33 / 35
第三十三話 微睡み
しおりを挟む
「ああ、そう言えば漆原さん、前に警察署の女性をナンパしてましたね?」
そう言えばそうだったな。あれは三ヶ月以上前、香西雪愛の目論見を潰してやったあの時――。
「まぁね。あの時が初めてだけど、あの時は暇だったから、ウロウロしてたら交通課に可愛い女の子がいてさ、あっさりナンパ出来たから俺も意外だった。だからさ、その経験を生かして……」
「待て待て、漆原くんは相手に顔も名前もバレてるんだしさ、いくらなんでも港西警察署の人をナンパするのはまずくない?」
「そんなことはないさ。港西警察署の全員が絡んでるわけじゃないんだし、一人や二人、警察署から出てくる女の子をナンパするくらいわけないさ」
すごい自信だな。確かに漆原の言う通り、警察署の中ならともかく外でナンパするなら可能かもしれないが……。
「漆原くん、本気で警察署の女性をナンパするつもり?」
「ああ、俺の特技だしさ、仲良くなったらこれが、女の子って大抵はべらべら喋ってくれるんだよ。だから警察署の内部情報だったら色々分かるんじゃない? さっきの関西弁の男が誰なのか、とかさ」
私は三島に目配せすると、三島もどうやら漆原の提案にオッケーらしかった。私としては、個人的にナンパという女性をある意味馬鹿にしたとしか思えない行動を調査活動の中に含めることには内心、自分の主義としては反対したい考えもあったが、どうにかして証拠を掴まないことには埒が明かない以上、手段を選んで入られない。
「分かったわ。でも、今までみたいないい加減な関係はやめるね。漆原くんにも一応雇用契約を結ぶわ。アルバイトだけど」
「雇用契約? どうして?」
「だって、今回みたいに何かあったら大変でしょ? その辺はきちんとしておかないと――」
「そんなのいいよ。雇われようだなんて思ってないしさ」
「駄目だって。うちは一応これでも法人会社なのよ? その責任もあるんだから。これは遊びじゃないわけだし」
「遊びじゃないって……。だったらさ、業務委託契約ってことにしない?」
「業務委託?」
「うん、細かい話は後にしてさ、雇用じゃなくて業務委託契約ってことにしようよ。実は俺がオーナーやってる店の店長も全員業務委託でやらせてるから、その方が話、簡単だし。とにかく雇用ってのは勘弁して欲しい。ね? いいでしょ?」
業務委託って、要するに下請けに仕事回す、みたいなもんか。一応ちゃんと契約って形にしておけば雇用に拘らなくてもそれで良いのかな……。にしても、漆原ってちゃんと実業家やってんだな。
「分かったわ。契約書の内容はまた後日ってことで。あと、うちのスマホを渡すから仕事中は必ず持ってて」
「了解」
その日は深夜一時まで、仲西麗華の案件を進めるための打ち合わせとなった。ウィメンズオフィスの監視は、十日間以上の録画データが得られたということで一旦終了。私と三島は分担して、渡辺二瓶と香西雪愛の尾行を含めた身辺調査、漆原は港西警察署の女性をナンパして内部情報を取得する任務に当たる、ということになった。
問題は、渡辺二瓶らの売春組織を藤堂海来探偵社が嗅ぎ回っているということが、今回漆原が拉致監禁されたり、以前、家宅捜索を受けたりしていて、バレているということだった。それ故、行動には慎重にならざるを得ず、取り敢えず一週間だけ行動を控えると言うことを決めた。そしてその日は解散、夜遅くまでの打ち合わせとなったので、その日の出勤は午後からと三島に言った。漆原は一週間後から自由行動していい、と――。
次の日。正午ちょうどに事務所に出勤すると、三島のほうが先に出勤していた。その三島、昨晩、私が書いたホワイトーボード上の仲西麗華事案の説明を、腕組みしなからじっと眺めていた。
「社長、やっぱりこれって何か変だと思いませんか?」
私は自分のロッカーに通勤用のバッグとコートを仕舞って、自分のデスクに座ってから返事。
「私、なんか間違ったこと書いたかな?」
「いえ、そうじゃなくて、少しだけ僕の方で時系列をわかりやすく書き換えたんですけど、警察の家宅捜索を受けたのって先週の火曜日ですよね?」
