フォロワーとの援交はオフパコに入りますか

ダイナマイト・キッド

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むちむち腋毛ボクッ娘と新宿でセックスした話

1.

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1.
 新宿駅東口。午後7時ちょい過ぎ。
 自宅のある弘明寺からブルーラインに乗って桜木町から京浜東北線で品川、そこからは山手線ですぐ新宿。横浜駅まで行って湘南新宿ラインという手もあるが、僕は京浜東北線がスキなのだ。

 春先の土曜日の夜。いつも以上の人波でごった返す新宿駅はだだっ広い水槽のようで、その中を泳ぐように歩いてやっとのことで東口の交番あたりまでやって来ると、広場の隅へ移動しながら端末を取り出して、アプリケーションを開いて、Mako.と表示された丸いアイコンをタップして、ちょうど良さげな(肥満気味の成人男性ひとりがスポッと治まる感じの)空間を見つけて立ち止まり、通話ボタンを押した。
 ヒトを小馬鹿にしたようなトコテントコテン言う呼び出し音が数秒流れて、一瞬それが途切れた後すぐに
「あ、着いたぁ?」
 と低く、だけど澄んだ声がした。よく通るハスキーボイス、と言った感じで声の主は
「今どこぉ?」
 と続けて来る。語尾が上がるのが彼女の特徴で、声質の割に話し方は多少幼く思えた。
「あ、今ね、東口の交番のちょっと近くに居る!」
 僕は舞い上がっているのを悟られまいと、丁寧に話そうとしてかえってチグハグな言葉遣いになったことにすぐ気づいて、ひとりで汗をかいた。

「あーーボクね、……ココ、ドコ?」
「え、いや東口の交番で待ってるって言ってたじゃない、何処に居るの真子ちゃ」
「たばこすえるとこ!」
 幾ら喫煙者に肩身の狭い世の中とは言え、この世に喫煙所が幾つあると思ってるんだ。しかも新宿駅で。
「その辺になんか書いてない?」
「えーー、んーー、……新宿イースト整形外科ぁ?」
「広告見てどうするのさ、喫煙所のとこにさ、ナニナニ口(ぐち)とかナントカ前とかあるじゃない」
「んーー、あ、場所送るねぇ~」
 受話器にくっつけた耳には少々うるさい音がコキンと鳴って、彼女の送った位置情報が共有されたらしかった。
「わかった、じゃあ行くから、そこ動かないでね!」
「んーー、ボクわかんないから待ってるねぇ!」

 大混雑の東口前で踵を返して、画面を見ながらワタワタと歩き始めた。
 これだけのニンゲンがぞろぞろ歩いていると、どんな格好をしてても目立つと言うことが無い。が、その分どっかに紛れてしまうと幾ら連絡手段が密になっても中々見つからない。彼女自身は派手めな美人だと思うが、居場所がわからなければ見つけることもままならない。共有された位置情報のリンクには
 新宿駅東南口高架下喫煙所
 という「こちら」を付けたら派出所の漫画になりそうな場所が書かれている。東南口、というぐらいだから東口からも大して離れちゃなかろう、と検索してみるとホントにそこそこ近い。

 喫煙所というから透明なパーテーションとベンチに灰皿くらいのもんかと思ったら、最早タバコはココまで隔離されるのか、というくらいしっかりした分煙ブースが据え付けられ、ガード下の地面を湿らせるジトついた空気さえあの中には届かないようになってるみたいだった。再び端末のアプリで通話を繋げる。
「あ、着いたよー」
「ホントだー、あのシマシマの服?」
「え、あ、そうそう!」
 僕がブースの中を覗き込もうとするのと同時に、黒い人影が小走りに近づいて来るのが見えた。片手で端末の画面をオフにして通話も打ち切り、彼女に駆け寄る。

「こっちこっち!」
「真子ちゃん!」
 黒く瑞々しい髪の毛が背中の辺りまで伸びて、衣服も上下ともに黒いシャツと膝丈のフリフリしたスカート、さらに底の厚い黒色のブーツ。全身真っ黒な装いで色白でむっちりとした素肌を包んでいる。
 もとよりハッキリした濃い顔たちを、さらに強調するアイメイク。それに顔全体で星座のように光るピアス。耳に左右5つ、眉間に1対、唇の両端にも1対、下唇にもひとつ。さらに左の眉毛や舌にも。アースしてない家電にでも触れたら顔からスパークしそうな数だ。

「久しぶりー!」
「ねーもう、2年か3年くらい?」
「ボクとそんなに会ってないっけぇ」
「暫くコッチで飲んでなかったもん。会いたかったよぉ」
 真子ちゃんと知り合った当時、僕はよく新宿まで飲みに来ていた。彼女とも、ゴールデン街に無数にある小さな店の一つで出会った。可愛くてむちむちでお酒が強くて気配り上手、そんな真子ちゃんがお気に入りなお客は大勢いて、僕もその一人だった。

