おそらく、僕だけ違うゲームをしている。

鵩 ジェフロイ

文字の大きさ
68 / 246
本編

102:中間リザルト?チェック

「ん……」

 意識がふわりと浮上し、ゆっくりと目を開く。この感覚は……〈睡眠〉コマンドを使わずに脳波判定で寝て起きた時にしか無い……と思う。ということは、あの後普通に寝てしまったのか。

 ………………あの後。

「っ」

 覚醒してきた頭で昨日の出来事を思い出し、じわじわと頬が熱くなる。慌てて自分の状態を確認しようとして、バラムに抱えられて寝ている体勢なことに気づいた。……これは、まぁそこそこあることか。

 何とか身を捩って自分の状態を確認すると、服はいつものようにきっちり着ていて、脱がされたはずの下着やパンツも穿いている状態だった。自分で整えた記憶は無いので、バラムがしてくれたのだろうか。

「起きたか」
「ああ……服、整えてくれたのか」
「まぁ、そもそも俺が脱がしたしな」
「そ……れもそうか…………んんっ??」

 既に起きていたらしいバラムと言葉を交わしていると、僕を抱えている手がモゾモゾと怪しい動きを見せる。……多分、服のスリットの中に手を入れられて、太腿の付け根辺りを撫でられたり、も……揉まれたりしている。

「う、うぅん…………あ、そうだ。昨日演奏で一斉に昇華してから起こったことがよく分からないんだが……」
「あん?」

 体が少し熱を持ったことで思い出したが、昨日新しく獲得した技能で演奏して彷徨う霊魂を大量に昇華させた後、どういうわけか「寂しい」や「悲しい」といった感情で塗り潰されて、心身共にどうしようもなく凍えてバラムに縋りついたら何故か服は脱げるわ、た……勃ったりするわでもうわけが分からない。

 まぁ、最初の現象は冷静になって振り返ってみると……。

「僕は彷徨う霊魂と共感というか……共鳴してしまったんだろうか?」
「多分な」
「ふーむ……」

 確かにいつも彷徨う霊魂を昇華させたタイミングで声のようなものが聞こえたが、あれが彷徨う霊魂の感情というか……昇華された時に剥がれた残滓のようなものを僕が受け取ってしまっていたのだろうか。……それに……共感……しやすい感情ではあったのかもしれない。

「で、あの……その後の脱げたり……その……」

 言葉にしづらくて濁してしまう。

「……ああ、アレはお前の体の成熟の時機が合っただけだったが、結果的には良かったな」

 そう言って大きな手が僕の頬を覆うように置かれる。

「体の成熟……」
「ああ、成熟した状態で、俺に心を開いてないと脱がせられなかったからな。だから、熱を分け合うには良い頃合いだったろ?」
「うぅん……」

 一応流れと条件っぽいものは何となく分かったが、原理は……まぁ、アルストではちゃんと手順を踏んで信頼関係を築けばその……性的なことも体験出来るということなのだろうか。いや、何処に力を入れているんだ、このゲームは。

「と、とりあえず……起きる」

 さっきから僕に触れるバラムの手の動きが怪しげで、これ以上は……反応してしまいそうな気配がする。

「まだ夜も明けてない。せっかく成熟したんだ、慣れる為にも……」
「えっ、ぁ、あぁう……」

 ベッドを抜け出そうとした僕をバラムの腕が捕え、服の上から足の間を撫で上げられる。それだけで背筋に甘い痺れが走って、声が漏れてしまった。
 ……しかも、刺激が未知から既知に変わったからか、ただ“気持ちいい”という感覚しか無かった。

「はぁ……あぁ……」
「は、もう良さそうだな」

 そんな様子の僕を見てバラムが機嫌を良さそうにしながら、撫で上げる動きを強くする。

「ふぅっ! んぅ」
「……やっぱエロいな……」
「な、に……っ」

 バラムの熱い視線の先を見ると、僕のものがすっかり勃ち上がり、服を押し上げて主張していた。僕にピッタリなサイズの服なので妙に目立つ。その様とバラムに凝視されてることに羞恥を感じて全身が熱くなる。

