不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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第828回。母の盲腸とソファベッド。

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4月の20日ぐらいかな、いつも元気で50を過ぎてバンドを結成し自宅にもレイ・チャールスかお前は!という白いアップライトピアノまで買って家でも張り切ってピンポコ弾いている母ミワコが体調不良を訴えていた。お腹が痛い…とうめき、トイレに向かう途中で廊下に倒れたりもしていた。
救急車を呼ぶといっても断って部屋に戻ってしまい、またウォーターベッドじゃ柔らかすぎて辛いと妹に床へ布団を敷いてもらってそこで寝込んでいた。

で22日の月曜日、医者に見せたところ腹膜炎のおそれあり、とそこでやっとこ救急車のお世話になる。
病院で検査したら盲腸が破裂していた。母が医者から聞いた話じゃ
江戸時代だったら死んでいた
というほどひどい状態だったとか。
あんとき無理にでも救急車を呼んじゃって連れてってもらえばよかったな…と己の詰めの甘さを恥じて悔やみつつ、入院中のお世話もし、こういう時に限って仕事も忙しく…
ぐったり疲れてしまった。

幸い、手術は成功し一週間ほどで退院できた。
下手したら5月の連休中は病院で付きっきり、仕事と病室の往復で忙殺されるなと覚悟していたので思わぬ朗報だった。というかあの人タフだな。だからまあ生きてたんだろうけど。

で、退院したとはいえ相変わらずお腹は痛むわけで。
ソファーベッドが欲しいということになった。
居間を片してそこに置くってんでとりあえずニトリさんに行ってみることに。
するとまあオシャレで手ごろなサイズとお値段のソファーベッドがあるじゃあないですか。おおコレは重畳、居間は八畳。フローリングだけど。母に写真を見せてコレに決定。
早速お買い物と洒落込みたかったが店員さんに聞くところココにあるのは展示品で在庫じゃなく、配送するんでお届けは連休明けになるとのこと…!
それじゃ間に合わない、この展示してるのでも良かったのだがそんなワガママ言ってゴネるわけにもいかない。
仕方がないのでいったん帰宅して他のお店をあたってみることに。

そこで思い出した。前の会社のお客さんのすぐ隣が家具屋さんだった。
それも昔からやってる安くてサービスのいいところだという。
電話でソファベッドの在庫があるか聞いてみると、応対に出てくれた女性曰くモノによるが置いてある、持って帰るならお店の人が積み込んでくれるというではないか。この電話対応も明るく回答は素早かった。これはベリグッだいぶイケそうじゃん!家具だったら行きゃいいじゃーん!と私の中のミニ吉井和哉さんが歌い出す。
母もそこの社長を知っているとかで早速クルマを飛ばして行ってみる。
豊橋市のイオンのすぐ近く、野依町(のよりちょう)というところにある
ヨコモクさん
である。ここは家具屋さんが1号館から5号館まで密集していて、どれかの駐車場に車を停めてお店からお店に買いまわることが出来るのだ。なのでヨコモクランドと称している。実に愛知なセンスだ。素晴らしい。
お店に着くと総白髪をオールバックにした、徳大寺有恒さんと八名信夫さんを足して作業服着せたような人が元気に商談をしていた。後で母に聞いたらこの迫力のある人が社長だとか。
私が車を停めたのは3号館で、すぐ近くにソファが見えた。ああココか、と思ったらそこはソファだけでソファーベッドは2号館の2階だという。
早速となりの3号館へ。
決して大きな建物じゃないけれど、ソファベッドだけでもかなりの数が。しかもお値段もピンキリで安いものはホントに安い。
3万円ぐらいの手ごろなサイズのものを購入することに。
応対してくれた女性が、どうも電話に出てくれた人だったらしく
在庫を確認してきますね!
と倉庫にダッシュ。この辺は昔ながらのお店っぽいところだ。
無事に在庫が確認できたのでお会計を済ませて(現金決済のみだったので生活費が…!)倉庫にクルマをつけて、倉庫番のオジサンと二人がかりで後部座席に積み込む。
ステップワゴンでよかった。

さてコレを家に入れなくちゃならない。大きいものを入れるときは準備が肝心。じゃないと感じん、なんてな!ガハハ!

さーーー死ぬか。

でね。
結局、玄関からだと入らないので居間の大きい窓から運びこむことに。
そうは言っても庭と居間には結構な段差があるし、植木鉢をどかしてダンゴムシを逃がして、この植木鉢にグリーンカーテンと洒落こんでゴーヤを植えてなくて本当によかった。
そっから力技で放り込む。
これが思いのほかそこまで重たくなかったうえ、組み立ての必要もほとんどナシ。
ねじ式になっている足をハメこんでオッ立てるだけ。

入り口を広げて大きいものをハメるのだ。

さーーーーーー死ぬか!

そんなわけで全部終わったころにはすっかり疲れ果ててしまった。
午前中にジムで体を動かしたのも相まって、遅い昼食を食べたら死んだように眠ってしまい夕方5時に寝て起きたら朝5時だった。12時間近く寝たのなんて久しぶりのことだった。
断続的に面白い夢を見た気がするが、その記憶すら殆ど夢の中に置いてきてしまった。

母は今日も居間のソファベッドで居心地よさそうにしている。
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