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10.気を付けて!それはトラップ!
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そして翌朝。早く目が覚めベットサイドに置いてあった乙女の手記に目を通す。本を開くと1ページ目に日本語で
【神様が小説を書き異世界に興味のある読者に目をつけ、乙女を呼んでいる事に驚いた。まさかあんな何気ない質問に答えただけで、異世界転生するなんてあり得ないし】
思った事が先代の乙女と同じだったのが面白く、次のページを捲ると面識の無い王子と高位貴族男性から求婚され困惑した事。そして性交に関して体育の授業の知識しかない事が書かれていた。
「そんな知識じゃ不安なのも当然ね」
私も経験ないから漫画や小説の知識でしか無いが彼女よりは知っている。そんな私でも不安だから彼女はもっと怖かっただろう。それに先代の乙女は渡って来た時は14歳。未成年でまだ親に保護される年齢だ。
「日本だと犯罪だよ」
本当に不憫でならない。そう思いながら手記を読み進める。そして犯された事や王太子とゆっくり愛を育み、心を開き結婚を決心した事が書かれていた。そして…
「ここからは黒歴史だ」
次に婚約破棄となりハロルドが支えてくれたが、彼女は自暴自棄になり婚姻をヤケクソで受けたと買いていた。
【波瀾万丈の人生だったけど、ハロルドが心から愛してくれ家族を作り最後は幸せで終えれそうだわ。まぁハロルドは公爵の嫡男の責務から愛してくれたのかもしれないけどね】
最後はそう書き締められていた。
この手記を読み複雑な気持ちになる。私は未だこの状況を受け入れならない。先代の乙女より一回り以上年上なのに決心が中々つかない。
「皆さんの好意に甘え応えを先延ばしにしている」
確かに無理やり連れてこられたが、この国は異界の乙女に頼るしかない。私が反対の立場なら土下座してでもお願いするだろう。手記を読み少し前向きになれたところで、朝の準備に侍女が来て手記を閉じた。こうして公爵邸でのんびり過ごし、時間が空いていると先代の話し相手になり、先代の乙女の話を聞き過ごした。そして一旦教会に帰る日。ダリウスさんと庭を散歩していて
「王城と公爵邸に行ってよかったです。少し前向きになれました。まだ決断は出来ないけど、ゆくゆくはグラナダスの役に立ちたいと思ってます」
「ヒナ嬢…」
そう言うとダリウスさんは目の前に来て跪いて手を取り、視線を合わせて歯が浮くような甘いセリフを言い
「私はいつまでも貴女が私を受け入れてくれるのを待ちます。私は貴女の為だけに存在している事を知ってほしい」
「想ってくれるのは嬉しいけど、応えれるか分かりませんよ」
そう言うと手の甲に口付け微笑んだ。そしてこの後公爵邸を後にし教会に戻った。
--- 半年後 ---
司祭と国王陛下が北の森の祭壇に破瓜の印を納めた。その後緩やかに邪気は薄まり半年後にはグラナダスは浄化され安寧が訪れた。
そして私早川雛子は処女を捧げた彼と明日教会で結婚式をあげる。優柔不断の私は中々決心がつかず、歴代の乙女の中でも決断が遅く、王家や教会に心配かけてしまった。そんな私に司祭が
「このままお相手をお選びにならないのではないかと心配しました。しかし送り出す事になり寂しく感じております。烏滸がましいのですが共に生活するうちに、私は貴女を娘の様に想っていた様で、今は娘を嫁がす父親の気分です」
司祭はそう言い優しくハグした。私はお世話になった事にお礼を言うと
「そうそう。歴代の乙女が婚姻する前日に読み継がれている本がございます。お渡しいたしますので一読下さい」
「?」
司祭から古びた分厚い本を受け取り嫌な予感がしてきた。歴代の乙女が皆読んできた本。きっと重要な事が書いてあるはずだ。そう思い急いで部屋に戻り本を開く。
