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…私は、多分妹から虐げられている。
こんなこと、自分で言うのもおこがましいかもしれないが。
小さい頃はとても仲が良い姉妹だったのだけれど。

きっかけは、妹の方が何においても成績優秀になったから。
親の関心が妹にしかなくなっていくのをこの身で感じた。

「あ、お姉さま~!
その服、とっても素敵ですね!
…私も欲しくなっちゃった。」
妹は両親を見て、
「ねえ、お父様、お母様。お姉さまの服、私にも買ってくださる?」

私の両親は、
「え、買わなくてもいいじゃないか。
ソフィアはお姉ちゃんなんだから、その服、ユリナに譲ってやりなさい。」

…いつしか、拒否することもなくなった。


~1年後~

あれから、ユリナはもっと傲慢になり、いつも遊び歩いていた。
ユリナのせいで、私にも悪い噂が飛び火している。

「ユリナ。
お前に婚約の申し込みがきていたぞ。」
「え、嘘!?」
「…だが、冷徹と噂されている、クロバート辺境伯から…なのだが、どうする??」

…正直、ユリナは男遊びの噂が酷い。
クロバート辺境伯も多分いやいやだったのだろう。
ユリナは、即答した。

「え!?絶対に嫌!!!
だってあのクロバート辺境伯からでしょ?
死んでも行かないわ~。」
「…むむ。そうか。
だが、この婚約の話は家にとっても有益な話。
どうしたものか…。」

ユリナはこっちを見て、悪い笑顔を見せながら言った。

「あ、お父様!!
ちょうど、ここに良い人がいるじゃないですか~?
ソフィアお姉さまが行ったらいいんじゃないです??」
私は驚いた、流石に嫌…だ。
「ま、待っ…」
「そうか!!
その手があったな、流石ユリナだ!」
「こんなお姉さまでも、役に立てるってことを証明してあげたんですよ?
お姉さま、感謝してくださいね~!!」

(…私の意見は、関係無いんだな。)

私は呆れながらも結局、どうにもできないので、辺境伯の所へ行くことになってしまった。
実質、家から追い出されたようなもんだ。

辺境伯の家の扉を開けると、そこには、格好良い顔立ちの人が居た。

(…この人が、クロバート辺境伯??)

「…ユリナさんですか??」
「…あ、いえ。姉のソフィアです。
今日は婚約の申し込みを受理しようと…」

と私が言うと、クロバート辺境伯は驚いたように、
「…もしかして、俺の婚約相手はユリナさんではないんですか?」
「…そうなります。」
(やっぱり、ユリナとの方が婚約…良かったのかな。)
「本当ですか!?!?
やったあ~!!!」
(!?)

「…私で、いいんですか?」
「もちろんです!!ありがとうございます!!
…あまり、ユリナさんの良い噂は聞かないものですから。
えっと、これから、よろしくお願いします、ね、??」
「…ありがとうございます。
じゃあ、よろしくお願いします!」


この後、私たちは幸せになったという。

私の妹に関しては、男遊びが酷く、男に騙されて、家に引きこもってばかりだという。
まぁ、自業自得だ。
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