「ええ、そうね。……あ、そっか、そろそろ押収品返してくれてもいいよね、もうあれから一週間になるのに、警察から何の連絡もないし」
「そういうことじゃありませんよ。順序を考えると変だってことなんですよ」
三島の言ってる意味がわからない。午前中、ちょっと寝すぎたかな? なんだか頭が冴えないんだよな。
「うーん、色々とまだよくわかんないからね。おかしな風に見えることもあるんじゃないの?」
「見える、って話じゃないと思います。だって、昨日漆原さんが拉致された時、社長の電話にかかってきた相手は、こう言ってますよね」と言って、三島はパソコンからあの電話の会話録音を再生した。
〈……、藤堂海来探偵社の藤堂海来さん。漆原のスマホの着信履歴と漆原が持っていたあなたの名刺に記載された携帯番号は一致している〉
「……って、言ってますよね? おかしいと思いませんか?」
駄目だ、頭がまだ冴えない。なんかぼーっと微睡んでる、みたいな感覚。
「わかんない。ごめん、私、午前中寝すぎるとどうも頭が覚めるのが遅くって……、えっと、はっきり言って。なにがどうおかしいのか」
「だって、社長、先週の火曜日にうちは既に警察の家宅捜索を受けてるんですよ? どうして今さら〈藤堂海来探偵社の藤堂海来さん〉なんて向こうが言う必要あります? 言ってることから明らかに、漆原さんを捕まえて、携帯と漆原さんが持っていた社長の名刺からそう言ってるんですよ? ということは、電話の相手はうちのことは漆原さんを捕まえるまで知らなかった、ということになりますよ?」
あっ! そういうことか。やっと頭が回ったぞ。私は自分で持ってきた水のペットボトルをぐびっと飲んだ。
「とういことは三島くん、つまり……、昨日の男は家宅捜索とは無関係ってこと?」
「そうなりますね。少なくとも昨日の男は家宅捜索を知らない」
「そうなのか……、ということは、家宅捜索はほんとにウチの会社が探偵業法違反で――」
「いやいやいや、社長、ほんとに頭覚ましてくださいよ」
「なによー? もう覚めてるってば。そう考えるしかないじゃない?」
「じゃぁ、郵便受けのメモはどうなります?」
あっ。忘れてた……。しまったなぁ、帰ってからワイン飲んじゃったからかなぁ。くっそう、三島に馬鹿にされるーっ。
「……そうね、あのメモは仲西麗華を尾行した翌日で、調査をするなって意味だった」
「そうなんですよ。あの家宅捜索はうちに対する嫌がらせだし、メモはあくまで調査を続けると、家宅捜索以上に酷いこと、例えば無理やり僕か社長を逮捕するとか、会社の存続を危うくするようなことまでするって意味になります。そういう脅しをしておきながら、昨日漆原さんを拉致監禁した人は初めて藤堂海来探偵社の存在を知った。つまり、家宅捜索した警察と、昨日の連中は無関係だってことになります」
いや待て待て、もう頭は完全に覚めたぞ。三島、今度は君が言ってることがおかしい。
「無関係なわけないじゃんか。尾行するなって、それは相手が売春組織だからじゃん。仲西麗華は当然売春組織の被害者なわけだし、ウィメンズオフィスから尾行したんだからそれも同じ売春組織絡みなわけだし、仲西麗華の相手とそのウィメンズから尾行した男は同じ男なんだし……、まぁ漆原の見立てが間違ってなければ、の話だけど、多分間違ってないと思うし」
おっと、ちょっと強く言い過ぎたみたいで、三島の表情が困惑気味だな。
「そ、そうなんですけど、……そうじゃないっていうか」
「三島くん、あなたが頭覚めてないんじゃないの?」
「頭は覚めてますよ。今日だっていつもと同じ朝六時に目は覚めてますし」
「でも三島くんの言ってることはおかしいでしょう? 三島くんの推測なら、別々の売春組織が同じ人間に買売春させてる、だなんて矛盾も甚だしい理屈になっちゃうよ?」
「いや、まぁ……。でも、昨日の男がこの探偵社を知らなかったことは明らかだから……」
「だったらさぁ、例えば、たまたま昨日の拉致グループと、家宅捜索やったグループ、つーかあのメモを投函した人間が別々ってだけなんじゃない? 組織っつーのは、上の人間がいてその配下がいるって構造なわけだし、上の人間は何でも知ってるかもしれないけど、下の人間は全てを知らされているわけじゃないでしょ。違うかな? そう考えたら別に昨日の拉致犯がこの探偵社を知らなくてもおかしな話じゃない。でしょ?」
