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本編
第一話 秘密
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「遥、そろそろ帰るか?」
隣を歩く翔太が、振り返って僕に声をかける。
夕暮れの街灯に照らされた横顔は、相変わらず眩しくて、思わず胸が詰まった。
「……うん。今日は少し疲れちゃった」
「だろうな。最近、授業終わったらすぐ眠そうだもんな」
「そうかな……?」
「そうだよ。俺、ちゃんと見てんだから」
翔太は軽く笑って、僕の肩を支えてくれる。
その温もりに甘えたくなるのに、同時に怖くなる。
――この人にすべてを打ち明けたら、きっと翔太は僕を抱え込んでしまう。
自分の夢も、未来も、全部捨てて。
だから言えない。絶対に。
「ありがと、翔太。……でも、大丈夫だから」
「無理すんなよ。おまえ、強がりだから」
「……ふふ。知ってるんだね」
口元だけで笑ってみせる。
胸の奥で疼く痛みを、翔太には絶対に悟られないように。
その夜、ひとり部屋に戻った僕は机にノートを広げた。
翔太の好きな料理のレシピを、ひとつひとつ思い出しながら書き留めていく。
ページをめくる指先が震えるのを止められなかった。
――翔太が、僕のいない未来でも笑えるように。
僕は少しずつ、この世界に“痕跡”を残していく。
隣を歩く翔太が、振り返って僕に声をかける。
夕暮れの街灯に照らされた横顔は、相変わらず眩しくて、思わず胸が詰まった。
「……うん。今日は少し疲れちゃった」
「だろうな。最近、授業終わったらすぐ眠そうだもんな」
「そうかな……?」
「そうだよ。俺、ちゃんと見てんだから」
翔太は軽く笑って、僕の肩を支えてくれる。
その温もりに甘えたくなるのに、同時に怖くなる。
――この人にすべてを打ち明けたら、きっと翔太は僕を抱え込んでしまう。
自分の夢も、未来も、全部捨てて。
だから言えない。絶対に。
「ありがと、翔太。……でも、大丈夫だから」
「無理すんなよ。おまえ、強がりだから」
「……ふふ。知ってるんだね」
口元だけで笑ってみせる。
胸の奥で疼く痛みを、翔太には絶対に悟られないように。
その夜、ひとり部屋に戻った僕は机にノートを広げた。
翔太の好きな料理のレシピを、ひとつひとつ思い出しながら書き留めていく。
ページをめくる指先が震えるのを止められなかった。
――翔太が、僕のいない未来でも笑えるように。
僕は少しずつ、この世界に“痕跡”を残していく。
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