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あったか、めでたい
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あったか、めでたい
正月二日。こたつでみかんをつまみながらゲームに夢中の息子を、父ちゃんがぼそっと見る。
「おい、そんな顔して寝てっと、福が逃げっちまうぞ」
「寝てないって。今、ボス戦なんだよ」
「ばかやろ。正月っつぁ、外に出てこそだ。よっしゃ、めでたいもんでも買いに行くかい」
しぶしぶ立ち上がった息子を連れ、父ちゃんは神社へ向かう。
境内には屋台がずらり。焼きそば、りんご飴、チョコバナナ。甘い匂いが漂う中、父ちゃんが立ち止まった。
「……え、たい焼き?」
「そーだい、“めでたい焼き”だ」
鉄板でじゅうっと焼ける音。
紙袋を受け取り、息子は鼻をひくつかせた。
「でもさ、なんでたい焼きなんだよ。鯛の方がめでたくね?」
「小豆は魔除けだ。邪気を払って福を呼ぶ。正月にはうってつけだい」
「へぇ……でも、魚の鯛の方が縁起よさそうじゃん?」
「正月早々、殺生は縁起悪りぃ」
「へー、そういう理屈なんだ」
息子はふっと笑い、熱々のたい焼きをほおばる。
父ちゃんはそんな横顔を見て、口の端をゆるめた。
空には凧がひとつ。
二人の手には、あったかい“めでたい”が残っていた。
正月二日。こたつでみかんをつまみながらゲームに夢中の息子を、父ちゃんがぼそっと見る。
「おい、そんな顔して寝てっと、福が逃げっちまうぞ」
「寝てないって。今、ボス戦なんだよ」
「ばかやろ。正月っつぁ、外に出てこそだ。よっしゃ、めでたいもんでも買いに行くかい」
しぶしぶ立ち上がった息子を連れ、父ちゃんは神社へ向かう。
境内には屋台がずらり。焼きそば、りんご飴、チョコバナナ。甘い匂いが漂う中、父ちゃんが立ち止まった。
「……え、たい焼き?」
「そーだい、“めでたい焼き”だ」
鉄板でじゅうっと焼ける音。
紙袋を受け取り、息子は鼻をひくつかせた。
「でもさ、なんでたい焼きなんだよ。鯛の方がめでたくね?」
「小豆は魔除けだ。邪気を払って福を呼ぶ。正月にはうってつけだい」
「へぇ……でも、魚の鯛の方が縁起よさそうじゃん?」
「正月早々、殺生は縁起悪りぃ」
「へー、そういう理屈なんだ」
息子はふっと笑い、熱々のたい焼きをほおばる。
父ちゃんはそんな横顔を見て、口の端をゆるめた。
空には凧がひとつ。
二人の手には、あったかい“めでたい”が残っていた。
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