「今日、どこ行く?」
「連れてってあげたいお店あるんだぁ」
 真子ちゃんは生まれも育ちも足立区の江戸っ子だ。中学を卒業するやトシを誤魔化して新宿に潜り込んで働き始めた。もっとも、いちばん稼ぎのある「仕事」自体は義務教育より先に卒業していて、最初の勤め先もその客の持っている店だったという。
 その後の紆余曲折は凄まじく、まるで一本のルポルタージュかアウトロー小説を読んでいるようで、望めば酒のサカナに幾らでも語ってくれた。

 だが世の中はタバコの煙と同じように清潔なコチラと不潔なアチラとで分断され、キレイでありたがるゆえに一種の潔癖になり、火のない所に立つ煙などまるで初めから存在しないような振る舞いで、国だけはどんどんキレイで美しくなっていった。
 カラダの中にだってビフィズス菌も居るというのに、まるで世の中からバイ菌と見なしたものは皆殺しにしないと気が済まない奴がカネと力を得ようとして、そのバイ菌どもをエサにしている。こんな皮肉な話があるか。

「ボクがずっとお世話になってる人のとこ!」
「あの綺麗な人のお店?」
「そぉ!」
 ボクは良い時に辞めれたんだなぁ。と、真子ちゃんはよくこぼしている。世間の潔癖は、やがてそんな清潔に向かう世間の日陰で生き延びてゆくために汚れてゆく、年端も行かない女の子たちにも矛先を向けた。救いの手や、逃げ道を用意するのではなく、煽り立てるような報道と好奇の眼差しによって散々に食い荒らされ、やがてもっとロクでもない連中からもっとロクでもない逃げ場と手のひらが差し出され、多くの仲間がそれきり帰って来なくなったという。
「中には、うまく抜けれた子たちも居ると思うけどねぇ」
 そう願うように呟く彼女は、結局この街に残ってお店に出ている。

「あの人に拾ってもらってなかったら、ボクもどうなってたかわからないよ」
 モア4番街の人波を掻き分けながら僕たちはゴールデン街に向かって歩き始めた。
「もうどのぐらいになるの?」
「んーー、2年ちょいかな」
「じゃあ、僕が最後に飲んですぐ移ったんだ」
 あの辺りは無数にお店がひしめき合っているし横の繋がりも強いから、店員が店を跨いで働いたり移ったりすることも頻繁にある。ただ、一見ボーダーレスに見えて、やっぱりデリケートな部分もあるようで。
「あーあの店ね。あの因業ババア、ボクが出勤してない時に店のトイレでエンコーしてたんだよね……」
「そういえば最近その店のツイッター動いてないね」
「ババア捕まったもん」
「えっ!?」
「結局お客にタレ込まれたんだろうね。捕まった時もあのババア店のトイレで客のチンポしゃぶってたんだって」
 結局その店はイロ仕掛けで客を引っ張った店主を客同士が取り合い、ついにあぶれた客からの通報で現行犯逮捕となったそうな。

「それでイヤんなってさ。捕まったのもボクが辞めてちょっと後だったから、いい潮時だったのかも」
「そうねえ。真子ちゃん、持ってるね」
 一旦ゴールデン街の横手、花園神社と、お笑い芸人を多く抱える大手芸能事務所のある建物の裏路地を通り過ぎて、ヘルマー湯の先の交差点のカド。
「ああ。ココだよぉ」
 そこには古式ゆかしき、如何にも昭和の新宿を見つめてきました、と言わんばかりの赤茶けたレンガの建物が見えて来る。月夜に聳える高層階はマンションで、その手前の地上2階地下1階の建物が飲み屋さんになっているようだ。

「ココだったんだ」
「あれ、知ってたっけ」
「建物は知ってたけど、入るのは初かも」
「あそっか、通り道だもんね」
 このビルよりさらに先にあるホテル街には、ゴールデン街と同じくらいお世話になっている僕だ。

 交差点で並んで信号待ちをする。
 春先とあってまだ夜は肌寒いけれど、歩いているうちにイイ感じで身体が火照ってきている。荒くなった彼女の吐息がフワっと鼻先をくすぐって、吸っていた煙草の銘柄を思い出す。汗ばんだ額にかかった髪の毛をハラリとかき上げるときに、黒いヴェールのような薄い羽織の向こうにノースリーブの腋が見え隠れして、むちむちとした白い素肌の狭間に黒く生い茂った密毛が少しだけ顔を見せた。
「……見た?」
「……見た」
 アッサリ白状する。この期に及んでカッコつけても仕方がない。どうせ彼女は、僕の心持なんてお見通しだ。
「もっと見たい?」
「もっと見たい!」
 そのために来たんだ。
「まぁだダメっ」
 ちゅっ、と唇だけでキスの仕草を見せて片目を瞑る真子ちゃんの煙草の匂いがする吐息を吸い込んで、思わずむせ返りそうになって眩暈がする。
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