不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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K氏の休日その2.

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ラシック7階の鳥開総本家さんの窓辺から久屋大通を見渡していると、ちょうどその先が目的地その2.であると気づく。

中区役所とか、医師会とか、両口屋是清のあるビルの路地をアパホテルのほうに折れた先。デイリーヤマザキの角を曲がって八百屋さんのある茶色いビルの2階が
特殊書店ビブリオマニアさん
だ。

とにかく風変わりな本、珍しい本、エッチな本、ニッチな本、薄気味悪い本、悪趣味な本、共産趣味の本、古い本も新しい本も、一筋縄ではいかない品揃えで近在随一の本屋さんだと思っている。毎度申し上げるが
マニアックなジャンルならビブリオマニアさん行けば何とかなる!
そして今回も、何とかなった。

というかドンピシャの本があった。ちょっと遊郭についての本を探してて。それも写真が多くて、わりと取っ付きやすい(ジャンル的にそういう言い方が相応しいかはさておき)モノがいいなと思っていたら
渡辺豪さんの「遊郭」
という本が、ドーンとあるではないですか。それも予算ピッタリの2千円。
これを買いに来たんだ!と手に取って。さらにナゴヤモノの小説を書くのに役立ちそうな古い文庫本を2冊。1冊100円なのでとてもいい掘り出し物だった。

で、さらに劇画狼さんの
ガロに人生を捧げた男(全身編集者の告白)
も発見。そりゃココにあるよな。通販でそのうち、と思っていたが、ここで会ったが百年目。予算オーバーだったが買ってしまおうと。全身編集者、サイコーの本だったし。
あれはヒトサマに差し上げてしまったので、今回ので買いなおすつもりもあった。

折よく開店直後とあって店主ちゃんさんとも久しぶりにお話できまして。
サラサラストレートだった髪の毛がウェービーになってステキでした。

5月15日から30日まで大阪は浪速区稲荷の
Excubeさん
で個展を開く香寿司さんのフライヤーも置いて頂けまして。有難う御座います。
そのほか文化砂漠地帯と呼ばれるナゴヤにおけるナゴヤ的な気質、文化や歴史への付き合い方考え方…THEナゴヤ!な、いま考えているお話の大きなヒントになりそうな時間。店主さんが茶色い箱型の袋から取り出す茶色いタバコがケムリになるたびにアタマの中で私にとっての小宇宙(ナゴヤ)が燃える。
軽薄、ミーハー、権威主義、見栄っ張り、プライド、金満、ありとあらゆる側面から、ありとあらゆるフレーズがナゴヤを斬る。決して悪いことばかりでなく、でもヒトサマに言ってもらうほどイイところばかりでもなく。ナゴヤにはナゴヤのフツーの生活があり、だけど、ナゴヤに住んでたり近くに居るとわからない、何か突拍子もないガラパゴスを経由していることもあり。
ナゴヤってやっぱヘンだし、私はそういうとこ好きよ。偏見で遊べるし。
前にちょっと書いたマッドナゴヤという作品を、もっとちゃんと書いてみたくなったので、それもあってのビブリオマニアさんでした。でも書籍と同じぐらい、デカいヒントを頂きました。そのうえお買い物してポイントカードにスタンプまで貰っちゃっていいのかしら。それはいいのか。

金山から歩いたので、帰りは名古屋駅まで歩こうかと思ってとりあえず久屋大通を目指す。親子丼も食べて、本も買っちゃって、とてもいい気分で歩いて居たら、いつもと違う道に入っていた。久屋大通のエンゼルパークんとこから、道路ではなく遊歩道?をテクテク歩いて居た。少し座ってみたりもした。
文化砂漠地帯名古屋だが、生活に潤いはありそうな人たちがいっぱい居る。久屋大通の地下にある駐車場から出てくるクルマが軒並み綺麗だ。
クルマが出ます、ご注意ください。クルマが出ます、ご注意くださいクルマが出ます、ご注意クルマが出ます、クルマが出ます、ご注意クルマが出ますクルマが出ますクルマが出ますクルマが出ますご注意クルマ
延々と回るパトランプと、混じくりあう同じフレーズ。
どうせなら、と知らない路地に入ってみる。
方角的に、コッチ歩いてけば着くだろうとアタリをつけて歩き始める。
ちょうど下校時間なのか、小中学生が沢山いる。
ワラワラっと歩き去ってく小学生の一群。彼らは雰囲気的に学校でも一軍。しかも名古屋の、こんないいとこ住んでりゃ猶更。橋の真ん中で坂道を駆け上って来る小学生とすれ違う。
「その男、凶暴につき」のビートたけしみたいだな私。あんな粗暴に振舞ってみたいな。あの子たちぐらいの頃は、そんな振る舞いもしていたな。でも、あれは何かに対して甘えてて、何かに対して怯えてたんだな。だから何だって話だけど。
傾き始めた陽射し。雲に翳り始めた陽射し。灰色の低い雲と、夕暮れ前の黄色い光が混じり合うナゴヤの空。
知らない街角の古い神社。二階建てで武骨な社務所。
標識、通学路、カーブミラー、デリバリーの原付。
全部フツーの生活だ。知らない生活に続いてく緑色の舗装路を、右手に本、左手にセレベスト織田信長ミニトートを抱えてトボトボ歩く。
と、急に地下鉄上前津駅に出た。ローズコートホテル。こないだ八龍ってラーメン屋さんに来た時に見た建物だ。折からの旅行者減少がきっかけか、数か月前に閉業してしまった、結構小奇麗なホテル。
この通り沿いに、確か第三銀行があったな…と思って見渡してみるが、見つからない。
じつは豊橋にも一軒だけ第三銀行があったのだが、それもなくなっていた。というか名前が変わってて
三十三銀行
になっていた。十一倍になってお得だ。そうか?

上前津と豊橋でしか見かけなかった第三銀行が、もう名前も変わっちゃってたんだな。

そっから金山駅まで、また歩く。
大通りを歩いても知らない街なら面白いが、やっぱり路地がいいね。

金山駅は朝も夕も結構混んでた。名鉄も混んでるのを見越して、指定席を買っておいてよかった。
座席について、ため息をついている間に名鉄特急パノラマスーパーが走り出した。
鉄道は、いつも切符を買って乗り込んで走り出すまでが一番楽しい。
走ると着いちゃうからな。
どこにも辿り着かずに、延々と旅する鉄道小説もいいな、と思って、粘膜旅行とか粘膜飛行とか書いている(読んで)けど、架空の旅路をゆく架空の特急列車と、架空のヒロインか…

ニット帽の先生に怒られないようにしないと


よい休日でした。みんなみんなありがとう
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