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受けの誕生日に攻めがおねだりする話
9※
しおりを挟むゆっくりと兎麻が唇を重ねた。
「ありがと、智」
「兎麻さん、だから」
「うん」
「兎麻さんにしか、しない」
「うん」
ちゅ、ちゅ、と鎖骨や胸にキスをされながら、だんだんと下半身に近づいていく。
座ったまま、咥え込まれて、思わず声が漏れた。
うまそうにしゃぶりついていた兎麻がゆっくりと顔を上げた。
あそこは唾液でびしゃびしゃになって、すっかり立ち上がっている。
ぎゅと腰を抱き込まれて、酒を注がれた。
甘い、独特の香りが匂い立つ。
兎麻が見上げていた。
仄かに頬を染めて、智の羞恥の表情を貪り食う目で。
唇は唾液でテラテラと光って、生々しくて、思わず目を逸らした。
「いけない子だ」
くぐもった声が腹から聴こえて、じゅ、と酒が吸われた。
「わからない子だね。目を逸らしたらダメって言ってるのに」
言葉の次に、ザリ、という音が聞こえた。
「あっ」
陰毛を噛まれたとわかった。
じゅぷという水音とザリザリと毛を食われる音がとても大きく響く。
恥ずかしさで逃げたくて仕方ない。だけど、一ミリも動けない。
ちゅ、ぐぷ、と兎麻が口淫を施す音がする。
確実に、執拗に、智の敏感な場所に吸い付いて、昂める。
「も、や、兎麻さん、とうま、さん」
限界を感じて、兎麻の頭を掴むと、解放してくれた。
兎麻がキスをすると、お酒の味がした。
甘い。
そう思って、舌で舐めとるように兎麻の舌を舐めた。
そうしていると、兎麻が智の後孔に指を入れた。自然と脚が開いて、腰が浮いた。
片手で兎麻の頭を抱えて、指の刺激と口付けを受け入れる。
兎麻が首筋を舐め、乳首に舌を這わせた。
「あ!あああ!」
全身に痺れが走った。
兎麻の唇は吸い付くように離してくれない。逃れようとする身体を、片手で押さえつけ、もう片方の手は、指での抜き差しを繰り返している。
「あー!あ!あ!んー!!あんん!」
聞いたこともない嬌声が智の口から飛び出してくる。
抑えようにも溢れ出て止まらない。
「あ!ふああん!あ、は、あああ!」
もう一つの乳首に吸い付かれ、また声が出た。
声が涸れるまで叫び続け、熱さに耐えきれずに涙が出始めたころ、やっと兎麻の唇が智の体から離れた。
「お水、飲む?」
汗塗れの額に口付けながら、兎麻が聞くので、頷いた。
片肘をついて身体を持ち上げ、枕元に用意してあったペットボトルの水を飲んだ。
声が抑えきれなかった。別荘でよかった、と心底思った。
ラブホテルならまだしも、シティホテルなら確実に声が漏れてた。
ふと気になって窓を見ると全開で、兎麻に目で訴えた。
「なあに?」
智の視線に気づいた兎麻が、しゅぽん。とペットボトルから口を離して聞いた。
壮絶に色っぽい。
「ま、ど」
「ん、気になる?」
うんと頷いた。
「でも、部屋の中、暑くなるよ。こんなに汗かいてるし」
でも、気になる。誰かに聞かれたら。
邸の周りは森で、隣家まで数百メートルはあるが、閑静な分、響いていそうで。
「でも、今日の智、めちゃくちゃ乱れてるものね。お酒のせいかな。声、我慢できないんだ」
意地悪く責められてるようで首をすくめた。
兎麻がくすくすと笑ったのがわかった。
「いいよ。閉めようか。冷房入れるね」
ホッとして、体を横たえた。
気を抜いていると、グイと脚を開かれた。
そこに兎麻がわり入ってきた。
兎麻が四つん這いになって両手首を両手で掴まれた。
「…」
妖しく微笑んだ兎麻を下から眺めた。
いつもご機嫌で、時には風を切るように人前に立って、綺麗なのに男らしいところもあるのに。
姿形だけ見たらとんでもなく極上の男で、甘え上手で、人との距離が上手くて。
それなのに、自分の前ではとんでもない変態。
飼ってる。
智は兎麻の亀。兎麻ごと守る水槽の中に飼われているペットの亀。
そういう立ち位置のはずなのに、二人きりの時は立場がいれ違うような錯覚に陥る。
この綺麗で、変なことばかり考えついて、叶えられなかったら全力で甘えて駄々をこねてくる厄介な人を飼っている。
キラキラとした笑顔で上から見てくる視線に耐えきれず、目を逸らした。
「…なんですか?」
「めちゃくちゃ可愛い」
可愛くないっての。
むす、と拗ねた。
兎麻に可愛いと言われるたびに今まで築いてきた何かが突き壊される気がする。
兎麻にならそれでもいいかと思ってしまうのは、惚れた弱味だ。
「智のはじめてのお酒、一緒に飲んでくれてありがと」
「……」
「僕だけにわかめ酒許してくれてありがと」
「もうしませんからね」
「…うん。別のこと考える」
「懲りない人だな、もう」
「だって好きなんだよ。全部味わいたいんだもん」
「ずーと、ずーと一緒にいようね。いっぱい色んなことしようね」
「それって、変態なことばかりじゃ…」
「たまに。たまにならいいでしょ?そればっかりじゃないよ。いっぱいいろんなことしたい。まだやってないこといっぱいある。
ちゃんとしたデートだって全然やってない。旅行だって行ったことないし、飽きるほど喋ったり、美味しい料理食べたり、一緒に作ってみたり。映画館で映画みたりしたいし、そのあとでカフェとかでまったり感想とか言い合いたい」
珍しくまともな恋人プランで大きく目を瞬いた。そんなイチャラブ、したことない。
そういえば、大学に入る前の兎麻はよくそんなことをしたいと言っていたことを思い出した。
受験も大学に入ってからも毎日の課題とスケジュールに追われて、まったりと何かをすることなどできなかった。
追われているのは主に智のほうだ。
兎麻はいつも待っていてくれている。
本当は兎麻の方が忙しいはずなのに。
「智に関わること全部、一緒にしたい。一瞬でも逃したくないくらい、一緒にいたい」
恥ずかしくて、目を、ぎゅ、と瞑った。
いつもいつも、兎麻は真っ直ぐ愛情を伝えてくる。
言葉は逃れられないくらい直接的で、行動は執着の重さを表して変態的で。
そんな表し方は自分にはできない。
両親のように、そばにいるのが当然のように、語ることもなく、なんとなく空気のようにそばにいられればそれで充分なのだけど。
兎麻がそれでは足りない、寂しいというから精一杯応えようとしている。
「高校生で、まだ子どもで色んなことできなかった智も凄く可愛くて好きだけど、大人の智、色んなことが一緒にできてすごくお得な感じ」
うふふと兎麻が笑って、身体を重ねてきた。
下半身の熱を、太ももに直に感じた。
熱くて、硬い。
天然で、マイペースで。
とても優しい。
最高の恋人。
離れることなんてできない。
どれだけ無茶を言われても。恥ずかしくて頭が焼き切れそうになっても。
彼が自分を必要とする限り、ずっと。ずっと。
「兎麻さん」
「はい」
「ありがと」
「…と…!」
あまり言えない、素直な気持ち。
照れた智を覗き込もうとする兎麻を牽制するために、無理矢理、下手くそな口付けをした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
受けの誕生日に攻めがおねだりする話 終
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