これで完璧だろう。私は三島に馬鹿にされるのは嫌なのだ。三島くんは頭はいいのだけど、もうちょいしっかり考えないとね。
「うーん、そうなのかなぁ……、社長の仰ることは尤もだとは思うんですけど……」
まだ納得しないのかなぁ? 昨日の拉致グループと先週の家宅捜索の人間が全く無関係なんて、そんなわけないじゃんか。
「三島くん、そんなことより、他にやることあるじゃんか」
「他に?」
「渡辺や香西の尾行監視とかは来週からするって言ったけど、それ以外で調べられることはするよ。せっかく漆原くんがあの男の写真と関係会社突き止めてきたんだからさ、そこから調べよう」
「分かりました。会社の方は既に調べてますよ。社長のデスクの上の資料置いてある、それです」
おっと、何だよ三島、仕事早いじゃんか。私は、無言で三島にオッケーサインして、その資料を手に取った。
橋本商会。貴金属を取り扱う会社で、年商が百億を超える。主に産業廃棄物から貴金属類を抽出して再加工する工場を完全子会社として配下に持ち、産業用から資産用、いわゆる宝石類まで手広く事業をする会社だ。歴史も古く百年以上続いているようだ。なかなか手堅そうな会社。金のインゴットとか私も欲しい……、ってこのキラキラした金やプラチナの写真見ていたら涎が出そうだ。現社長の名前は、村川太郎――。
「社長、顔写真を検索にかけたら、出ましたよ。この人、その会社の社長、村川太郎です」
ふむ、簡単だったな。
「ええっと、今は参議院の国会議員ですね」
そうかそうか、三島は仕事が早……、って、何だって? 国会議員?
そう言えばそうだったな。あれは三ヶ月以上前、香西雪愛の目論見を潰してやったあの時――。
「まぁね。あの時が初めてだけど、あの時は暇だったから、ウロウロしてたら交通課に可愛い女の子がいてさ、あっさりナンパ出来たから俺も意外だった。だからさ、その経験を生かして……」
「待て待て、漆原くんは相手に顔も名前もバレてるんだしさ、いくらなんでも港西警察署の人をナンパするのはまずくない?」
「そんなことはないさ。港西警察署の全員が絡んでるわけじゃないんだし、一人や二人、警察署から出てくる女の子をナンパするくらいわけないさ」
すごい自信だな。確かに漆原の言う通り、警察署の中ならともかく外でナンパするなら可能かもしれないが……。
「漆原くん、本気で警察署の女性をナンパするつもり?」
「ああ、俺の特技だしさ、仲良くなったらこれが、女の子って大抵はべらべら喋ってくれるんだよ。だから警察署の内部情報だったら色々分かるんじゃない? さっきの関西弁の男が誰なのか、とかさ」
私は三島に目配せすると、三島もどうやら漆原の提案にオッケーらしかった。私としては、個人的にナンパという女性をある意味馬鹿にしたとしか思えない行動を調査活動の中に含めることには内心、自分の主義としては反対したい考えもあったが、どうにかして証拠を掴まないことには埒が明かない以上、手段を選んで入られない。
「分かったわ。でも、今までみたいないい加減な関係はやめるね。漆原くんにも一応雇用契約を結ぶわ。アルバイトだけど」
「雇用契約? どうして?」
「だって、今回みたいに何かあったら大変でしょ? その辺はきちんとしておかないと――」
「そんなのいいよ。雇われようだなんて思ってないしさ」
「駄目だって。うちは一応これでも法人会社なのよ? その責任もあるんだから。これは遊びじゃないわけだし」
「遊びじゃないって……。だったらさ、業務委託契約ってことにしない?」
「業務委託?」
「うん、細かい話は後にしてさ、雇用じゃなくて業務委託契約ってことにしようよ。実は俺がオーナーやってる店の店長も全員業務委託でやらせてるから、その方が話、簡単だし。とにかく雇用ってのは勘弁して欲しい。ね? いいでしょ?」
業務委託って、要するに下請けに仕事回す、みたいなもんか。一応ちゃんと契約って形にしておけば雇用に拘らなくてもそれで良いのかな……。にしても、漆原ってちゃんと実業家やってんだな。
