出会いから出逢いへ

茶雲

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1話

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「今から、このクラスで1番可愛い人を決めよう大会を始めようと思います。」
それは、突然に始まった。クラスで時々行われる最悪な時間…

みんなにとっては楽しい時間かもしれないが私にとっては地獄のような時間だ。参加は強制でクラス全員がいる時間や日にちに毎回行うため逃げることもできない…

イジメ⁇
……
いいや、これはイジメとは言えないな…これによってクラスの雰囲気が良くなったりテスト前にクラスに覇気が生まれたりして一種の交友関係を広げようみたいなちゃんとした回なんだが、自分に自信がないことや周りに可愛い子が多くいて単純に嫌なだけだ。

「強制はしないよ。帰りたい人は帰っていいよ。」
と、毎回言ってはくれるがみんなは残るから帰りたくても帰れない…
自分を強く持てって時々言われるけど、集団の中で1人だけってなると難しいでしょ⁇。できる人に本当に尊敬してしまう…

その時、
ガララー
とドアが開く音がして先生が入ってきた。

先生
「放課後に時間あるやついるか~。いたら俺のところに来てくれ。」
と雑用の手伝いの呼びかけがあった。

内容がないか分からないけど、真っ先に手を挙げて先生の元に向かった。

先生
「やる気があっていいな‼︎。個人的な要件だったけど、そんなに早く決まってくれて嬉しいよ。お邪魔したな。」

いつものように資料の整理だと思って手を挙げてしまったが、内容を聞いてないのに先走って手を挙げたことに後悔をした。
有無を言えず状態で進路相談室に入った。

「なんで、進路相談室なんですか⁇。」
と素直に聞いてみた。

先生
「私的内容を空き教室で話す訳にはいかなくて…すまない…。盛り上がっていたところすまないな。」


「いえいえ、あの場についていけず逃げたかったのでありがとうございます。」
「ところで話しってなんですか?」

先生
「うちの実家の方で『着ぐるみ祭り』というのがあって、個人で作った着ぐるみとかキャラ的なものを着て街を一周回るっていうのがあるんだけど、参加してくれないか。」

「毎年、私の娘が着ぐるみを着てくれたんだが反抗期なのか今年は絶対に嫌だと言われて…。私は運営委員だから着ぐるみの方も辞退するわけにもいかなくて…。」

「嫌だ。というのはわかる…。だが、。」


「このイベントっていつからですか。学校の公認欠席って使えますか?」

私は、この学校に入ったものの、さっきみたいな展開があるからいつまでもクラスに馴染めずに半年が過ぎようとしていたから少し学校から離れたかった。

「俺がなんとかするから大丈夫。イベントは来月からなんだけど、準備をしたりコースを話し合ったり会議とかあるから来週からって大丈夫か⁇。」

「明日からでも大丈夫ですか⁇。」

「明日‼︎⁇…用意とか大丈夫か…一応俺の実家の家を貸すつもりでいたから寝床は困らないだろうけど、洋服とか化粧品とか準備しないといけないだろ。」


「学校生活で限界が来たら家出するつもりだったんで準備はできてます。」

先生
「早く気づいてあげられなくてごめんな。」


「私が弱いだけです。先生、私に変わるきっかけをくれてありがとうございます。先生がくれたチャンスを無駄にせずに変わりたいと思います。」

た。

先生
「学校は絶対に行かなきゃいけない。そんなことはない。親が学校のお金を出してくれていると思うけど、君の人生だ。不快な思いをするために学校に来てる訳じゃないでしょ。まだ君は高校生だ。真面目であることも大切だけど、サボることも大切だよ。」

「どんな時も気を張っているように見えるから一度気を緩めることをしてほしいんだ。もっと広く見れるようになれればもっとこの世界をより楽しむことができると思うんだ。少なくとも俺は大学生になってからだったけど、考え方を変えたら毎日が凄く楽しく感じることができるようになったよ。」

「気を抜くことで心に余裕ができたり、さっき言ってたクラスで行われてた声かけのやつも楽しめるようになるかもしれないよ。」

先生
「君の人生なんだ。君が決めたことに誰もいう権利なんてないんだよ。先生はアドバイスとか今回みたいに案を出すことはできるけど、決めるのは君なんだ。失敗するのも人生の経験の一つだ。失敗を恐れちゃいけない。だから、このきっかけをいい経験にしてくれると嬉しいよ。」


きっかけをくれたことを何よりも嬉しかった。明日からここを出て知らないところに行く不安より私の気持ちをしっかりと受け止めて深々に考えてくれる人がいたことが凄く嬉しかった。よく先生に告白する生徒がいると聞くけど、そんな気持ちが分かる気がした。

