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本編
169:オールインワン技能
〈【イベントエクストラクエスト:黒曜天母を修復せよ】をクリアしました〉
〈クリア報酬として特殊効果《黒曜の眼》が付与されました〉
〈特殊条件を満たしました。技能《慧眼》を獲得しました。技能《解析》《勘破》《夜目》はこの技能に統合されます〉
〈特殊条件を満たしました。《腐朽》の力を獲得しました。一部技能に《腐朽》の力が追加されます〉
「……うぅん」
意識を取り戻して早々、遠慮のない通知が僕を迎える。量は控えめだが、内容は全く控えめではない……気がする。確認するのが今から怖い。
『む! 起きたであるか、主殿……何か雰囲気が変わったであるか?』
「そうだな……実は、今まで意識だけ何処かに飛ばされて色々あった」
『何っ……この我が全く感じ取れなかったとは……何があったであるか?』
僕はシルヴァに、おそらく意識だけ違う空間に転移させられたこと、そこで黒曜石で出来た巨大なジャガーがいて話したことや黒曜石を呑まされたことをかい摘んで話した。
『うむむ……夜狗の小僧に知れたらまた厄介そうな……とりあえず、変な物を呑まされたということであるが、問題は無さそうであるか?』
シルヴァが気遣うように僕の頬を口で揉むように食む。その感触のくすぐったさに幾分気持ちが和らぐ。
「ふふっ……多分、問題無いと思う。よく考えたら石を呑み込んだと言っても、意識だけの状態だったから実際に僕の胃袋に収まったというわけではないしな」
そして何より。
「目覚めてから《黒曜の眼》という特殊効果が付与されたという知らせがあったんだが、多分、黒曜石を呑み込んだことで付与されたんだろう」
『ふむ……まぁ、主殿が問題無いというのなら我から言うことは無いであるが……。して、その《黒曜の眼》とは結局何だったのだ?』
「……今から確認しよう」
ということで《黒曜の眼》を始めとした、先ほどの通知周りの確認タイムだ。
いつものように読み取った情報を《編纂》で出力する。
《黒曜の眼》
黒曜天母に祝福された黒曜石で出来た眼。
本質や真実を見通す力が宿る。付与対象の資質次第では未来も見通せる。
根の生育に良い。
特殊効果:感知系、分析系、目に関わる一部技能への補正(極大)
……なんか、何故記載されているのか意味が全く分からない一文があるんだが……。
『根……つまり主殿の生育に良いのであれば全く問題無いであるな!』
「……それは……やっぱり、僕のことなのだろうか?」
『むしろ他に何があるであるか?』
「…………」
確かに。
というか今更だが……。
「あの黒曜石ジャガーはやはり『黒曜天母』だったみたいだな」
『であるな。主殿の話からすると、禁呪の影響は無くなったのであろうか?』
「自己申告だが、おそらく……?」
《解析》などで確認出来ていないが、接していた限り正常な状態そうではあった。
そして《解析》と言えば、先ほどの通知で何やら新しく得た技能に統合されてしまったらしい。
…………《分析》だった頃から考えると、ゲームを始めた時からの付き合いの技能だったので、何だか……少し寂しいような、よく分からないモヤモヤが残る。
とりあえず、今はそれはさておき。《解析》やその他の技能が統合された先だが……。
《慧眼》
消費AP:-(消費するAPを選択する)
あらゆるものの事柄、性質、構成要素などの本質をたとえ隠されていても細部まで見抜く。
視界が塞がれていても見通すことが出来る。
常時発動。眼の感知範囲に入ったものに自動で発動する。発動した場合は、それを見抜くのに必要な分のAPを消費する。
また、APを消費した分だけ詳細な情報を読み取れる。
「……何処からツッコめば……というか、確認していけば……」
『ほぅ、統合された技能が強化されて一つになったであるな。うむ、便利では無いか?』
「そんなオールインワンみたいな言い方…………いや、実際そんな感じか……」
『内容的には感覚が大分変わっていそうであるが、何か変化は感じるであるか?』
「そうだな……」
少し集中して自分の感覚を確認してみる。
……《勘破》の感覚に慣れていたからあまり違和感を覚えなかったが、視界と感知系の感覚が融合したと言うべきか、注意を向ければかなり深くまで“視れる”。
「これは……《勘破》や《梟の視覚》に慣れていなかったら酔っていたかもしれないな」
情報量が多かったり、見え方が独特過ぎて。
そういえば《解析》で得た情報はそのまま《編纂》出来るようになっていたが、《慧眼》はどうなのかと確認して……膨大な情報が出てきた。
これは、本当の僕自身のスペックで処理し切れるか不安になってくる。
