ゴーストバスター幽野怜Ⅲ〜三つの因縁編〜

蜂峰 文助

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第十六話『黄金の糸と冥王』

【11】

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 冥のスーツのポケットが、淡い光を灯した。

「え……?」

 慌ててポケットから、一枚の御札を取り出す。

 連絡用の御札――――連絡御札が、淡く光っていた。

「も、もしもしっ!?」

『もしもし? 姉さんー?』

 その声は――――紛れもなく、愛する弟のものだった。

『迷惑掛けてごめん……。今そっちに向かってるんだけどー……コレじゃ、時間が掛かりそうー……。御札の扉で、運んでくれないー?』

「ごめんなさい……今、私フラフラで、約立たずなの……できないわ」

『そっかー……なら仕方ないな。コレで向かうしかないかー』

『おいワレ! さっきから兄貴の鶴式神を、コレとかアレとか言うてんな!? 失礼やぞ!! 下りろ下りろー!!』

『あ、ごめんよー』

 向こう側で何やら揉めているようだ。
 関西弁の女性の声が聞こえる。

 その二人に対して、「弟とその弟子の二人をみつけてくれて、ありがとう」と言いたくなったが、すんでのところで胸に秘めた。

 この感謝の気持ちは、直接伝えるべきだろう。


「正直なところ、あまり悠長に話してる時間はないわ」

『……だよねー。でも――――こんな風に今、姉さんと落ち着いて話が出来てるってことはさー。倒したんだねー? 霊王を一体』

「……うん」そう返事をしながら、横で眠りについている天地へと視線を送る冥。

 少し、ウルっときたが、何とか堪えた。

「天地のおかげでね」

『天地の? おー! やるじゃんアイツー!』

「………………」

『仇打てて良かったなぁー! って、伝えといてー。あ、ボクらもこれから向かうから、直接言えば良いだけの話かー』

「ううん……それは、私から伝えておくわ」

『? 何でー?』

「何ででも。…………とにかく、あなた達は急いで、【万物斬撃】の方へと向かって……。剣一郎の奴も、絶対無茶してるだろうから」

『…………分かった。急いでいくからー。それじゃー』

「うん、よろしくね」


 連絡御札の光が止んだ。

 通話を終え、再び天地の方へと顔を向ける。

「…………だってさ……天地」




 人類の切り札である二名と、彼らを救出した二名が戦地へと向かっている。

 もう一体の霊王を討つべく――役者が、いよいよ揃おうとしていた。


 今度は、雪空を眺めながら、冥は呟く。


「頼んだわよ……怜、姫美ちゃん……そして…………」


 今――――この霊王討伐における、最終決戦が、始まる。
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