「分かったわ。契約書の内容はまた後日ってことで。あと、うちのスマホを渡すから仕事中は必ず持ってて」
「了解」
その日は深夜一時まで、仲西麗華の案件を進めるための打ち合わせとなった。ウィメンズオフィスの監視は、十日間以上の録画データが得られたということで一旦終了。私と三島は分担して、渡辺二瓶と香西雪愛の尾行を含めた身辺調査、漆原は港西警察署の女性をナンパして内部情報を取得する任務に当たる、ということになった。
問題は、渡辺二瓶らの売春組織を藤堂海来探偵社が嗅ぎ回っているということが、今回漆原が拉致監禁されたり、以前、家宅捜索を受けたりしていて、バレているということだった。それ故、行動には慎重にならざるを得ず、取り敢えず一週間だけ行動を控えると言うことを決めた。そしてその日は解散、夜遅くまでの打ち合わせとなったので、その日の出勤は午後からと三島に言った。漆原は一週間後から自由行動していい、と――。
次の日。正午ちょうどに事務所に出勤すると、三島のほうが先に出勤していた。その三島、昨晩、私が書いたホワイトーボード上の仲西麗華事案の説明を、腕組みしなからじっと眺めていた。
「社長、やっぱりこれって何か変だと思いませんか?」
私は自分のロッカーに通勤用のバッグとコートを仕舞って、自分のデスクに座ってから返事。
「私、なんか間違ったこと書いたかな?」
「いえ、そうじゃなくて、少しだけ僕の方で時系列をわかりやすく書き換えたんですけど、警察の家宅捜索を受けたのって先週の火曜日ですよね?」
「ええ、そうね。……あ、そっか、そろそろ押収品返してくれてもいいよね、もうあれから一週間になるのに、警察から何の連絡もないし」
「そういうことじゃありませんよ。順序を考えると変だってことなんですよ」
三島の言ってる意味がわからない。午前中、ちょっと寝すぎたかな? なんだか頭が冴えないんだよな。
「うーん、色々とまだよくわかんないからね。おかしな風に見えることもあるんじゃないの?」
「見える、って話じゃないと思います。だって、昨日漆原さんが拉致された時、社長の電話にかかってきた相手は、こう言ってますよね」と言って、三島はパソコンからあの電話の会話録音を再生した。
〈……、藤堂海来探偵社の藤堂海来さん。漆原のスマホの着信履歴と漆原が持っていたあなたの名刺に記載された携帯番号は一致している〉
「……って、言ってますよね? おかしいと思いませんか?」
駄目だ、頭がまだ冴えない。なんかぼーっと微睡んでる、みたいな感覚。
「わかんない。ごめん、私、午前中寝すぎるとどうも頭が覚めるのが遅くって……、えっと、はっきり言って。なにがどうおかしいのか」
「だって、社長、先週の火曜日にうちは既に警察の家宅捜索を受けてるんですよ? どうして今さら〈藤堂海来探偵社の藤堂海来さん〉なんて向こうが言う必要あります? 言ってることから明らかに、漆原さんを捕まえて、携帯と漆原さんが持っていた社長の名刺からそう言ってるんですよ? ということは、電話の相手はうちのことは漆原さんを捕まえるまで知らなかった、ということになりますよ?」
あっ! そういうことか。やっと頭が回ったぞ。私は自分で持ってきた水のペットボトルをぐびっと飲んだ。
「とういことは三島くん、つまり……、昨日の男は家宅捜索とは無関係ってこと?」
「そうなりますね。少なくとも昨日の男は家宅捜索を知らない」
「そうなのか……、ということは、家宅捜索はほんとにウチの会社が探偵業法違反で――」
「いやいやいや、社長、ほんとに頭覚ましてくださいよ」
「なによー? もう覚めてるってば。そう考えるしかないじゃない?」
「じゃぁ、郵便受けのメモはどうなります?」
あっ。忘れてた……。しまったなぁ、帰ってからワイン飲んじゃったからかなぁ。くっそう、三島に馬鹿にされるーっ。
「……そうね、あのメモは仲西麗華を尾行した翌日で、調査をするなって意味だった」
