不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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死にたくなったら墓参り

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2022年9月16日。
超久しぶりに初対面の人間と話して
あっオレこいつにアタマ下げんの絶対ヤ
ってなって、諸々が積み重なって思考の行き先が全部
「オレがくたばったほうが早いし安上がり」
になっていたので、今日はお墓参りに行って来ました。

オカネのために我慢しようか、それともキッパリ断ろうか。悩んでいるうちに疲労や不安、小さな不満が足元にとごんで、気が付いたら暗渠に膝まで浸かっていたって感じ。
向こうだってそりゃそこまで悪い人間じゃないだろうし、あの数分でそんな他人のことなんぞわからんけど、この印象は結構あとまで尾を引くぞ、と今までの経験が言っている。
自業自得の自覚が自虐と自責に拍車をかける。

それはまあ明日にでも断りの電話を入れるとして。
今日(2022年9月17日)はお散歩に出かけることにした。
台風が近づいているからか風が冷たく、夏が過ぎ去りかけているからか陽射しもそこまで。歩くには良い日だ。

特に行き先を決めずに歩き出して10分ぐらい経って
あっお墓参りに行こう
と思い立って、我が家のお墓を目指した。ちょうど彼岸ではあったが、別にそういうのはあまり普段から考えてなくって。気が向いたら出掛けて、ちょいと拝んだり草をむしったりしている。

市街地から郊外に向かうと、ちょっとした台地があって。ガキの頃から変わってない、狭くて舗装もボロボロな道をひーこら言いながら上がってゆく。
振り返ると低い電線や色を塗り替えたマンション越しに街並みが見渡せる。吹き抜ける風が少しひんやりとして心地よい。

緑地公園の遊歩道をぐるっと回り込んで、湿っぽくて静かな空気を吸い込みながら。
お墓は大きな松の木や幾つかの植え込みがなくなったのか明るく、ぽかんとした印象だった。彼岸でヒトやクルマが多い。我が家のお墓の草を軽く抜き、なんとなくしゃがんで手を合わせる。
背後をヒョォと吹き抜ける風にぐらつく足腰。
ああ、私は今日、このことを誰かに話したかったんだ。
別に返事や答えは要らなくて、ブツブツ言ってるのを聞いてほしかったんだ。
だったらお墓がいいやな、そりゃあな。
返事が返った来たら怖いしな。それはそれでネタになるけど…。

そういうわけで目下の状況や気分をアタマのなかで反芻するように思い浮かべて、それを四角い墓石に刻まれた佐野家の文字あたりを見つめながら曇り空に散らしてゆく。

なんとなくそれで腑に落ちたというか、ああやっぱ断ろう。と思うほうに引き金を引けた。
そしてくたばっちまおう症候群も少し落ち着いた。
おじいちゃんおばあちゃんありがとう、と思って墓石に触れたら、気温の高さゆえか、ほんのり暖かかった。

帰りに本屋さんを回ったけど、椎名誠さんの武装島田倉庫が見つからず。海外SFの名作を二冊、そういえばちゃんと読んでなかったかも知れないな…と思って買ってみた。

死にたくなったら墓参り。
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