と、思ったが《慧眼》の視界の情報を俯瞰してぼんやり“視る”とそれぞれの情報がなんとなく分かるので、詳細に見たければさらに注視するか、《編纂》でソートすれば良さそうだ。
……その確認で目に入ってしまったのだが。
「黒曜天母の依代が何か変化しているような……」
『そうなのであるか?』
広間のパッと見の状況は変わっていないのだが《慧眼》によると、根に覆われている中の黒曜岩がかなり変化しているように視える。
そうして僕が広間中央の根の塊、ひいてはその中の黒曜岩を注視していると────。
ズザザザザザザッ……
「『!』」
何がきっかけなのかは分からないが、黒曜岩を覆っていた根が突然動き出し、縄が解けるように緩んで中身が露わになる。
そこには《腐れの呪い》がかかっていたとはいえ、把握出来ていたシルエットから大きく変形した、ジャガーを模った坐像があった。
『ふむ、明らかに形が変わっているであるな』
「ああ。それに……」
よく見ると、意識だけの空間で会った黒曜天母と同じ部分が欠けていて、そこを黒い繊維質のもので補完されている。
完璧に現在の黒曜天母を写した、黒曜岩製の坐像になっている。
[黒曜天母の坐像]
異界を統べる黒曜天母の依代である巨大な黒曜岩で出来た像。黒曜天母そのものの姿を写しているという。
異界の縁覚編纂士の根によって修復されている。
分類:依代
属性:夜
状態:正常
特殊効果:《根の修復》
《根の修復》
底根族の根が欠損部位に根を張り、そのものの情報を読み取って元の形を模倣する。
特殊効果:聖属性ボーナス(中)、夜属性ボーナス(大)、光属性ペナルティ(中)
「説明文にチラホラ僕のことが書いてあるのがなんとも……」
あと何か属性欄が増えている。夜属性というのは通常フィールドには無い属性、だと思う。多分闇属性にあたるのではないだろうか。
『主殿の根はこういうことも出来るのであるなぁ』
「……僕も全然知らなかった、というかこの《根の修復》って特殊効果も初耳なんだが……」
と、自分のステータスを確認するとサラッと《底根の根》の説明に「条件が合えば《根の修復》を発動出来る」という文が追加されていた。
……すぐそうやってサイレント追加をする……。
「まぁ、とくにデメリットがあるわけでも無さそうだし、追加されてしまったものは仕方がないか」
『であるな!』
次は“《腐朽》の力”とやらの確認をしよう。
〈クリア報酬として特殊効果《黒曜の眼》が付与されました〉
〈特殊条件を満たしました。技能《慧眼》を獲得しました。技能《解析》《勘破》《夜目》はこの技能に統合されます〉
〈特殊条件を満たしました。《腐朽》の力を獲得しました。一部技能に《腐朽》の力が追加されます〉
「……うぅん」
意識を取り戻して早々、遠慮のない通知が僕を迎える。量は控えめだが、内容は全く控えめではない……気がする。確認するのが今から怖い。
『む! 起きたであるか、主殿……何か雰囲気が変わったであるか?』
「そうだな……実は、今まで意識だけ何処かに飛ばされて色々あった」
『何っ……この我が全く感じ取れなかったとは……何があったであるか?』
僕はシルヴァに、おそらく意識だけ違う空間に転移させられたこと、そこで黒曜石で出来た巨大なジャガーがいて話したことや黒曜石を呑まされたことをかい摘んで話した。
『うむむ……夜狗の小僧に知れたらまた厄介そうな……とりあえず、変な物を呑まされたということであるが、問題は無さそうであるか?』
シルヴァが気遣うように僕の頬を口で揉むように食む。その感触のくすぐったさに幾分気持ちが和らぐ。
「ふふっ……多分、問題無いと思う。よく考えたら石を呑み込んだと言っても、意識だけの状態だったから実際に僕の胃袋に収まったというわけではないしな」
そして何より。
「目覚めてから《黒曜の眼》という特殊効果が付与されたという知らせがあったんだが、多分、黒曜石を呑み込んだことで付与されたんだろう」
『ふむ……まぁ、主殿が問題無いというのなら我から言うことは無いであるが……。して、その《黒曜の眼》とは結局何だったのだ?』
「……今から確認しよう」
ということで《黒曜の眼》を始めとした、先ほどの通知周りの確認タイムだ。
いつものように読み取った情報を《編纂》で出力する。
《黒曜の眼》
黒曜天母に祝福された黒曜石で出来た眼。
本質や真実を見通す力が宿る。付与対象の資質次第では未来も見通せる。
根の生育に良い。
特殊効果:感知系、分析系、目に関わる一部技能への補正(極大)
……なんか、何故記載されているのか意味が全く分からない一文があるんだが……。
『根……つまり主殿の生育に良いのであれば全く問題無いであるな!』
