少女の心に深めの傷を残して死にそうな低身長童顔ロリお姉さん

ブラックカメリア

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使命に燃える、金髪伊達眼鏡少女

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 私のお母さんは、凄い巫女だったそうです。何年も前線に立って、何百という変異種を討伐して、この国の平穏を守ってきたらしい、です。

 お母さんは、無口な人でした。いつも無愛想で、言葉が足りなくて、でも私のことを想ってくれていて……だから、巫女のことも私はお母さんからではなくて、別の人から聞いて知りました。

 お母さんのお葬式でした。お母さんの知り合いという人が、私に話してくれました。

 お母さんは凄い巫女だった。お母さんは平和のため、その責務を見事に果たした。お母さんは、お母さんは、お母さんはお母さんはお母さんは──死んだ。

 「ののちゃん。貴女は、誰かのためじゃなくて、自分のために生きてね」

 不意に、お母さんの言葉が聞こえた気がしました。いつだったか、普段はオロオロしているお母さんが、酷く真面目な顔で言った言葉。お母さんは、誰かのために死んだ。誰かのために、生きていた。

 お母さんが私に巫女の話をしなかったのは、きっと私にそういう生き方をして欲しくなかったからだ。巫女という仕事は、常に自分を犠牲にして誰かを助ける仕事だから。

 その日、私は泣かなかった。本当は泣き叫びたかったけど、ぐっと堪えて我慢しました。泣いていたら、きっとお母さんが安心出来ないだろうから。

 次の日から、私は巫女になるための訓練を始めました。お母さんはこんなことをきっと望んでいないだろうけど、私はそう決めました。

 お母さんは誰かのために死にました。私のために生きてくれませんでした。だから、私もそうするのです。

 皆を守る。誰も犠牲にさせない。お母さんが守った平和を、私が守る。

 それが私の原点、それが私の決めた生き方なのです。

 なのに、なのになのになのにっ……!!!

 「ごほっごほっ……! 毒に人質……ね。これだから変異種ってヤツは……」

 「もう逃げてください!!! それ以上は死んでしまいます!」

 これは一体なんですか? 普通型に負けて、挙げ句の果てに奇襲にも対応できず、助けてくれた人を危機に晒しています。全て、私のせいだ。私のせいで、私よりも小さな少女が死にそうになっている。

 助けてくれた少女の怪我は酷すぎて見ていられません。右腕は繋がっているだけでグチャグチャ、体中傷だらけで、お腹に刃物が突き刺さったままでした。

 きっと、少女一人だけならこの場面を切り抜けることが出来るのでしょう。でも、それをしないのは私が変異種の人質になっているからです。

 少女は無抵抗で変異種の攻撃を受けていました。特殊群体型変異種『猿』。リーダ格と思われる老齢の猿は、私をいつでも殺せるようにしながら、部下であろう普通型に少女を嬲らせました。

 殴られ、蹴られ、叩かれる。でも決して、トドメは刺さない。痛めつけられる少女や、それを見て泣き叫ぶ私を見て楽しんでいるのです。その事実に、私は変異種を喜ばせるだけだと分かっていながら、取り乱してしまいます。

 「やめて! もうやめてよ!!! 殺すなら私を──がっ……!」

 顔を殴られ、派手に血が噴き出します。右目が真っ赤になって、よく見えません。

 最悪の気分です。涙が止まらなくって、情けなく叫ぶしか出来ない。誰かを守るどころか、私のせいで誰かが死にそうになっている。私は、お母さんのようにはなれませんでした。

 ──でも、最後に……私が死ぬのは構わないけれど、あの子が死んでしまうのだけは、許したくありません。私が蒔いた種だけど……それでも、あの子だけは救いたいと思いました。

 「っ! あぁあああぁぁああああ!!!!」

 「########!??!?!?」

 私は矢を神力によって精製、射出することが出来ます。弓は壊されてしまったけれど、矢は神力さえあれば何本でも創りだせるのです。それを使って、気味の悪い笑い声を出す変異種の眼に突き刺してやりました。

 あくまで弓を使って攻撃するものを、手動で刺しても精々が目眩まし程度でしょう。でも、それで良いのです。その隙に、少女が逃げ出せるのなら。

 「いまのうちに──!」

 「えぇ、任せて」

 「え──?」

 一閃。それはまるで閃光のようでした。数メートルは離れていた少女が、いつの間にか消えていて、気付くと変異種の首を跳ね飛ばしていました。白刃の煌めく、一振りの刀によって。

 「愚かね。さっさと私を殺そうとしていれば、逃げられたかもしれないのに」

 普通型はどちらも槍で頭を潰されていました。あっという間に、形勢が逆転しています。

 「########!?!?」

 「まぁ、逃げても必ず殺すけど」

 血塗れのその姿の中、少女の瞳が紅く煌めいていました。その眼光は真っ直ぐ、暗く、ひたすらに変異種のみに向けられていたのです。

 ただ、目の前の敵を抹殺する。どれだけ身体が傷つこうと、決して止まらない少女の双眸。傷なんて無いかのように、こちらへ歩いてくるその痛々しい姿。その全てが、とても恐ろしいと感じました。ですが、私は同時にこうも思ってしまったのです。

 ──あぁ、なんて、綺麗なんだろう、と。

 「さて……仕切り直しましょうか」

 その日、私は出会いました。私の、光。お母さんのように、目指すべき目標を。

 「私は、鷹司天たかつかさそら。貴女の名前は?」
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