幾千の空

優しい空

ドシン！ドシン！
少女の後ろにいるのは5ｍ近いミノタウロスらしき者、少女はアイトに涙目で笑って手を振っているがアイトにそんな余裕などない。

アイトが体を震えさせていると既に少女とミノタウロスらしき者はアイトのすぐ傍にいた。

｢も～、どこ行ってたんだよ！探したんだぞ！父さんと一緒に1晩も！｣

｢え、あの･･･その･･･｣
アイトはミノタウロスらしき者をチラチラと見ながら少女に話しかける
｢その･･･人･･･違いだと･･･思います･･･｣

｢何言ってんのさ！私たちがどれだけ心配したと思ってんの！ふざけないでよっ！｣
｢早く帰るよ！｣少女はアイトの手を無理矢理引っ張った

｢ちょ･･･ちょっと待って｣無理矢理少女の手を解きアイトは言う
｢ちょっと質問させて｣

｢もしかして･･･私たちのこと･･･忘れちゃったの！？｣
少女はまた涙目になった

｢え、ちょっと待って泣かないでよ｣
｢あ、え、ちょっと･･･｣

アイトはミノタウロスらしき者に服の首元を摘まれ5ｍ近いまで持ち上げられた

あ、死んだ･･･俺･･･死んだ･･･まだ･･･生きてなきゃダメなのに･･･アイトはそう思った

｢ちょっと父さん！やめてよ！もう･･･
兄ちゃんは･･･記憶がないんだよ･･･！｣

｢は～、助かった･･･｣
｢て、え！？お父さん！！？｣

この･･･ミノタウロスらしき者から･･･こんな可愛い娘が･･･どういうことだ･･･？アイトは疑問ばかりがよぎる

この娘もそのうち、ミノタウロスらしき者に･･･ダメだ･･･角があって可愛い巨女にしか想像が出来ない･･･！

｢やっぱり･･･兄ちゃん･･･記憶がないんだよ･･･｣
｢大丈夫だよ･･･怖くないからこっち来て･･･｣

母性溢れる少女の声と合わさる手を広げる姿にアイトは心を奪われかけた
そのおかげかはわからないがアイトは段々と平然を取り戻した

ふぅー深呼吸を1つ｢あの･･･いくつか質問いいかな･･･？｣

｢うん･･･いいよ｣

｢一つ目の質問 ここって一体どこなんだ？｣

｢森の中だよ･･･エーピオテース山の｣

｢エーピオテース山･･･聞いたことがない･･･｣


｢この国の名前は？｣

｢エーピオテース 小さな小国だよ｣

ダメだ･･･質問すればする程わからなくなってくるどいうことだ･･･俺は･･･もしかして･･･アイトは思った･･･
異世界･･･転生･･･！
んな訳ないか！って･･･これしか･･･考えられない･･･。アイトはこの結論に至った 
異世界転生しか考えられないよな･･･異世界転生つってもいざなってみると･･･どうすれば･･･すごい力とかもなさそうだしなぁ･･･

｢じゃ、じゃあ･･･最後の質問･･･お父さんって･･･ホントのお父さん？｣

｢うん･･･そうだよ･･･あなたのお父さんでもあるんだよ･･･｣

そうか･･･俺･･･この娘の兄ちゃんなんだっけか･･･

｢名前を･･･教えてくれないか？｣

｢私の名前はメルト 父さんの名前はダイレス 名前は覚えてる？｣

自分の名前言った方がいいのか？ まぁ自分の名前でいいか

｢アイト･･･｣

｢そ、そうなんだ･･･｣

やはり名前は違ったようだ

｢取り敢えず･･･私たちの家に帰･･･来て｣

俺の(多分)異世界生活が始まる