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ゴーストドールが可哀想
【8】
しおりを挟む僕は知っていた。
そうだった、凛太郎さんは馬鹿で阿呆で変人だけれど、決して人でなしではなかったんだと、知っていた筈なんだ。
それなのに何で僕は――
凛太郎さんを信じれなかったのだろう?
何故、ゴーストドールについて……衣ちゃんについて知った時に、まず一番最初にこの人達にそれを打ち明けようとしなかったのだろう?
何故、言っても無駄だとか、駄目だとか思っちゃったんだろう?
彼ら彼女らの日頃の行い?
いや、違う……悪いのは僕だ。
僕の……偏見という名の、歪んだ固定概念が、そうさせてしまったんだ。
そうか……そうだったのか。
「お前はいつもそうだよな! 今回の件にしろ、【ストーカー】の一件にしろ、お前の過去の話にしろ! お前はいつも、オレ達に重要な事を何も言わない!! 全部、自分一人で解決しようとしやがる!! ふざけんなよ!!」
「凛……太郎、さん……」
「この一件の最初の方で俺言ったよな!? このゴーストドールの案件は、オレ達で解決するんだってよぉ!! なのにお前は何で持ち逃げしてんだ!! 何で俺達がお前と敵対するとか勝手に思い込んでんだよ!! 馬鹿にすんのも大概にしろ!!」
「す……すいません……」
「何か知ったのなら話せよ! そしたら打つ手も色々と広がんだよ!! この一件は、お前が真実を話さなきゃ! ただの人の命を奪う危険のある凶悪な怪談なだけなんだぞ!? そりゃ何も知らない、知れない状況なら! 誰でも、はいはい除霊除霊って結論になるだろうが!! 違うか!?」
「そ……その通りです……」
確かにその通りだ……ぐうの音も出ないな……。
「そもそも何でお前が、その呪いを背負ってんだよ!! その呪いは俺んだ! だから返せって言ってんだよ!! この一件は、俺がお前達に助けを求めたんだ! 決して、お前だけにじゃねぇ!! 勘違いすんな!! 自惚れんな!!」
「…………」
「どう考えても! どう見ても! お前の望む結末へは、お前一人では厳しいだろうが!! そんなボロボロの身体で、どうするつもりだったんだ!? 考え無しにも程があんだろ! バカ野郎が!! 頼れよ! 話せよ!! 仲間に叶えたい目標があんなら……そしてその理由に誰もが納得できたのなら! その実現に向けて、一緒に動くのが――
仲間ってもんだろうが!!」
その言葉は、僕の胸にグサリと突き刺さった。
痛い筈なのに……暖かく、感じる……。
そうだったのか……。
凛太郎さんは、拗ねてただけだったんだ。
きっと僕が今日の朝、嘘をついた時から、拗ねてたんだ。
そしてそれは僕も同じだ……僕も拗ねていたんだ。
『何で僕だけ仲間外れにするんだ』って、拗ねて。
僕だけでやってやるよ! とムキになって……。
結局の所……ただのすれ違いだった。
互いにくだらない事で拗ね合った結果のすれ違い。
どこにでもいる、普通の高校生のような……ただの子供の喧嘩だったのだ。
互いに素直になれていたら、こんな拗れた事にはなっていなかったのにな……。
こういう要領の悪さこそが、僕達が変人であるという事の、何よりの証明なのかもしれない……。
「とにかく、お前が知っている事全部、俺達に教えろ。それによっちゃ、ゴーストドールの処分が変わるかもしれねぇからよ」
「も……もし、処分の内容が変わらなかったら?」
その場合、また同じ展開になるだけなんじゃ……。
「その場合は話し合う。話し合って、必ずお前を納得させてみせる」
「……なるほど……」
どうやらもう……その心配は、なさそうだった。
「俺達と一緒に、この怪談にケリを付けよう」
「……はい」
「俺達……【ゴーストドール除霊研究部】のメンバー達、全員でな」
「……は、はぁ……」
そういえばあったな……そんな部活……?
何はともあれ、僕は差し出された凛太郎さんの手を取った。
これをもって、僕と凛太郎さんは和解。
即ち――もう、逃げ回る必要はなくなった。
「一緒に……衣ちゃんを、助けてあげてください。お願いします……」
「おう! 任せろ!」
力強い返事だった。
心強い返事だった。
頼もしいなと、心から思った。
「それじゃ一先ず、あの三人に仕向けている、お前の友霊とやらを撤退させてくれ。メンバー全員でミーティングを始めたい」
「りょ……了解しました……」
うぅ……あの三人の報復が怖い……。
「さぁーて、いよいよクライマックスに差し掛かってきたな。色々と遠回りしちまったが……終わらせるぞ! この怪談を!! 皆が納得する――結末でな!!」
「はいっ!」
凛太郎さんの言葉通り、この怪談はようやくクライマックスを向かえる。
ゴーストドール除霊研究部という謎の部活、そのメンバーと共に。
一人では正直、厳しい案件ではあった。
けれど、このメンバーとなら……きっと……。
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