告白しても先生の薬指には指輪があり、振られることが分かった私は
「どうして先生はそんなに優しくしてくれるの⁇。先生だからっていうのは分かります。でも、なんでそんなに私に優しくしてるんですか。先生が結婚していなければ私が結婚したかったです。」

言ってはいけないことを本心で言った。

先生
「先生としては結婚はできないけど何かあったら支えになるよ。だから一人で抱え込まないようにな。」


『言われ慣れているんだろう…上手く話しを変えられた…。』

先生
「というか俺は全然優しくもないし、しっかりもしてないぞ。本当に必要な時は真面目だけど、普段は流す感じで過ごしているよ。それじゃないと楽しめることも全力で楽しめなくなるよ。」


「無理に楽しみたいわけではないです。私の気持ちを知った気にならないでください。」

先生
「それはそうでしょう。私は君ではない。でも知った気にならないでという気持ちを、
ただ単に聞いてくれる人って考えてみたらどう⁇。」

「今の状態だとマイナスのイメージから入ってしまうのは仕方がないと思う。だからマイナスから入るんじゃなくて都合のいい人って思ってみるのはどうかな。マイナスから考えるとまずマイナスを0にしてからプラスにしなきゃいけないけどはじめから0ならば少しでもいいことを見つければプラスになるんだよ。」


いろいろ私の為って思って言ってくれてるのかもしれないけど、綺麗事を言ってるだけだなと思った。

先生
「流石に綺麗事言いすぎたか。ごめんごめん。このまま説明すると一方的に押しつけているようになっちゃうな…。」

「どうしたらいいんだろう…。私は結婚してるし君の想いに応えることもできないし…。代わりと言ってはなんだけど、その祭りに参加する人もいい人は多くいるし、観光客だって多くきて出会いがあるかもしれないよ。」

「出会いが多くても私のことを分かってくれる人がいるかも分からないじゃないですか。」

『屁理屈ばかり、全部否定しちゃう…でも、どうせ私の気持ちを理解してくれる人なんて…。』

先生
「君は本当に昔の私に似ているね。1番最悪な状態にはなってないけど、考え方がマイナスだけになっちゃう時期。私もあったよ…。本当にあの時は辛かった…。」

「そんな時に今の奥さんにあったんだ。そこでね…私の黒歴史に近い内容だからあまり話したくないんだけど、君の考え方が変わるきっかけの一つになってほしいから言おう。」

「昔の私は君のように毎日が意味のない日だと思って過ごしてた。それに何よりも自分が大っ嫌いだったからいつ死のうかいつ死んでやろうかって毎日思っていたよ。それでさっきの話しに戻るんだけど、最悪な時に私の奥さんに声をかけられたんだ。「一人で帰っているなら一緒に帰らない。私も一人なんだ。」

そこから彼女と関わっていくうちに狭く感じていた世界が一気に広がって見えたんだ。
「今思えば出会いが生んだ運命だよね。」

「だから、今度は君の変わるきっかけになりたいんだ。」


「私は、先生みたいに変われる自信がないです…。」

先生
「君は私にはなれない…君の人生だから一緒の結果になることはない。一歩を踏み出せば君だけの世界が待ってる。結果がいい方にいくか最悪の形になるか分からない。でも、それも君の努力次第でもあるんだ。変わりたいという気持ちが少しでもあるなら、この話しに乗ってみないか。」


『今まで、変わりたい、変わりたい。と思っていたけど変わるきっかけがなかった。こんな私は変えなきゃ変えなきゃと思う日が多くあったけ…』

先生
「あと、変わろうという気持ちは凄くいいと思うんだけど結局は周りの環境とかこれから関わる人によって大きく変わると思うんだ。だから、着ぐるみをやってみないか。」


『先生と結婚できないのは辛いけど、そこまで教えてくれるってことは私にはまだ変われる可能性があるってことだ。先生の口が上手いのか私が単純すぎるのか分からないけどイベント後の私をイメージすると楽しい。』

「先生、私行きます。明日から行きます。」

私は決意した。先生の言う通り自分から動かなければ、何も変わらない。ここで重要なことは私が本当に変わりたいか、変わりたくないかだ…。

「先生みたいに私も変わりたいです。だから私を行かせてください。」

先生
「君の決意が報われますように。俺の実家に白龍美空(ハクリュウミクウ)俺の一人娘がいるんだ。娘が家事をやってくれるっていうから頼ってくれ。」

そうして私は次の日に先生の実家に向かった。
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