「そうなんですよ。あの家宅捜索はうちに対する嫌がらせだし、メモはあくまで調査を続けると、家宅捜索以上に酷いこと、例えば無理やり僕か社長を逮捕するとか、会社の存続を危うくするようなことまでするって意味になります。そういう脅しをしておきながら、昨日漆原さんを拉致監禁した人は初めて藤堂海来探偵社の存在を知った。つまり、家宅捜索した警察と、昨日の連中は無関係だってことになります」
いや待て待て、もう頭は完全に覚めたぞ。三島、今度は君が言ってることがおかしい。
「無関係なわけないじゃんか。尾行するなって、それは相手が売春組織だからじゃん。仲西麗華は当然売春組織の被害者なわけだし、ウィメンズオフィスから尾行したんだからそれも同じ売春組織絡みなわけだし、仲西麗華の相手とそのウィメンズから尾行した男は同じ男なんだし……、まぁ漆原の見立てが間違ってなければ、の話だけど、多分間違ってないと思うし」
おっと、ちょっと強く言い過ぎたみたいで、三島の表情が困惑気味だな。
「そ、そうなんですけど、……そうじゃないっていうか」
「三島くん、あなたが頭覚めてないんじゃないの?」
「頭は覚めてますよ。今日だっていつもと同じ朝六時に目は覚めてますし」
「でも三島くんの言ってることはおかしいでしょう? 三島くんの推測なら、別々の売春組織が同じ人間に買売春させてる、だなんて矛盾も甚だしい理屈になっちゃうよ?」
「いや、まぁ……。でも、昨日の男がこの探偵社を知らなかったことは明らかだから……」
「だったらさぁ、例えば、たまたま昨日の拉致グループと、家宅捜索やったグループ、つーかあのメモを投函した人間が別々ってだけなんじゃない? 組織っつーのは、上の人間がいてその配下がいるって構造なわけだし、上の人間は何でも知ってるかもしれないけど、下の人間は全てを知らされているわけじゃないでしょ。違うかな? そう考えたら別に昨日の拉致犯がこの探偵社を知らなくてもおかしな話じゃない。でしょ?」
これで完璧だろう。私は三島に馬鹿にされるのは嫌なのだ。三島くんは頭はいいのだけど、もうちょいしっかり考えないとね。
「うーん、そうなのかなぁ……、社長の仰ることは尤もだとは思うんですけど……」
まだ納得しないのかなぁ? 昨日の拉致グループと先週の家宅捜索の人間が全く無関係なんて、そんなわけないじゃんか。
「三島くん、そんなことより、他にやることあるじゃんか」
「他に?」
「渡辺や香西の尾行監視とかは来週からするって言ったけど、それ以外で調べられることはするよ。せっかく漆原くんがあの男の写真と関係会社突き止めてきたんだからさ、そこから調べよう」
「分かりました。会社の方は既に調べてますよ。社長のデスクの上の資料置いてある、それです」
おっと、何だよ三島、仕事早いじゃんか。私は、無言で三島にオッケーサインして、その資料を手に取った。
橋本商会。貴金属を取り扱う会社で、年商が百億を超える。主に産業廃棄物から貴金属類を抽出して再加工する工場を完全子会社として配下に持ち、産業用から資産用、いわゆる宝石類まで手広く事業をする会社だ。歴史も古く百年以上続いているようだ。なかなか手堅そうな会社。金のインゴットとか私も欲しい……、ってこのキラキラした金やプラチナの写真見ていたら涎が出そうだ。現社長の名前は、村川太郎――。
「社長、顔写真を検索にかけたら、出ましたよ。この人、その会社の社長、村川太郎です」
ふむ、簡単だったな。
「ええっと、今は参議院の国会議員ですね」
そうかそうか、三島は仕事が早……、って、何だって? 国会議員?
0
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。
そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。
夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。
それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになるのでご安心ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる