349 / 1,319
第320回。マザー3の話をしようじゃないか
しおりを挟む
オッケーですか?
(あの声)
2の話は散々したけど、3はあんまりしてないなって。
みんな買った?
私は予約して、マザー3仕様のゲームボーイのちっちゃいやつも買ったよ。
あの当時は毎日ほぼ日も読んでて、天久先生の味写(あじしゃ)が好きだった。
で買ってスイッチを入れるわな。
手元の小さな画面で始まるマザーに戸惑うような楽しみなような。
イヤホンして画面を見つめる。
のっけから結構キツい物語が続く。
出てくるキャラクターも、前までと違って露骨に嫌な奴、扱いづらいオッサン、必ずしもいい人ばかりじゃない世界。そして交差点に立ち尽くす背の高い男。
最初の平和でのどかな母子の物語が、後々までずっと尾を引く。そんなゲームだ。
起こってほしくないことばかり起こるのに、なぜかその真っ最中は少し笑えたり、悲しかったり、冒険に夢中になれたり、音楽でノリノリになれたりする。
感情があっちこっち心地よく揺さぶられて、気が付くとずいぶん遠くまで来ている。
私はイカヅチタワーで我に返った。
ああ、もうだいぶ進んできてしまったんだな、と。
そしてその転機は、すぐにやってきた。あの散々憎たらしい真似をした男が、バナナ一つで奈落の底に真っ逆さま。
マザーシリーズといえば音楽。
今回も愉快なバンドが登場する。
その演奏を担当しているのがクレイジーケンバンドと聞いて、驚くやら嬉しいやら。
私は小学校高学年でパンチ!パンチ!パンチ!を聞いて以来のケンさんファンなのだ。ノッサンも好き。
お城に何度も入るのだけど、あそこでパーティしてるオバケがワインを飲んでるところ好きだったなあ。
あれはいいオバケで、敵として出てくるのは悪いオバケ、ってのもよかった。
ドロボウ親子もサルと主人も、それぞれのドラマが進行して、その先で絡み合う。
一つ一つの章が濃いんだけど、それがしっかりつながるから気持ちがいい。
6章だっけ、ひまわり畑でお母さんの幻影を追いかけるだけのやつ。
あれ悲しかったな。
あのゲームをやるときは、時間にゆとりをもって、絶対イヤホンした方がいい。
私は少なくともそう思う。サウンドバトルもだけど、普通に聞いてて気持ちのいい曲も多いし、肝心のところの曲は本当に最高だったから。
ひまわり畑のところはイヤホン必須だったと思う。
どせいさんも再登場してくれるし、今回も「のりものです」など便利な発明をしてくれる。
相変わらずのぽてんしゃる!を誇る彼らだが、やっぱり正体はわからない。
とても素敵な生き物なのだが、それがなんなのかはよくわからない。
この糸井式の心地よさ。
何だかわからないけど、とてもいい。
それでいいじゃない。
そういわれているようで。
ちなみに今作には糸井さんおすすめの焼きそばやとんかつの情報がどこかに載っていた。
東京に行くときにそのお店に行くことはおそらくないと思うけど、なんかいいこと聞いたなって感じがする。
マザー3は何度も何度も出るという噂があった。
最初はニンテンドー64で出るというので、小学校高学年の私は心待ちにしていた。
実際にちょっとだけ開発中の画面が雑誌に載ったりもしていた。
ずっと待っていたけど、結局出ないまま私は大人になっていた。
小学校高学年の私は学校に行けず、家庭に居場所もなく、近所の祖父母の住んでいる団地の部屋で、ひとりマザー2をやっていた。冬の寒い日。石油ストーブの熱と匂い。おじいちゃんが作ってくれた昼食のワンタンが美味しかった。
だから、主人公カズヤの「すきなこんだて」は、長いこと「ワンタン」だった。
イーグルランドにも中華料理が普及していたことを祈りばかりだ。
ランマ王国にはさぞかし美味しいワンタンがあったことだろう。食堂のメニューには載ってなかったけど。
やぎバターがゆ、美味しそうだったなあ。
結局それから10年ぐらい経って、ついに発売されることになった。
ほぼ日でもマザー関連の企画が色々と始まった。
発売を心待ちにしていたのは二十歳になった私と、小学校高学年の私。
二人の私が一緒に遊んだ。
随所に置かれているマザー2のオブジェ。
大都会の映画館では、あの冒険が映画になっていた。
一つ一つ噛み締める余裕が出てきたのは2回目以降のプレイだったけど、回を重ねるごとに序盤の悲劇が億劫になっていった。
テンイエティとか、すてきなポーズをとる石像とか、おげんきになるキノコとか、明太子マンとか、ネガティブマンとか…書き出せばキリがないぐらい、楽しい要素もいっぱいあった。
タネヒネリ島は、まあ、2006ねんバージョンのムーンサイドだったのかもしれないけど。
あの郵便ポストを覗くセリフは、今でも私に影響を与えているなあと思う。
赤黒い糸井さんが垣間見える、ステキな幻覚だった。
私はマザー2を遊ぶときは、全員に話しかけ、全アイテムを収集し、全部の敵を倒すことにしている。
マザー3もそれに倣った。
敵の後姿も図鑑に収めることが出来るので、アイテムが無いうちは散々苦労して後ろに回り込んだ。
ブタマスクだろうが嫌な町長だろうが、物語が進むたびに話しかけに行った。
が!しかし、あとで読んだ攻略記事に、イカズチタワーの片隅にひとり、ブタマスクが隠れていたことが書かれていた。柱の陰に居たらしい。
気づかなかった…。
そこで心が折れてしまった。
何度も遊んだのに。
あれ以来、再開してもろくに進められないまま、バンドをやっててスタジオ代にも事欠くような時期に本体ごと売ってしまった。2000円だった。
6年生の私、ごめんよ。また買うからさ。一緒に遊ぼうぜ。
(あの声)
2の話は散々したけど、3はあんまりしてないなって。
みんな買った?
私は予約して、マザー3仕様のゲームボーイのちっちゃいやつも買ったよ。
あの当時は毎日ほぼ日も読んでて、天久先生の味写(あじしゃ)が好きだった。
で買ってスイッチを入れるわな。
手元の小さな画面で始まるマザーに戸惑うような楽しみなような。
イヤホンして画面を見つめる。
のっけから結構キツい物語が続く。
出てくるキャラクターも、前までと違って露骨に嫌な奴、扱いづらいオッサン、必ずしもいい人ばかりじゃない世界。そして交差点に立ち尽くす背の高い男。
最初の平和でのどかな母子の物語が、後々までずっと尾を引く。そんなゲームだ。
起こってほしくないことばかり起こるのに、なぜかその真っ最中は少し笑えたり、悲しかったり、冒険に夢中になれたり、音楽でノリノリになれたりする。
感情があっちこっち心地よく揺さぶられて、気が付くとずいぶん遠くまで来ている。
私はイカヅチタワーで我に返った。
ああ、もうだいぶ進んできてしまったんだな、と。
そしてその転機は、すぐにやってきた。あの散々憎たらしい真似をした男が、バナナ一つで奈落の底に真っ逆さま。
マザーシリーズといえば音楽。
今回も愉快なバンドが登場する。
その演奏を担当しているのがクレイジーケンバンドと聞いて、驚くやら嬉しいやら。
私は小学校高学年でパンチ!パンチ!パンチ!を聞いて以来のケンさんファンなのだ。ノッサンも好き。
お城に何度も入るのだけど、あそこでパーティしてるオバケがワインを飲んでるところ好きだったなあ。
あれはいいオバケで、敵として出てくるのは悪いオバケ、ってのもよかった。
ドロボウ親子もサルと主人も、それぞれのドラマが進行して、その先で絡み合う。
一つ一つの章が濃いんだけど、それがしっかりつながるから気持ちがいい。
