不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

文字の大きさ
466 / 1,328

第439回。ある日バンドを組みました。

しおりを挟む
キッドさんこう見えてバンド組んでましてね。
正確には、バンドやりたかった友達に急に呼ばれて
お前ベースやれ
と言われたんで、ベース好きだしやってみたら面白かった。
という程度なんだけども。

何の知識も勉強もないまま、言われるがままに
一番太い弦の上から四番目のとこ押さえろ、そうそう…こういうリズムで…あーもう!へたくそ!
とまあ、そんな教わり方をしたので、1弦の4フレ、みたいな言い方すら最初は出来ず。
というか暫くのあいだ、太い方と細い方で1弦と4弦が曖昧だった。どっちがどっちだっけ…?ってなってたけど言うとまたバカにされるので黙っていた。あとでコッソリ教則本を読んだり、楽器屋さんで安く売ってた初心者用セットのアイバニーズでひたすら練習してた。

アイバニーズもメサブギもアンペグもサッパリだったけど、やってみると覚えるもので。
アンペグというアンプとヘッドのあるスタジオで練習するのが好きだった。
が、当時の経済状況は最悪で。
彼女のアパートに転がり込んで、バイトを掛け持ちしつつバントマン。

典型的なやつじゃん。
我ながら恥ずかしくなるレベル。
彼女のほうは彼女のほうでマトモに働けるような状況ではなく、支援を受けながら何かの施設に通っていた。

で、だ。
そんなこんなで多少ベースギターに触るようになると、ベーシストという人達の良さがまた一段と感じられるようになった。

何しろ小学校低学年からイエローモンキーの廣瀬洋一さんが好きで、その廣瀬さんが影響を受けたっていうんでKISSを聞き始め、ジーン・シモンズも好きになり…ハデな人が好きなんだなあこうして考えると。
KISSは今は無き殺人医師ことスティーブ・ウィリアムスというプロレスラーが入場曲に使っていたのでその辺からの興味もあった。
プロレスと名曲は切り離せない関係にあるのだ。

そんなわけで私の不動の一位は廣瀬洋一さんだ。
ジーン・シモンズもいい。やっぱウロウロしてるだけで銭が取れるってすげえと思うもん。

バンドをやり出すとライヴにも行きたくなる。
元々うちの母親はクレイジーケンバンドの前身からケンさんのファンで、そのマネージャーさんでコピバンをやっていたクレイジー松さんと仲が良かった。なのでガキのくせに地下のライブハウスなんかに出入りしていた時期もあった。でも、客層が結構オトナだったので勝手が違った。

荒れてたなあMxPxとかNew Found Gloryのライヴ。
マイク・フェレーラとイアン・グルーシュカは今でも大好きだ。
イアンはマーク・ハントみたいな体型でとても親近感を持ったのも大きい。
My Friends Over Youとかコピーしたなあ。

超が付くほど不器用で、何しろ指なんか太けりゃいいと思ってた身としては非常に困難ではあったが、私を誘ってくれたギター担当の男はといえば格闘技の実績でも私をはるかに上回る男であった(正道会館の県大会で優勝するくらい強かった)ので言い訳は出来ない。
あとはNirvanaとか、Green Dayとかだったなあ。
ハッキリ言えばカンタンだったから。

バンドの嗜好がエモに向かうにつれ、パンク系のコピーは減っていった。
元々オリジナルがやりたくてギター担当の彼が曲を作って、それに私が詞を付けていた。
なので実はロクにコピーもやっていない。この世の中にアイツの頭の中にしか存在しない曲をひたすらやっていたことになる。
それでも現場に出れば一人前で、まあヘッタクソながら健気にライブハウスに出没して少ないお客さんの前で演奏していたものだった。

スタジオには週2回入って合同練習をしていた。
私と、ギターと、あとドラムのオヨベさん。通称・師匠。
私たちよりも年上だったが気が優しく大人しい人だったので、格闘技経験者の二人で強く出れば丸め込んでしまえたのだが、何しろよく言えばマイペース、悪く言っても少々独特の完成を持つ人だったので、この3人での思い出は数多い。

そのうちに師匠が抜けて、今もEDMでダブステップを作曲したり、プログラマーもこなす曽田君が加入して、さらにギター担当丸山君(やっと名前が出た)の知人で、別のバンドを一緒にやってたフジシロさんとマキノさんが加わって5人になった。
スタジオ練習は充実したものになったけれど、結局ライブは一度もやらずに自然消滅してしまった。

私はあちこちのライブに顔を出して渡りをつけて、お誘いがあれば出演するつもりで営業活動もしていたのだけれど…春先の駅前広場でやる無料ライブに出ませんか?と誘われたのでその話を持ち掛けたのだけれど、そこから思わぬ方向に話が転がって活動休止。
遅きに失したって感じだったねえ。

3年近くやっていて、デモ音源を作ったり、動画を撮ったりもした(今も手元にある)し、名古屋のフリーペーパーに載せてもらったこともあった(何のことは無い、向こうから声をかけてくれたのだけれど出るのは有料で音源と写真撮影と記事の作成で幾らか払っただけのことだった)。
あの時の音源を持っている人がいたら貴重です。

もうベースも持ってないし、未練があるとヤだから殆ど音楽からは遠ざかってしまった。
でも、たまにベース弾きたいなと思うことはある。
ので、ジャンク品でひとつ買ってみた。そしたらコレが弾きにくいのなんの。
アイバニーズのあとにミュージックマンのスターリングも買ってた(こっちは高級品)んだけど、あれが如何に良いものだったかを思い知ったね。

そのミュージックマンは、今は友人のバンドのベースの子が大切に使ってくれている。
一度ライブを見に行ったこともある。…今だから白状するけど、その日の客層も演目も私の求めているものではなかったので、もうあのベースは初めから他人のものだったと思うことにした。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

アルファポリスの禁止事項追加の件

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスガイドライン禁止事項が追加されるんでガクブル

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...