『何が書いてあるんだろう…もしかしてロストバージンしたら帰れるとか?』
期待半分で読み始めると…
「はぁ?」
思わず大きな声を出してしまい、外から護衛騎士が飛び込んできた。慌てて何も無いと言い下がってもらう。そして続きを読むがあり得ないオチに猛烈に腹が立ってきた。そして歴代の乙女もこのオチを知り、その怒りをこの本に書き残している。
「嫌だ!自分の恋愛話をネタにされた上に、その話を読んだ他の女性がここに呼ばれるなんて」
そう神は異界で異世界恋愛話をweb小説に書き、異界に興味のある乙女を呼び寄せていた。つまりその恋愛話は呼ばれてグラナダスに来た乙女がネタ元だったのだ。そして私が読んでいた話は、私の三代前の乙女の話だったのだ。私は天を仰ぎ大きなため息を吐いた。そして
『神様だからって何しても良いわけないよ!』
っと、どこかで聞いているであろう神様に文句を言った。この感じなら私の話は枯れたアラサー女の異世界転移話にされるだろう。猛烈に腹が立ち本の最後に気持ちを書き残した。また何十年かしたらこの話を読んだ何も知らない日本の少女が、ここに来てしまうのだろう。
今異世界小説を読んでいる皆さんに声を大にして言いたい!
『【異世界に行ってみたいですか?】この問いには答えないで!それは異界の神オルランの罠だから!』
そう書き残し本を閉じた。そして馬車が泊まる音がし窓の外を見ると、明日夫となる彼が馬車から降り私に気付き手を降る。
『まぁ~色々思うところがあるけど、今は幸せだからいいか』
そう思い本を持って部屋を出た。これから平穏で愛に満ちた人生が待っている。それにもしかしたら私の異世界生活が日本の誰かの心を癒しになるかもしれない。
『そうなるなら異世界移転も悪くなかったかも…』
そして翌日。沢山の人に祝ってもらいオルラン神の神像の前で愛する夫と誓いのキスをした。
私のその後の惚気話はどこかの小説サイトで探してみて。きっとまたオルラン神が書いている筈だから。
終わり…
【神様が小説を書き異世界に興味のある読者に目をつけ、乙女を呼んでいる事に驚いた。まさかあんな何気ない質問に答えただけで、異世界転生するなんてあり得ないし】
思った事が先代の乙女と同じだったのが面白く、次のページを捲ると面識の無い王子と高位貴族男性から求婚され困惑した事。そして性交に関して体育の授業の知識しかない事が書かれていた。
「そんな知識じゃ不安なのも当然ね」
私も経験ないから漫画や小説の知識でしか無いが彼女よりは知っている。そんな私でも不安だから彼女はもっと怖かっただろう。それに先代の乙女は渡って来た時は14歳。未成年でまだ親に保護される年齢だ。
「日本だと犯罪だよ」
本当に不憫でならない。そう思いながら手記を読み進める。そして犯された事や王太子とゆっくり愛を育み、心を開き結婚を決心した事が書かれていた。そして…
「ここからは黒歴史だ」
次に婚約破棄となりハロルドが支えてくれたが、彼女は自暴自棄になり婚姻をヤケクソで受けたと買いていた。
【波瀾万丈の人生だったけど、ハロルドが心から愛してくれ家族を作り最後は幸せで終えれそうだわ。まぁハロルドは公爵の嫡男の責務から愛してくれたのかもしれないけどね】
最後はそう書き締められていた。
この手記を読み複雑な気持ちになる。私は未だこの状況を受け入れならない。先代の乙女より一回り以上年上なのに決心が中々つかない。
「皆さんの好意に甘え応えを先延ばしにしている」
確かに無理やり連れてこられたが、この国は異界の乙女に頼るしかない。私が反対の立場なら土下座してでもお願いするだろう。手記を読み少し前向きになれたところで、朝の準備に侍女が来て手記を閉じた。こうして公爵邸でのんびり過ごし、時間が空いていると先代の話し相手になり、先代の乙女の話を聞き過ごした。そして一旦教会に帰る日。ダリウスさんと庭を散歩していて
