不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

文字の大きさ
1,009 / 1,319

第922回。知多半島から海が見たい。

しおりを挟む
けど今の時期は混むのでヤ。
春とか冬とか、人のいない時期の知多半島は良い。冬から春にかけての儚い青空と海の彼方が溶けている曖昧な水平線がいい。儚い青空とパンツを穿かない美人はいいものだ。その美人に彼氏や旦那が居ると私が青くなって海に浮かぶか沈むことになるのだが。国道247号線で半田~武豊~美浜~南知多と南下していく道が好きだ。武豊から美浜に入ると明らかに雰囲気が変わる。空が広くてでっかくなって、周りの風景ものどかになる。丘陵地帯と三河湾に挟まれた道路がすいーっと伸びていって、時々ちょっと気になるお店があったりする。
武豊周辺は古い街並みや建物も多く、線路沿いの木造建築や神社と火力発電所の煙突や加藤化学さんの巨大な工場との並びがとてもいい。エモであり萌えである。
萌え萌えのエモエモ。エモやんである。キッドがアホやからエッセイが書けへん、でお馴染みの。

海が近くにある木造の家は独特のムードがある。きっとそれなりに建て方とかもあるのだろう。明るい茶色、濃いこげ茶色、潮風に吹かれた壁の色。それをずっと変わらずに雨だったり曇りだったりこの世の終わりみたいな夕焼けだったりしながら包み込んでた青い空。私はたまに走るから珍しいと思うけど、ここで暮らしてる人には当たり前すぎて、良いも悪いも別にない風景。それは私が自分ん家の近所を見て思うことときっと似ていて、潮風が吹くかとか近所に路面電車があるかとか、そういう違いだけが浮き彫りになるのであって。
美浜から南知多にかかると、左手に島が見えてきて、その遥か向こうには対岸の西尾あたりの街並みが見える。向こうを走っているときにはあまり意識しなかったが、こうしてみると面白い。豊橋からもまっすぐ地図を見ると知多半島にかかる線がある。ドローンか何かを飛ばして、そこがどこなのかを実感してみたい。
FPSのゲームみたいに主観でとらえられる地図って凄く面白いと思うんだ。どうにかできないものかと思うけど、その地図に立体的に写真が載せられちゃった窓からパンツ穿かない美人妻との白昼の情事なんかが見えてるとかなわんのだろうな。
プライバシーだのコンプライアンスだの言うからわからねえんだよ、わからねえ言葉をわかったつもりで使うからおかしくなるんだよ。
美人と秘め事があったら誰にも言わねえだろ、って言えばいいんだよ。
見せたがりのそこのあなたは別としても。そう、そこのあなたですよ。
髪の毛が真っピンクの三つ編みでカタツムリみたいな貝殻を背負っておっぱいが3対6ヶある下半身が無限軌道になってていけない葉っぱをかじっては虹色のウンコをこねくり出してるそこのあなた!
誰だ!!!!!!!!!

南知多に入って大井、片名ときて師崎へ。昔、はるばるここまで待ち合わせに来たがすっぽかされてフェリーで帰ったことがあった。その頃は、まだ師崎から伊良湖までフェリーがあった。いつの間にか廃止されてしまっていた。
師崎漁港に向かう国道247号線が好きだ。狭いし急なカーブと下り坂が続くが、建物や塀の向こうに海が見える。漁港も見える。何度も書くけど、そこにいる人には当たり前だけど自分には物珍しい景色というのはとても身近であり、かつ貴重な風景だと思うのだ。そうした当たり前の積み重なりが自分の知らないところでも当たり前に続いているということは、とんでもなく豊かで趣深いことではないか、と。師崎のフェリー乗り場を通り越すと右手にジャコデスさんがある。ジャコのコロッケやソフトクリームなどがある。とても美味しい。
ジャコソフトは騙されたと思って食べてみてほしい。塩気と甘みが絶妙なのだ。
左手にはずーーーっと海。この辺りからBGMはDream Theaterの曲がいい。 
I Walk Beside YouとかThe Count of Tuscunyとか。
あのイントロのてーんてんててんてんて、てーんてんててんてんて、っていうのと、キラキラきらめく青い海、白くかすむ空と海の境目を見ていると、もう何でもどうでもよくなる気がして、いつもヒマが出来ると走りに行っていた。
初めて走ってからすっかりハマってしまったのだ。
ああそうだ、Octavariumもいい。あのアルバムは全部いい。I Walk Beside Youも秒針の音が入ってる方が何となく好き。

Octavariumを聞きながら晴れた海を見ていると、空にクラゲが飛んだり赤と緑と金色の模様をしたマーブル魚(うお)の群れが一斉に話しかけてきたり見えないクジラが潮を噴きながら笑ったりして賑やかいのがとても好ましくて好きなのでいいと思ったということになった。

いつかゆっくり歩いてみたい。いつもは車で通りすぎるだけの景色として愛しているけど、師崎から豊浜、そして内海までの間の、あの区間をちゃんと自分の感覚として体得したい。潮風の匂いも海風の冷たさも陽射しの柔らかさも、一度きちんと感じてみたい。
内海を超えると小野浦、野間ときてここには灯台がある。
私の大好きな人(女性で美人さんだが恋愛とかそういうんじゃない、もっと愛おしい人だ)の写真で、おそらくこの辺りに来たんじゃないかなと思ったときがあった。そしてその思い出に、私は到底触れられないようなことになってしまった。だけど私は、それでもあの灯台や海、白いフェンスを見るたびに彼女の事を思い出すし、もし私が連れてきてあげることが出来たらどんなにか光栄だろうと思う。いいとこ見せたいとかじゃなく、なんか、連れてきてあげられるように、なれたらいいな、と。そんなことを思う、ひとに愛される女性(ひと)なんだ。
野間を超えるとじきに南知多ビーチランドがあり、常滑にかかる。247号線の旅も終わりだ。原松の交差点からは155号線が始まる。交通量も多く、ひどく乱暴で粗雑な運転が増える。大人しく阿久比方面に逃げつつ帰るとしよう。
夏が終わったら、また行きたいな
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...