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暗い話

夢路

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「来てくれたの!?」

 朝目覚めたら守がいた。

「凄く会いたかったっ」
「俺も!」

 急いで起き上がり抱きつくと、彼は目を細めた。

「久しぶりに樹の作ったカレーが食べたいな」
「うんっ、もちろ――」

 意識が、引っ張られる。



 ゆっくりと目を開けた。

「カレー、作ろ」

 守に少しだけ会えた、八月の半ばのこと。
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