6章だっけ、ひまわり畑でお母さんの幻影を追いかけるだけのやつ。
あれ悲しかったな。
あのゲームをやるときは、時間にゆとりをもって、絶対イヤホンした方がいい。
私は少なくともそう思う。サウンドバトルもだけど、普通に聞いてて気持ちのいい曲も多いし、肝心のところの曲は本当に最高だったから。
ひまわり畑のところはイヤホン必須だったと思う。
どせいさんも再登場してくれるし、今回も「のりものです」など便利な発明をしてくれる。
相変わらずのぽてんしゃる!を誇る彼らだが、やっぱり正体はわからない。
とても素敵な生き物なのだが、それがなんなのかはよくわからない。
この糸井式の心地よさ。
何だかわからないけど、とてもいい。
それでいいじゃない。
そういわれているようで。
ちなみに今作には糸井さんおすすめの焼きそばやとんかつの情報がどこかに載っていた。
東京に行くときにそのお店に行くことはおそらくないと思うけど、なんかいいこと聞いたなって感じがする。
マザー3は何度も何度も出るという噂があった。
最初はニンテンドー64で出るというので、小学校高学年の私は心待ちにしていた。
実際にちょっとだけ開発中の画面が雑誌に載ったりもしていた。
ずっと待っていたけど、結局出ないまま私は大人になっていた。
小学校高学年の私は学校に行けず、家庭に居場所もなく、近所の祖父母の住んでいる団地の部屋で、ひとりマザー2をやっていた。冬の寒い日。石油ストーブの熱と匂い。おじいちゃんが作ってくれた昼食のワンタンが美味しかった。
だから、主人公カズヤの「すきなこんだて」は、長いこと「ワンタン」だった。
イーグルランドにも中華料理が普及していたことを祈りばかりだ。
ランマ王国にはさぞかし美味しいワンタンがあったことだろう。食堂のメニューには載ってなかったけど。
やぎバターがゆ、美味しそうだったなあ。
結局それから10年ぐらい経って、ついに発売されることになった。
ほぼ日でもマザー関連の企画が色々と始まった。
発売を心待ちにしていたのは二十歳になった私と、小学校高学年の私。
二人の私が一緒に遊んだ。
随所に置かれているマザー2のオブジェ。
大都会の映画館では、あの冒険が映画になっていた。
一つ一つ噛み締める余裕が出てきたのは2回目以降のプレイだったけど、回を重ねるごとに序盤の悲劇が億劫になっていった。
テンイエティとか、すてきなポーズをとる石像とか、おげんきになるキノコとか、明太子マンとか、ネガティブマンとか…書き出せばキリがないぐらい、楽しい要素もいっぱいあった。
タネヒネリ島は、まあ、2006ねんバージョンのムーンサイドだったのかもしれないけど。
あの郵便ポストを覗くセリフは、今でも私に影響を与えているなあと思う。
赤黒い糸井さんが垣間見える、ステキな幻覚だった。
私はマザー2を遊ぶときは、全員に話しかけ、全アイテムを収集し、全部の敵を倒すことにしている。
マザー3もそれに倣った。
敵の後姿も図鑑に収めることが出来るので、アイテムが無いうちは散々苦労して後ろに回り込んだ。
ブタマスクだろうが嫌な町長だろうが、物語が進むたびに話しかけに行った。
が!しかし、あとで読んだ攻略記事に、イカズチタワーの片隅にひとり、ブタマスクが隠れていたことが書かれていた。柱の陰に居たらしい。
気づかなかった…。
そこで心が折れてしまった。
何度も遊んだのに。
あれ以来、再開してもろくに進められないまま、バンドをやっててスタジオ代にも事欠くような時期に本体ごと売ってしまった。2000円だった。
6年生の私、ごめんよ。また買うからさ。一緒に遊ぼうぜ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる