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「名ばかりの正妃」

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「ねえ、そこの君。」
…私のこと??かしら?
そう私が振り向くと、そこにはこの国の第一王子がいた。

ここは学園。
学園と言っても、貴族たちが通う学校だ。

...実を言うと、私は平民の成り上がりなのだ。
何故平民が貴族たちの学園に通っているかと言うと、お父さまは凄腕の騎士団長なのだ。
その功績がなんとこの国の王にも認められ、娘である私が貴族の学園に通う事を許可された。
......許可されたというよりかは、強制的に通うことになった。
......私としては、貴族たちが通う学園なんて通いたくなかったけれど、お父さまに仕方なく通わされた。

私が早速学園につくと、噂は既に広がっていたようで、
「あれ、見て...噂であった平民の女の子。あの子じゃない??」
とか、色々注目されていた。

「ねえねえ、」
...何か呼ばれてる気がするけど、私じゃないよね??
「ねえ、そこの君。
君だって、噂の子!!!」
...噂の子ってことは...多分私よね。

「...何か、ありましたでしょうか?」
「あぁ、やっと気づいた!」
...わざと聞こえないふりしてたのよ。
......あれ??

(...この人、どこかで見たことある......。)
...思い出した!
私に声をかけてきたのは、この国の第一王子だった。

「君、僕の正妃になってよ。」
......えぇ??
...どういうこと?急すぎてよくわからないんだけど......。
私が何も言えずに黙っていると、王子は思い出したように、
「あ、名だけの正妃ね??
僕にはもう愛しの人がいるし~。」

......名ばかりの正妃??
なんで、私が??
......え??
「申し訳ありません...何故、私が選ばれたのでしょうか...??」

そうすると、王子は笑顔で
「だって、平民ごときなら僕の愛しの人は嫉妬しないでしょ??
僕の愛しの人は、理由があって婚約できなくてねぇ~。」

......?
意味が分からない。
平民だからってだけで私に名ばかりの正妃になれと?いうことなの?
よく分からないけれど、どう考えてもお断りでしょ。
なんでこの人はこんな言い方をして正妃になってくれると思ってるのかしら??

そうして私は即答した。
「えっと、とりあえずお断りします。
そもそも私と貴方は他人でしょう??絶対に嫌です!!
それじゃ、面倒ごとに巻き込まれたくないのでさようなら。」
私は、足早にこの場を去った。


......結局、何だったのかしら......??
何で平民なら正妃がいても嫉妬しないのかしら......?
あんな王子で、将来この国大丈夫なのかな...
『愛しの人』と一緒に破滅するのでは...?

まぁ、いいや。
今日の学園で、意外と友達も出来たことだから、学園...案外悪くないかも??
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