不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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春の沖島

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滋賀県近江八幡市の、琵琶湖に浮かぶ島。沖島に行って来ました。
琵琶湖で唯一の有人島。というか海は無いけど島はあるのか。
滋賀県ってのは不思議なところだ。
近江八幡とは琵琶湖の東側に位置する街で、近江牛で有名な大中(だいなか)や、船で巡る水郷、バウムクーヘンで有名なクラブハリエなんかがある。まあーのどかなところ。

その近江八幡市の北にある堀切港から、沖島と近江八幡市本土を結ぶ船に乗ることが出来る。約10分くらいで着くうえ片道500円と良心的。
だいたい1時間に1往復しているけど、11時とか13時とか急に船の無い時間もあるので要注意。私は11時に船があると思い込んでいたので、港のそばの流木に座って1時間ぐらいボケタンとしていました。これはこれで、いい時間だったけど。

堀切港の待合室には沖島小学校の壁新聞や、生徒さんの書いた作品、そして注意書きが。こんなものを子供に書かせるぐらいマナーの悪い奴が居るのか、そういう奴が来ないように先手を打ったのか。が、当の子供たちは楽しんで書いてくれているんじゃないかなあ。と思いたい。

船は先着順に並んで、船内の券売機か、桟橋で待っている間に係員さんから乗車券を買う仕組み。この日は選挙前で、県会議員候補のセンセーが選挙カーで登場。
しかもスピーカーからは「ただいまから沖島に参ります」と。
傍には釣り人、島に帰る人、私のような流れ者、そして議員センセーと秘書やウグイスの皆さん。さらに待合室には親子連れ。このメンバー……間違いなく事件が起こったら名探偵は、あの子供だな。10歳ぐらいだったし、あの子に眼鏡と蝶ネクタイをさせよう。
そしてたぶん、最初に巻き込まれるのは私だなあ……。沖島に俳句とか手毬唄が伝わってないか調べておけばよかった。チョビ髭の警部は居なかった。

船はディーゼルらしくトラックみたいな音を立てて軽快に出発。
議員センセーは順番を守って最後の方に乗っていた。
故やしきたかじんさんとオール巨人さんを足して2で割ったみたいな、THE関西のオッサンって感じの人だった。島に上陸すると大勢の出迎えを受けて、何処かに行ってしまった。

島が見えてくると、堤防には満開の桜。
何も考えずに行った…というか、こんなに桜があるとも知らないで行ったから驚くやらうれしいやら。天気もよく、青空にきらめく湖面、菜の花に桜と。
風光明媚きわまりない贅沢な時間が、ゆっくりゆっくり流れている。

島には自動車が無いらしく、さほど広くはない路地を三輪自転車が行き交っている。
腰の曲がったおばあちゃんが、私とすれ違って、ゆっくりゆっっくりと歩いてゆく。
年季の入ったほっかむりや、何かを包んだ新聞紙。
対岸の青い山肌を背に歩いてゆく見知らぬおばあちゃん。

島に上陸したものの別に用もなく、桜を見るつもりもなければ(こんなに綺麗に咲いていることすら知らなかった)魚釣りもしないし、お料理やお弁当の予約もしていない。
島あんの?
行けるの?
じゃ行こ!
だけで来てしまった沖島。お弁当は事前に予約するとお昼には漁協の湖島婦貴(ことぶき)の会の皆さんが作ってくれるほか、予約なしでもブラックバスのミンチを使った「よそものコロッケ」が食べられる。
島には飲食店や民宿もあるし、みんなきっと来る前にちゃんと予約しているんだと思う。

だって船を降りたはいいけど別に何もすることも目的もなくて、意味もなく漁協の前を2回も3回も往復もしてたの私だけだったし…。

まだ9時過ぎなので、とりあえず歩くことに。漁港の堤防をなぞって、倉庫の間を縫って、流木で出来たオブジェの前を通って、さらに堤防に沿って奥へ奥へ。
ずっと湖面が近くにある。もう釣りをしている人も居る。雨ざらしになっていた、古い古い溶接機を見つける。ガス屋に勤めてなかったら何だかわからない機械だったろうなあ。
そのまま進むと作物か荷物を運ぶためのトロッコが、やっぱり使われていないのかそのまま置いてあった。これ、整備して安全対策して動かしたら便利で楽しいかもなあ…。島の周囲をぐるっと回ったり、高台に上ったり。沖島トロッコ計画を脳内で妄想しながら歩いている……そういえば椎名誠さんの砲艦銀鼠号ってSF小説に、確かそんな打ち捨てられたトロッコ列車の話があったっけ。

