婚約者は、真実の愛を見つけたらしいですよ？私のことも愛しているから、婚約はそのままにしてほしい？…ふざけないでください、婚約破棄です。

1.

「愛してるよ、！」
「えぇ、私もっ！！」

この人と一緒なら、私はどんな困難だって乗り越えていける＿。
...そう思っていたのに、ねぇ？

＿＿＿＿＿

婚約者は、真実の愛を見つけたらしいですよ？
「僕は真実の愛を見つけたんだ...！！」

「だけど、君のことも愛している。　だから、婚約はそのままで...。
僕が一番に愛すのは君じゃなくなるだけの話だ、君なら大丈夫だろう？」

私のことも愛しているから、婚約はそのままにしてほしい？


「...ふざけないでください、婚約破棄です。」
.....私の婚約者は、そんな馬鹿げたことを言う人じゃないと思ってたのに。

「なぜだ！？　だって、真実の愛を見つけちゃったのだから、仕方ないだろう！？」
...この人の言ってることの意味が分からない。

「…じゃあ、もし仮にそれを受け入れたとして。
私は他の人と恋愛関係に至ってもいいのですか？」
貴方が言っているのと、同じこと。

「駄目に決まっているだろう！？！？　何でそんなことを考えるんだ！」

（...はぁ、話が通じない。）

「まぁ、婚約破棄です。　貴方は適当に真実の愛とやらを謳歌してください。
...それでは、さようなら。」


...まさか、誠実だと思っていた婚約者がそんなことを言ってくるとは思っていなかったわ。

まぁ、結婚する前だったから、まだ良かったのかしら？

＿＿＿＿


私は、愛していた彼と婚約破棄をして、少し傷付いていた。
さっぱりと別れたはずだったが、引きずっている...。
私は部屋に閉じ籠っていた。
（...なんで、私がこんな目に遭うの...？）

「お～い。　生きてるか？」
誰もいないはずなのに、すぐそばから声がして、びっくりしてしまった。

「だ、誰！？」
私がそう叫ぶと、
「俺だよ、俺！！　覚えてる？」

「もしかして...ハベル！？」
そこにいたのは、昔の幼馴染だったハベルという男性だった。

「お、そうそう！　久しぶり！」
「えぇ、久しぶり！！」

彼は少し迷ったようにして、
「なんで部屋に閉じ籠ってるんだ？」

「簡潔に言うと...。
...婚約していた人がいたんだけど、最悪な婚約破棄をしたわ。」

彼は一言。
「そうなんだ。」　とだけ。

そして、また迷ったようにして、
「...じゃあさ、俺と婚約しない！？　俺だったら一生大事にするよ？」

（...え？）
「婚約、って本気で言ってる！？」
「本気だよ。　実はお前、俺の初恋の人なんだ！」

...でも、前の婚約者のことがあったから、少し男性を信じるのが怖くなっていた。

「わかった...。　けど、少し時間をくれないかしら？」
「あぁ、もちろん！！」

＿＿＿＿


あの後、私は幼馴染の誠実で、一途なアプローチを受けて、婚約した。
一生大事にする、という言葉を少し信じてみることにした。

...風の噂で聞いた話だけど、元婚約者と真実の愛のお相手は、結局婚約にすら至らなかったそう。
まぁ、自業自得ね。