「王城と公爵邸に行ってよかったです。少し前向きになれました。まだ決断は出来ないけど、ゆくゆくはグラナダスの役に立ちたいと思ってます」
「ヒナ嬢…」
そう言うとダリウスさんは目の前に来て跪いて手を取り、視線を合わせて歯が浮くような甘いセリフを言い
「私はいつまでも貴女が私を受け入れてくれるのを待ちます。私は貴女の為だけに存在している事を知ってほしい」
「想ってくれるのは嬉しいけど、応えれるか分かりませんよ」
そう言うと手の甲に口付け微笑んだ。そしてこの後公爵邸を後にし教会に戻った。
--- 半年後 ---
司祭と国王陛下が北の森の祭壇に破瓜の印を納めた。その後緩やかに邪気は薄まり半年後にはグラナダスは浄化され安寧が訪れた。
そして私早川雛子は処女を捧げた彼と明日教会で結婚式をあげる。優柔不断の私は中々決心がつかず、歴代の乙女の中でも決断が遅く、王家や教会に心配かけてしまった。そんな私に司祭が
「このままお相手をお選びにならないのではないかと心配しました。しかし送り出す事になり寂しく感じております。烏滸がましいのですが共に生活するうちに、私は貴女を娘の様に想っていた様で、今は娘を嫁がす父親の気分です」
司祭はそう言い優しくハグした。私はお世話になった事にお礼を言うと
「そうそう。歴代の乙女が婚姻する前日に読み継がれている本がございます。お渡しいたしますので一読下さい」
「?」
司祭から古びた分厚い本を受け取り嫌な予感がしてきた。歴代の乙女が皆読んできた本。きっと重要な事が書いてあるはずだ。そう思い急いで部屋に戻り本を開く。
『何が書いてあるんだろう…もしかしてロストバージンしたら帰れるとか?』
期待半分で読み始めると…
「はぁ?」
思わず大きな声を出してしまい、外から護衛騎士が飛び込んできた。慌てて何も無いと言い下がってもらう。そして続きを読むがあり得ないオチに猛烈に腹が立ってきた。そして歴代の乙女もこのオチを知り、その怒りをこの本に書き残している。
「嫌だ!自分の恋愛話をネタにされた上に、その話を読んだ他の女性がここに呼ばれるなんて」
そう神は異界で異世界恋愛話をweb小説に書き、異界に興味のある乙女を呼び寄せていた。つまりその恋愛話は呼ばれてグラナダスに来た乙女がネタ元だったのだ。そして私が読んでいた話は、私の三代前の乙女の話だったのだ。私は天を仰ぎ大きなため息を吐いた。そして
『神様だからって何しても良いわけないよ!』
っと、どこかで聞いているであろう神様に文句を言った。この感じなら私の話は枯れたアラサー女の異世界転移話にされるだろう。猛烈に腹が立ち本の最後に気持ちを書き残した。また何十年かしたらこの話を読んだ何も知らない日本の少女が、ここに来てしまうのだろう。
今異世界小説を読んでいる皆さんに声を大にして言いたい!
『【異世界に行ってみたいですか?】この問いには答えないで!それは異界の神オルランの罠だから!』
そう書き残し本を閉じた。そして馬車が泊まる音がし窓の外を見ると、明日夫となる彼が馬車から降り私に気付き手を降る。
『まぁ~色々思うところがあるけど、今は幸せだからいいか』
そう思い本を持って部屋を出た。これから平穏で愛に満ちた人生が待っている。それにもしかしたら私の異世界生活が日本の誰かの心を癒しになるかもしれない。
『そうなるなら異世界移転も悪くなかったかも…』
そして翌日。沢山の人に祝ってもらいオルラン神の神像の前で愛する夫と誓いのキスをした。
私のその後の惚気話はどこかの小説サイトで探してみて。きっとまたオルラン神が書いている筈だから。
終わり…
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