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本編
176:僕も与えたい
じゅ、じゅっ、じゅぷ、じゅぷっ……
石造りの部屋に、ひどく湿った音が響き渡る。
音だけではなく、籠った空気が妙に濃く甘い。
それは、僕達がもうずっとこうしているからだろうか?
「ぁ……ふぅ、ん……バ、ラム……もうっ、ぁっ、イけな……あぁっ!」
絶え間なく与えられる快楽に、今まで経験したことが無いほど達していて、もう体力的にもその他諸々的にも限界だ。
「は……そしたらまた回復させてやる」
「うぅん……そん、な……ぁうっ」
僕の下半身辺りから顔を上げたバラムは、一見穏やかに微笑むとすぐに僕のものを口に含む。
厚い大きな舌が、巧みに動いて僕を追い詰めていく。
そうして、同時に胸の方も弄られると、視界が白く弾けて身体の制御をあっという間に失ってしまう。
もう、どのくらいそうしているか分からない。
僕の体力だとそう何回も出来そうに無いのだが……。
「ぐっ………はぁ…………ほら、これで回復だ」
「んんっ」
時折、バラムも自身を扱き、達したものが僕の身体の上にかかる。
そして、その一部を指で掬って僕の口へと運ぶ。
するとどういう訳か、僕の体力や精力……?が多少“回復”する。そうやって、僕は本来の体力や精力以上に達することが出来ている……んだと思う。
何なら、バラムも僕の精を飲み込むことで回復しているっぽい。…………何もしなくとも体力があるのに、必要だろうか?
今まで、敢えて気にしないできていたが、いよいよバラムの精を取り込んだ時のエネルギー交換効率のようなものが上がってきたのか、食事やポーションよりも回復率が良い。
だからか、精を口に入れられると砂漠で水に焦がれるように吸いついてしまう。
「ん……」
ちゅっ、ちゅくっ、ぴちゃっ……
「………………こっちもだ」
「ん? んむっ」
夢中で舐めていると、口から指が引き抜かれ、間髪入れずに柔らかく熱いもので口を塞がれる。
「……は、ぁ…………ん……ん……」
精ほどでは無いが唾液も多少回復する。……こういうところは本当にこの体が『人じゃない』感がすごいな……。
「んむっ!?」
口の方に気が逸れていたが、大きな手が僕の勃ち上がったものを包んで扱く。
シュッ、シュッ、ジュッ、ジュプッ……
「んっ……ん……は……んんっ!」
回復を促されたからか、与えられる刺激に素直に高められていく。
「んん……は、バラム……もうっ……!」
「は……イけよ」
「うっ、あぁっ!」
僕が限界を伝えると、さらに扱く手を強められ、あっさりと達してしまう。
幾度目かの虚脱感に全身を放り出す。
「はぁ……はぁ……ん……」
バラムの手が僕の頬に触れる。
目を閉じて、手から流れ込むものに感じ入る。
……僕を大事に思ってくれている。
「分かったか?」
「……ああ」
押し倒される前の問いに対しての答えを聞かれているのだろう、それに気怠さを押して頷く。
それを見て「よし」と頷いたバラムが、毛皮を僕に被せてそのまま抱えるような体勢をとる。
「……お前、また何か力が増したか? 山羊の視線にお前の気配を感じたんだが」
「うん? そうだな……」
『視線』ということで多分《慧眼》のことだろうと、技能獲得の経緯と大まかな能力を説明、したのだが……。
「…………」
「バラム?」
気づけばバラムの眉間にとても深く皺が刻まれていた。
「どうかし……うむっ」
どうしたのだろうと声を掛けると、有無を言わさず、口を塞がれて舌が差しこまれる。
顔を上向きにさせられて、僕とバラムの混じり合った唾液が必然、下にいる僕の方に流れ込んできて飲み込まざるを得なくなる。
「ん……んぅ…………はぁっ」
しばらくして解放された時には、やっと落ち着いた身体が少し火照りを帯びてきてしまっていた。
「はぁ……」
バラムが僕の肩口に顔を埋めて深いため息を溢す。
……うぅん、先ほどまでの苛立ちのようなものは僕がバラムの気持ちに反して、囮を買って出てしまったことによるものだが、今のこの悩ませてしまっているものは何だろう……。
…………バラムから安心感を貰ってばかりではなく、僕もバラムに……上手く言葉に出来ないが、安心感や温もりを与えたい。
「バラム」
「…………何だ?」
顔を上げずに声だけで反応を返してくる。
「前に僕の“初めて”を全部欲しいって言ってただろう」
「……ああ」
「僕はそれにバラムを信じてるから任せるって返した……と思う」
「そうだな」
でも、それじゃああまりに一方的だ。
「……バラムに任せるだけじゃなくて……僕もその……バラムが安心したり温かくなるようなことがしたい」
「……」
「ただ、何をして欲しいか分からなくて……こうして欲しいとかあれば教えて、くれないか?」
顔が見えないので、今どんな表情をしているのか分からないが……とりあえず前に好きそうだった頭に手をそっと置いて、ふんわり撫でてみる。
「…………お前は……」
「ん?」
しばらくそうしていると、バラムがぽつりと言葉を漏らす。何か僕に問いたいことがあるのかと、静かにその先の言葉を待つ。
「お前も俺達……俺のことを“架空の存在”とか、夢の中の存在だとか……そんな風に思ってるのか?」
「え……」
酷く弱々しい、囁くような声で、バラムはそう僕に問うた。……どうしてそんなことを、と思ったが“ゲーム”をしているプレイヤーの言動を聞けば、そう感じない方がおかしいと思い至る。
しかし、そうか……僕は……。
「自分でも驚くほど、そんな考えは無かったな」
「……あ?」
僕の答えや調子が予想外だったのか、顔を上げたバラムが訝しげな表情をしていた。
「……僕にとっては、こちらで感じられる全てが“ほんとう”なんだ。……だから、“架空”だとか“夢”だなんて思いもしなかった」
何処か不安げな色を帯びた視線を受け止めながら、バラムの頬に自分の頬を寄せる。
触れた部分から伝わる感触に体温に、口角が上がる。
「だからバラムは……シルヴァや町の皆、この“世界”で生きてる。そう思ってる。…………それに」
………………それに、バラム達が“架空の存在”“夢の存在”というのなら、仮想空間での意識しかない僕はどうだというのか。
この“世界”でしか、味も匂いも……肌の温もりも感じられない僕は────。
「……僕の方こそ“夢の存在”なのかも……」
「……何?」
それでも僕は、この世界で感じたこと、したいと思ったことは僕の“ほんとう”だと思う。
……ただ、この話の着地点がよく分からなくなってしまった。最初はバラムに何かして欲しいことを聞いた気がするんだが……。
「えぇと……だから、そうだな……」
いや、そうだ。今では無いが先日、バラムからしたいことは聞いていたじゃないか。
とりあえず、それを提案してみよう。
「前言ってた……その、挿れたいっていうのがバラムの望みなら……やってみよう、か?」
言ってて段々気恥ずかしくなってきて、しどろもどろになってしまった。うぅん、大事なところな気がするのにまとまらないな。
「くっ、はははっ」
「うん? えっ」
突然、笑い声が聞こえてそちらを見ると、バラムが楽しそうに笑っていた。こんな風に笑っているところを見るのは初めてかもしれない。
「ここでそれ持ち出すか? お前から……くくっ」
「……う。着地点が分からなくなってしまって……でも、やってみてもいいと思っているのは本当だ」
「……は。そうかよ」
そう言うと、今度はバラムの方から僕の頬に自身の頬を擦り寄せたり、頭で頭をぐりぐりしだした。
…………ちょっと、いや、結構痛い。
しかし、これでバラムに安心感が生まれるならいいか……と思いながらぐりぐりされていると、少しして解放される。
「まぁ、やるならこのイベントとやらが終わってからだな」
「うん? ……ああ、今はその、準備に必要な物が無いからか?」
こちらの世界でもあるのかどうか、そもそもこっちの僕の身体に必要なのかも分からないが、それを探る意味でも聞いてみる。
「あ? それは一応持ってきたが、こんな他所の空間で解すだけとはいえお前を晒したくねぇ」
もう、いつもの精悍な顔つきになって、真顔でこんなことを言っている。
「…………というか、必要な物自体は持ってきてるのか……」
持ち込み個数制限があるというのに。
「はっ、だから……この空間から出たら、やるぞ」
「……まぁ、それは。僕が聞いた側だしバラムがそれで良いなら」
「ああ、俺はお前とそうしたい」
そう言って、機嫌良さそうに僕の唇に触れるだけの口づけを落とした。
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