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第166回。トレインスポッティングにはまる

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掲載日2017年 07月20日 01時00分

いい映画だった!

トレインスポッティング。
続編が20年ぶりに出るっていうんで話題になってたのが去年の年末?かな?
12月に大阪に行ったとき、三ツ寺にあるBARで知った映画だった。
面白そうだったのでレンタルしたのがつい最近。
ああ見てみようかなと思ってお店に行ったら運よく置いてた。

今じゃ結構な名作でもレンタル屋さんになかったりするからねえ。

そのことの是非とかメディアの移り変わりについてはおいといて。

映画の主人公たちはみんなろくでもない。
麻薬中毒、暴れ上戸(すぐ喧嘩をしたがる)、麻薬の売人になったやつ、そしてちょっと頭の足りない奴。
この4人組のダメっぷりがとてもいい。酒を飲みながら喧嘩の自慢話をしていたと思ったら、真相はとんでもなくみっともなかったり。物凄い汚い便所に座薬を落としてしまい、拾いに潜ると深く青い海だったり。その時に流れてた曲もとても良くて、また便所からザバリと顔を出すときの極限の汚さとの対比もよかった。なんか、うえーきたねえ!って思ったまま海に潜って、それを忘れた頃に出てくるのが憎いね。

ダイアン、綺麗だよなあ。あんな美人が居るんだな。
96年の映画だけど、今でも通用するくらい(少なくとも私は2017年に見て魅了されたわけだし)美人だ。
ずっとお預けだったのがいよいよって時に酔いつぶれてクソを漏らし(しかもそれをまき散らしてしまい)、自家製ポルノビデオを紛失して大騒ぎ(序盤でそれを主人公が見つけて抜き取るシーンが効いている)、かたやダイアンと熱い夜を過ごしたと思ったら…。あの場面で流れてたAtomicという曲が一番好きかもしれない。

やがてロンドンでバリバリ働き始める主人公の元へ、相変わらずのエディンバラから続々と仲間たちが追いかけて居ついてしまう。
地元に残ったスポーツバカの友達はポルノの一件で彼女に振られて薬物中毒から薬害エイズに。
これも検査のシーンと相まって遣る瀬無い。最後は猫の汚物にまみれて死んでしまう。
身も蓋も無さすぎて、しかも脳みそが物凄く痛むと聞いて…あの荒れ果てた部屋と心無い落書きが気持ちの奥底を逆撫でしてゆくようなシーンの連なりだった。


結局みんなして暮らし出したところで降って湧いた大仕事。麻薬取引。
シック・ボーイに不信感を抱きつつも現場に挑む緊迫のシーンだ。
見事に大金を手に入れるまでは良かったが、そこで主人公は友情と大金をはかりにかける。

最後にロッカーを開けたスパッドの顔が、二人の友情を物語っている。
友達とは何か、若さとは何か。
彼らが犯した罪や無為にした時間は消えないし戻らないけど、最後のモノローグで
あんたと同じさ
ってセリフが出てきて、ああレントンは本当にこれで踏ん切りをつけたんだなって。

あんなどうしようもない映画の、どうしようもない連中なのに、胸がすっとするような感触で見終えることができた。

いい映画だ!
このひとことに尽きます。

スパッドは面接に裁判にと見せ場もあって、彼のキャラにも惹かれます。
この映画で一番好きだな。なんか、ああいう奴って憎めない。犯罪者ではあるが、友達でもあるってのが良く伝わる。

ベグビーがいつ捕まるかと冷や冷やするけど、結局はひねり過ぎず、素直に話が進んでいくのも良かった。暗くて馬鹿々々しくてどこか美しいこの映画が取っつきやすいのはソコだと思う。
これは最低で怠惰だけど、それなりに暖かいこともある青春群像劇だったんだなあ。
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