不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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第290回。けけけ

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腱鞘炎だ。

今日(2017年11月17日)の仕事中、もっと言えば作業を終えてトラックに乗り込んで少ししたときに
ピキッ
と来た。
仕事はトラックの運転と配達の繰り返しなのだけど、それ以降はもう痛くて痛くて。

久しぶりに不自由と叫んでる左手親指がここにある、って状態でした。
元々左利きなので、左手に負担がかかりやすいのかなあ。痛むのは左ばかりな気がします。
というわけで親指が痛いです。
どのぐらい痛いのか。
左手の親指と人差し指で自分の鼻がつまめないぐらい。

あんな柔らかいところでもぎゅっと握る時に僅かに抵抗があるじゃない。その負荷がもうすでに痛い。チクっていうかズキっていうか、なんか
ツキューン
って感じの痛みが走る。

柔らかいところをつまんで痛いってんだから、固いものなんかもってのほか。
しかしキッドさんの体には柔らかいところをつまむと固くなる場所があるんだけど、何処だと思う?
ねえ?どこ?ねえ教えて?可愛い女の子は特に詳しく教えて???
あとそーゆーこと言われたら
「あ、じゃあ私可愛くないんで」
とかホントは可愛いのにそういうこと言うタイプの女の子も教えて???

はい、死ねばいいですね。

ギューーーーーーーーー!
死んだ!!!!!!!!!!!!!!!!!

死因は腱鞘炎で脳髄がねじれて死にました。そのあとで象に踏まれたのでそっちかも知れない。

手首の痛いのなんか結構長くて、少林寺拳法やってると初段辺りから手首を決める技が増えてきたり、固い床の上で転がって受け身取ったりするんで傷めた事もあったし、柔道と同時にやってた頃は、もうどっちでどう怪我したのかもよくわからなくなってた。
でも一度、少林寺でも柔道でもなく手首の骨を折ったことがあった。のを、この痛いので思い出した。

あれは中1の秋。
友達のヒデシ君と自転車で遊びに行った帰り道に交通事故に遭った。
一旦停止の交差点で飛び出した私と、一旦停止をしなかった運転手の運命の出会い。
それは映画「トレインスポッティング」でLust for lifeに乗って走るEwan McGregorよろしくドッカンときた。
ヒデシ君が驚いて駆け寄ってくれたのと、犬の散歩に出掛けようとしていたオバサンが悲鳴を上げるのと、その運転手と車がどっかに行くのが同時に起こった。私はどうしたらいいやら、とりあえず自転車を起こして無事を確認した。ハンドルが曲がってたので足で挟んで
グイッ
ってして直した。
オバサンがシップを持って来て貼ってくれた。
礼を述べて自転車をこぎ出した。ヒデシ君の家でバイバイして、家に帰って、フツーに過ごしていた。

次の日、左手首が猛烈に痛くて目が覚めた。
慌てて医者に行ってレントゲンを撮ると尺骨にヒビが入っていた。
手首の骨の津軽半島みたいになっている部分のレントゲン写真に、クッキリと横線が入っている。
こりゃ痛いわ!
すぐさまギプスで固定され、椎名林檎気分で登校すると学校がメタクソになっていた。
途中の道路も家も店もぐっちゃぐちゃ。怪獣が暴れたのか、マッドマックスの世界に入り込んだのかと思ったが、事実はもっと意外で、しかしちゃんとしていた。

突然発生した竜巻が学校を直撃していた。

泣き喚く女子生徒、茫然とするもの、恐怖が過ぎ去った反動でハイテンションになってる奴、あんがい平気な顔をしていた柔道部の人気部員・大ちゃん。
混沌のさなかに、いちばん大袈裟な格好をして無傷で(骨にヒビ入ってっけど)現れた私。

普段はその冷徹で威圧的な態度が鼻に付く数学教師アオキはこんな時も平然とし、同じく平然と(あるいはボンヤリと)していた大ちゃんに
「ダイゾー!ホウキとチリトリだ!」
と指示を飛ばし、それを聞いた大ちゃんことダイゾーも
「あいあいさー」
と間抜けな返事をしてノタノタと掃除道具を取りに行っていた。その場面がずっと、未だに脳裏にこびりついている。
もっとこう、大好きだったあの子の泣き顔とか、ガラスの破片で腕を切った太田のケースケ君のこととか、そういうのあるだろ!?と思うけど、竜巻のシーンでいちばん関連付けのヒモが括ってあるのがこの部分だからしょーがない。
トロくて間抜けでぼんやりした夢想家の大ちゃんを、ちょっと見直したことも大きいのかも知れない。

まあそんなわけで、竜巻直撃のわが校にケーブルテレビが取材にやってきた。
当然、腕を吊って悲壮感漂う私にマイクが向けられた。
コレで私が自己顕示欲をどっかでねじくっちゃったバカがツイッターやってるような性格してりゃ、涙ながらにインタビューに答え、自分が如何に不幸な生い立ちで日ごろの仕事が忙しくて理不尽な目に遭っているかまで聞かれても居ないのに声高に語り上げていたところだ。

んが、この時の私は、バカ正直に
「いえ違うんです、これは」
と言ってしまった。

まあ、それでよかったと今は思う。

あれから随分経つけど、手首の怪我はこの時からの付き合いになる。
そして学校の傍の工務店の看板には
地震・竜巻から家を守る!
という文言が付け加えられていた。

今夜も湿布を貼って寝よう。
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