「は、可愛いな」
「うっ」

 耳元で低く掠れた声……多分、バラムが興奮している時特有の声を吹き込まれて、体を寄せられて、弱いところを刺激されて……されるがままになってしまった。もしかしたら、現実でも自慰行為をしている人にはなんて事ない刺激なのかもしれないが、今の僕にはこれだけでいっぱいいっぱいだ。



 それから、日が昇るまで濃密な接触を受け、既に満身創痍な僕の体をバラムが清めたり整えたりしてくれて後、何故か1階ではなくバラムの部屋で朝食を食べて少し元気が出てきた現在。

 昨日は演奏の技能が出来るまでかなりの鎮め札・中を消費していたので、インベントリ内の鎮め札の在庫チェックをしている時に異変に気づいた。

「また、何かインベントリに入れられてる……」
「あ?」

 ここのところは無かったが、またインベントリに知らない物があったり“とある物”の数が大幅に増えていた。そして、僕の呟きを聞いたバラムの機嫌が急降下したのが何となく分かった。

 とりあえず、まずは知らない物の方を取り出してみよう。

 それは、卵くらいの大きさの木彫りの像だった。模られているのは……。

「フクロウ?」

 そして、フクロウはフクロウでも僕が変化するスコップオウルなのではないだろうか。小さな羽角がついてるし。

「お前が変化するフクロウみたいだな」

 バラムも同じ感想らしい。僕よりも客観的に外見を観察出来ているだろうバラムが言うのだから、これは僕なのだろうか?

 何はともあれ、とりあえず《解析》。


[木彫りの像/スコップオウル]
対象の造形を簡略化した木彫りの像。
名も無き彷徨う霊魂だった者達の返礼。その者らに特定の形が無い為、救い主の形をとった。
耐久力:-
品質:-
分類:置物
効果:-
素材:ホオの木
製作技能:-
製作者:-


「これは……返礼……シリーズ化か?」

 木彫りの像だったことと、様々な状況の符合からして何となくそんな気はしていたが、いつか狂った魔物・獣腕のトロル型からの返礼と同じような物らしい。異なる点としては一体からではなく、僕が昇華した彷徨う霊魂達からまとめて贈られたもののようだ。

 “救い主の形をとった”とあるが……僕が変化していたところを見た霊魂もいたにはいたと思うので、それでフクロウになったのだろうか。

「じゃあ、まぁ……とりあえず獣腕のトロル型の隣に置いておくか」
「何でだよ」
「同じような木彫り像で置物だと言うし……」

 窓際に既に置かれたミニチュア木彫り像の横に新たな木彫り像を置いてみる。
 うーん……大きさも異なり形もデフォルメされているとはいえ、獣腕のトロル型の方が魔物らしいデザインだからか、完全にスコップオウルが捕食されそうな雰囲気になってしまっている。……まぁ、いいだろう。

 次に、いつの間にか大幅に増えていた“とある物”だが……。

「『秘文字の破片』がすごい増えてる……」

 バラムや黒山羊を《編纂》した際に出てきた『秘文字の破片』が今までに無いほど大量に手に入っていた。これは塵も積もれば……ということでこんなに大量に手に入ったのだろうか。

「何だそれ?」
「……うん? 言ってなかったか?」

 黒山羊と出会った時の説明で言ったと思うんだが………………いや、省略し過ぎて言って無かったかもしれないし、バラムからこれが出て来たことも多分伝えてない。

「えぇと……」

 伝えた時のバラムの反応が怖いがとりあえず伝えることにした。


「滅しろ、そんなもん」

 眉間に深い深い皺を作って地を這うような声で、発せられたのが『秘文字の破片』に関するあれこれを聞いたバラムの反応だ。まぁ、己の人生の大半を苦しめた原因っぽいことを察してのことなので、問答無用で取り上げられないだけマシだと思おう。

「その……『文字』とあるからには、いずれ読むことが出来るんじゃないかと思うと捨て難くてな……」
「……チッ、とりあえず何なのか分かるまで封印しとけ。出すなよ」
「ああ」

 改めて『秘文字の破片』のインベントリ封印が決まった。……『霧惑のダチュラ』と言い、インベントリの用途は曰くつきのアイテムの封印では無いはずなんだが。


 あとは、敢えて最後に回していたあの通知の確認をしていこう。
感想 295

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? 表紙は自作です(笑) もっちもっちとセゥスです!(笑)

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)