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第371回。我が愛しの爆弾小僧

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これは
プロレスの話、しませんか?
という私の書いている別の記事に投稿したものです。
#これを見たフォロワーさんはアカウント名の由来を言う
というタグを見かけたので、こっちにも書き写しておくことにしました。

この名前の通り私はプロレスが大好きで、その中でもダイナマイト・キッドが世界で一番好きです。
古今東西のプロレスラーを全員合わせた中で選べと言われたら、1位はキッドです。
2位以降と何が違うのかと言われたら、もう幼児期の刷り込みであるとしか言えないかもしれない。
それほどまでに強烈な印象を刻み込まれたプロレスラーは、ダイナマイト・キッドだけでした。


テレビで流れたらしい映像は見ていない。
けど、誰かのアップした写真は見た。
それで十分だった。
今現在の彼は、もう昔の面影すら残っていなかった。
それでよかったのかも知れない。答えは、今も見つかってない。

ダイナマイト・キッド。
私のハンドルネームは、モロに彼のことだ。
誰よりも大きい訳でも、華麗なわけでもなかった。
だけど誰よりも強く、誰よりもカッコよく、誰よりも豪快に戦った。

私はダイナマイト・キッドが活躍した時代、いわゆる黄金時代のプロレスをリアルタイムでは見ていない。
近所のレンタル店にあったビデオテープ。
タイガーマスク特集のうちの1本を手に取ったのがきっかけだった。
お目当てはダイナマイト・キッドでもタイガーマスクでもなく、ウルトラマンだった。
当時幼稚園の年長組か小学校入りたてぐらいで、私は「あのウルトラマン」が出ると信じて疑わずにビデオを借りた。

今だったらルチャリブレに対して一定量の知識があるので、「メキシコの」ウルトラマンがウルトラマングレートやウルトラマンスコット、パワードなどの「外国版ウルトラマン」の類に含まれない事はわかる。

けど、当時のチビッコである私には落胆モノだった。
ルチャドールのウルトラマンは確かに素晴らしい戦いを見せてくれた。だけど、私の見たかった
「あのウルトラマン」
ではなかった。
かわりに私を夢中にさせたのがダイナマイト・キッドだった。
名前も、筋肉ムキムキの風貌も、タイガーマスクを容赦なくぶっ飛ばす戦い方も物凄くカッコ良かった。
要は怪獣みたいだったんですな。

その後スクスクと成長して、高校2年の夏。
鼻のレーザー手術で入院する前に本を買った。
それが当時出版されたばかりのキッドの自伝「ピュア・ダイナマイト」だった。
この分厚い本を抱えて病棟のベッドに寝転んだ。
新日本プロレスの棚橋弘至選手の本によれば
「8割イタズラで残りがステロイドの本」
だという。
実際その通りだ。マクドナルドで仲間レスラーのポッケに詰め込んだ紙ナプキンに着火するとか、控室に置いてあったカバンに本物のダイナマイトを詰めて爆破するとか、テリー・ファンクが飲んでいる酒に一服盛って全く眠れなくしたり。笑えるものからちょっと度を越したものまで色々と書かれていた。

故ジョニー・バレンタインが半身不随になったのちにかつてのレスラー仲間から冷たい仕打ちを受けたのは、彼が現役時代に繰り返した度の過ぎたイタズラのせいだった、という説がある。
キッドはキッドで、リングを去った後はひっそりと暮らしていたようだ。
時は流れて立派なプロレスマニアのクソガキになっていた私の前に現れたダイナマイト・キッドは見る影もなく痩せ細っていた。

その後しばらく音信が無く、久々にGスピリッツに登場した時は嬉しかった。
けど、やっぱりそっとしておくべきなのではないかとも思った。
ダイナマイト・キッドは伝説だ。本物の男だ。
その最期は、愛する人たちだけで迎えてあげて欲しい。

変わり果てた姿になろうとも、骨や灰になろうとも。
ダイナマイト・キッドは永遠なのだ。
キッド、ありがとう。
私は選手でもなければ何でもない、ただいつまでもプロレスが好きで仕方がないクソガキのままだけど、いつまでも貴方が好きで仕方がない。

余談だけれど、最近ダイナマイト・キッドのラジオネームで伊集院光さんの深夜ラジオに投稿もしている。
漸く、少しだけネタが読んでもらえるようになってきた。
この小説家になろう、でもエッセイを書き続けることが出来て、同人誌ながら一冊の本にもなる。

良い事か悪い事かわかんないけど、私はずっと、この名前を使っていきたい。
いいですよね?
と聞いて、「勝手にしろ!」とロッカーを蹴飛ばされたい。
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