ゴーストバスター幽野怜Ⅲ〜三つの因縁編〜

蜂峰 文助

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第十二話『霊王対策会議』

【9】

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「よっしゃあ、反省会ついでに、これから飯でも行くかぁ!」

 命吉のその提案に「またぁ!?」という声があがった。

「あ、今度こそー、ボク達はパスー」と、怜がまたしても即答で拒否をした。

「またお前かぁ!!」と命吉。

「今度はボクだけじゃないよー。彩乃と姫美もー」

「二人も?」冥が反応を見せる。

「うん。明日も依頼があるからさー」

「よし! その依頼も手伝ってやる! だからお前らも飯に行こう!」

「言うと思ったー……。だけどー、今回は本当にパスー」

 怜が強い拒否の姿勢を見せる。

「明日の一件はー、姫美の修行も兼ねてるからさー」

「姫美ちゃんの?」冥が問う。

「……うん。姫美はまだまだだからさぁー、発動火力にムラが大きいんだよねー」

 皆の視線が、姫美へと集まる。
 少し萎縮する姫美だったが、彼女本人が、修行の意図についての説明を続けた。

「『兆力無双』と闘った時に出せたアレを、いつでも引き出せるようになればな、と思ってまして……」

「あの女神みたいなやつね……確かに、アレは、これから霊王達と戦っていく上で、必要不可欠な力だから」と冥が続ける。

「あの『兆力無双』にしても、デタラメな火力に目が向きがちだったけれど、最大の問題点は、私達の攻撃を容易くしのいでいた防御力だもの。早い話が、今の私達には、圧倒的に火力が不足している。その点、姫美ちゃんの、あの女神による光線は、『兆力無双』に真っ向から挑み、ねじ伏せ、致命傷を与えることができた。今の私達には、必要不可欠な力であることには、間違いないわ」

「でしょー? だからー、姫美には今よりもっと、もーっと、強くなってもらわなくちゃだからー。ごめんねー、命吉くん、ボクらは行けないやー」

 はぁー……と、大きな溜め息を吐く命吉。「そういう理由ならぁ、仕方ねぇなぁ」と、納得した様子だった。

「分かったわ、怜ちゃま。今回は流石に、私も諦める」と冥も納得……したの、だが――――

「た、だ、しぃ」
「へ?」

「この子は、私に預からせてもらうわ」冥が彩乃の肩を抱きながら、言い放った。
 流石の怜も、目を丸くする。

「いやいやいやー……確かに姫美を鍛えるとは言ったけどー、それは何もー、彩乃を鍛えないって言った訳じゃないからー」

「当然よ。もし、そういう意味で言ってたのだったら、例え怜ちゃまであろうとぶん殴ってるわ」

「こわー」

「要するに、彩乃にも修行はつけるつもりだったのでしょうけど、こと、この子に関しては荷が重いわ。だから、ある程度の力の方向性が決まるまでは、私に預けてほしい」

「方向性ー?」

 怜だけでなく、他の面々も首を傾げる。
 冥は、端的に言う。

「要するに、怜ちゃまや姫美ちゃんみたいな、あからさまな『攻撃型』の力ではないってこと。ゆえに、怜ちゃまでは指導しきれない。だから私が代わりに指導しちゃおって訳。どうかしら?」

「あー……なるほど、ねー……」

「別に弟子を奪おうって訳じゃないから、そこは安心して」

「うーん……」

 怜は思考する。

 確かに、それは思っていたことだ。
 彩乃の能力は、明らかに怜や姫美とは異質なものである。
 単純な破壊のみをもたらす力とは、程遠いものだ。

 正直なところ、彼自身、彩乃の力を指導し切れるのかと問われたら、自信があるとは言えない。

 そういった点からみると、冥に預けることは、悪い話ではない。

 と、なると……。

「……ふむ、彩乃はどうしたいー?」

「え?」

 大切なのは、本人の気持ち、である。

「これは絶対に悪い話じゃないからー。正直に答えてー、ボクは、彩乃の判断に任せるよー」

「えぇ……」

 すべては、彩乃の判断へ委ねられた。

 チラッと、冥へと視線を向ける。すると目が合って、少し気まずくなった。

 気まずさを蹴散らすためもあって、彩乃は考える。

 しかし、考えるまでもなかった。

 既に、答えは出ている。

「イロノはぁ……前回の霊王との戦いではぁ、殆ど何も出来なかったぁ……」

「そんなことないよ? 彩乃さんがいたから、救えた命がいっぱいあったよ?」フォローする天地。
「彩乃、あなたは自分に厳し過ぎる」すかさず見舞もそう言った。

「……皆、そう言ってくれる。めっちゃ嬉しいんだけどぉ……やっぱりイロノもぉ……出来ることならぁ、怜っちや姫美の横に並んで戦いたい」

「彩乃……」姫美が、心配そうに見つめている。

「ちょっとした時間でぇ、姫美には随分差をつけられちゃったからねぇ、その差を、少しでも早く埋めたい。その近道がぁ、冥さんと修行することなのならぁ……イロノは――――冥さんにぃ、指導してもらいたい」

「決まりね」「決まりだねー」冥と怜、二人の意見がまとまった瞬間だった。

 怜が頭を下げる。

「姉さん……彩乃を、よろしくお願いします」

「うむ! バックハグ一回で手を打とうではないか! さぁおいで、怜ちゃま!」

「絶対いやー」

「ガァーン!」

 そんなブラコンコントの真横で、姫美が彩乃へと声を掛ける。

「彩乃……その……」

「なぁーに暗い顔してんのよぉ、そもそも論、今のイロノが戦力として数えられてないのはぁ、イロノ自身のせいなんだからぁ。自業自得ってやつよぉ」

「うん……それは、そうかも……なんだけど……」

「少しも否定されないのは腹立つわねぇ……」

 そう言って、彩乃は笑った。

「あんたはぁ、思う存分、怜っちと鍛えてきなさいな。強くなったあんたの背中に、イロノだって、追いついてやるんだからぁ」

「…………うん……」

「負けないわよぉ? 姫美にはぁ」

「私も負けない、彩乃には」

 そう言って笑い合う、怜の二人の弟子。

 まったくタイプの違う二人だが、心の底で思っていることは同じである。


 師匠の――――怜の、役に立ちたい。


「じゃあ決まりね! 彩乃! あんたは私達と一緒にご飯来なさい!」
「はぁーい!!」

 彩乃は、冥達へと着いていく。

 その背中を見送りながら、怜と姫美は逆方向へと向く。

「じゃあボクらは帰ろっかー」

「うん」

 二人は明日からの依頼、および修行に備え、帰宅する。

 進む道は違えど、目指すゴールは同じ。

 さて……次に会うのは、いつになるだろうか?
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