかりだったな笑
あの時はごめんね。今までありがとう。
「言えた。」
「言えたな。」
空は快晴。星たちが煌めいている。
「……帰るね。バス調べる」
「うん。」
「待ってあと15分もある。」
「最後の俺の使命だな。」
「2時間も待ってくれたのにごめんな。」
2時間も私は言えなかった。
ずっと渋ってた。
でも待っててくれたんだよ。凄く良い彼を持ってたんだね。
「いやぁ。楽しかったわ。この時間も、話してる時も全部が。」
もう、また泣きそうなこと言ってくる。
「そうだね。ほんとに楽しかった。」
「あんだけ泣きじゃくってたのに?」
「話せること自体嬉しいんだよ。話し合い来てくれてありがとう。」
「いや、行かないとだめだってずっと考えてたし。今日行かないといつ行くって話だし。」
そんなたわいもない話をしてたらあっという間にバスが来た。
「……じゃあ。」
私が行こうとした。
その時。
「待って!最後。これで最後だから。」
私は彼に包まれた。
なんて罪な終わり方なんだ。今でも未練タラタラなのにそんなことしてきて。あとあとどうなっても知らないよ。まだ好きでいてもいいかな。まだ私が彼を好きで居ていい権利はあるかな。
「うん。ありがとう。」
笑って終わりたかったのにまた涙が出そうだよ。
「こちらこそありがとう!またあしたな!」
「うん!またあした!」
私たちの関係の終わりを迎えることを表しているかのように静かにバスのドアが閉まった。
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