「……それは……やっぱり、僕のことなのだろうか?」
『むしろ他に何があるであるか?』
「…………」
確かに。
というか今更だが……。
「あの黒曜石ジャガーはやはり『黒曜天母』だったみたいだな」
『であるな。主殿の話からすると、禁呪の影響は無くなったのであろうか?』
「自己申告だが、おそらく……?」
《解析》などで確認出来ていないが、接していた限り正常な状態そうではあった。
そして《解析》と言えば、先ほどの通知で何やら新しく得た技能に統合されてしまったらしい。
…………《分析》だった頃から考えると、ゲームを始めた時からの付き合いの技能だったので、何だか……少し寂しいような、よく分からないモヤモヤが残る。
とりあえず、今はそれはさておき。《解析》やその他の技能が統合された先だが……。
《慧眼》
消費AP:-(消費するAPを選択する)
あらゆるものの事柄、性質、構成要素などの本質をたとえ隠されていても細部まで見抜く。
視界が塞がれていても見通すことが出来る。
常時発動。眼の感知範囲に入ったものに自動で発動する。発動した場合は、それを見抜くのに必要な分のAPを消費する。
また、APを消費した分だけ詳細な情報を読み取れる。
「……何処からツッコめば……というか、確認していけば……」
『ほぅ、統合された技能が強化されて一つになったであるな。うむ、便利では無いか?』
「そんなオールインワンみたいな言い方…………いや、実際そんな感じか……」
『内容的には感覚が大分変わっていそうであるが、何か変化は感じるであるか?』
「そうだな……」
少し集中して自分の感覚を確認してみる。
……《勘破》の感覚に慣れていたからあまり違和感を覚えなかったが、視界と感知系の感覚が融合したと言うべきか、注意を向ければかなり深くまで“視れる”。
「これは……《勘破》や《梟の視覚》に慣れていなかったら酔っていたかもしれないな」
情報量が多かったり、見え方が独特過ぎて。
そういえば《解析》で得た情報はそのまま《編纂》出来るようになっていたが、《慧眼》はどうなのかと確認して……膨大な情報が出てきた。
これは、本当の僕自身のスペックで処理し切れるか不安になってくる。
と、思ったが《慧眼》の視界の情報を俯瞰してぼんやり“視る”とそれぞれの情報がなんとなく分かるので、詳細に見たければさらに注視するか、《編纂》でソートすれば良さそうだ。
……その確認で目に入ってしまったのだが。
「黒曜天母の依代が何か変化しているような……」
『そうなのであるか?』
広間のパッと見の状況は変わっていないのだが《慧眼》によると、根に覆われている中の黒曜岩がかなり変化しているように視える。
そうして僕が広間中央の根の塊、ひいてはその中の黒曜岩を注視していると────。
ズザザザザザザッ……
「『!』」
何がきっかけなのかは分からないが、黒曜岩を覆っていた根が突然動き出し、縄が解けるように緩んで中身が露わになる。
そこには《腐れの呪い》がかかっていたとはいえ、把握出来ていたシルエットから大きく変形した、ジャガーを模った坐像があった。
『ふむ、明らかに形が変わっているであるな』
「ああ。それに……」
よく見ると、意識だけの空間で会った黒曜天母と同じ部分が欠けていて、そこを黒い繊維質のもので補完されている。
完璧に現在の黒曜天母を写した、黒曜岩製の坐像になっている。
[黒曜天母の坐像]
異界を統べる黒曜天母の依代である巨大な黒曜岩で出来た像。黒曜天母そのものの姿を写しているという。
異界の縁覚編纂士の根によって修復されている。
分類:依代
属性:夜
状態:正常
特殊効果:《根の修復》
《根の修復》
底根族の根が欠損部位に根を張り、そのものの情報を読み取って元の形を模倣する。
特殊効果:聖属性ボーナス(中)、夜属性ボーナス(大)、光属性ペナルティ(中)
「説明文にチラホラ僕のことが書いてあるのがなんとも……」
あと何か属性欄が増えている。夜属性というのは通常フィールドには無い属性、だと思う。多分闇属性にあたるのではないだろうか。
『主殿の根はこういうことも出来るのであるなぁ』
「……僕も全然知らなかった、というかこの《根の修復》って特殊効果も初耳なんだが……」
と、自分のステータスを確認するとサラッと《底根の根》の説明に「条件が合えば《根の修復》を発動出来る」という文が追加されていた。
……すぐそうやってサイレント追加をする……。
「まぁ、とくにデメリットがあるわけでも無さそうだし、追加されてしまったものは仕方がないか」
『であるな!』
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(ムーンライトノベルにも掲載しています)