その先は民宿の敷地で、行き止まりだった。
少し引き返して堤防に腰かけてボンヤリしてみる。
海じゃないけど風で湖面が波打つ音と、その冷たい風が渡って来るのと、相変わらず漁港を離れてしまえば青空にひとりきりでいるような静けさと。
どうせ船の時間までは急いでも仕方ない、と思うせいか、ほんとにのんびり過ごすことができる。写真を撮ったり、自販機でジュース買うぐらいしかしてない気がする。

反対側に取って返して、漁協を通り越し、堤防沿いをさらに歩く。
こっちには小学校や幼稚園があるそうな。
細い道を、三輪自転車や徒歩の島民の皆さんとすれ違う。観光客とフツーに近所ですれ違うって、どんな気分なんだろうか。

小学校まで来て、お手洗いを借りる。校庭のトイレだがシャワートイレがついている。素晴らしい。通りすがりの人間としても有難いけど、子供の使うものだからと粗末で簡単にされていた昭和の悪習は断ち切るべきだ。トイレだけにアクシュウは良くないというわけだ。

引き返すときには、一本奥にある狭い路地を通る。古い看板やタイルがあって、さらに細い家と家の間にも通り道らしき空間がある。洗濯物、つやつやした壁のタイル、謎の逆三角形のモニュメント、野花、青い階段、掃き出し窓の白いカーテンの向こうからラジオの声。
船着き場の鐘がカーンと鳴って、船が来たことを知らせている。
旧沖島小学校跡地の展望台の階段をエッチラオッチラ登って、湖を見渡す。
桜に包まれた堤防、漁協の建物、そこに団体客。こぞって鐘を鳴らす子供たち。

暑くも無いし、寒くも無いし、もしかすると今が一番いい時期だったのでは…?

そんな時に何もせずにぶらぶら歩いているのも贅沢なもので。
しかもお金を落とすことはやぶさかでないのだけれど、なんだか控えめというか…もっとこう、お土産や飲み食いするとこがあればと思うけど、あまり数も無く、営業してるかも「運試し」とすら案内に書かれているお店もあるくらいで。
なんだかのんびりしているところである。

ただ今日は、団体客やセンセーご一行が来ているので、忙しくて予約の無いお客の相手は難しかっただろうと思うし…昼時になったので湖島婦貴の会でブラックバスのコロッケを買って食べました。これが結構スパイシーで美味しいのよ。
ブラックバス、もっと食えるようになるといいよな。この平和な琵琶湖をアチコチ食い荒らされちゃうぐらいならコッチも食ってやればいいんだよ。生き物に罪は無いというものの、生活や生態系に影響が出ちゃうのは困るもんな。

で漁協の片隅の流木に腰かけて、島のおじいさんや、観光客の子供とその親御さんらの話し声に紛れてボケーッとしていました。早めに船に座れたので、ちょっと名残惜しい気もしたけど12時の船を逃すと次が14時で、しかも結構な人数がここで乗るそうだったので……。

バッチリ予約してご飯たべて散策して、10時に来て14時に帰るくらいだと良かったかな?
でも混む時期だったから、早めに着いて早めにオイトマするのも良かったと思う。

調べてみると流石に今どきのお店はネットやSNSを使っているところもあるし、今度はお声掛けしてからお邪魔してみよう。せっかくなのでご飯とかお土産とか買って食べてみたいし。

沖島で獲れたエビを使ったおせんべい、美味しいですよ!
堀切港の近くのファミマや、米原にある道の駅 近江母の里でも売っていたので島で買い逃してしまった方もあきらめないでください。あなたの夢を(岡村孝子)。
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