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16章
124話「アルスとハルトに新しい役目を」
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マザーとラルシアルが一緒にいる頃合いの時、アルスはハルトと一緒に15神の1人で最強だと言われているガデルズの復活を聞いていた。ガデルズが2人の前に姿を見せた時アルスはニッと笑ってガデルズを迎え入れ、ハルトは微笑みを浮かべてその存在を受け入れる。
ガデルズがアルスとハルトにルーディスの事、エテルナとアデリスの事などを感謝を告げると2人はガデルズの代わりになれた事を喜ぶ。そして、ハルトがガデルズに問い掛ける。
「ガデルズ様、王神ドリアルズの行動……前々から考えていた計画だと思いますでしょうか?」
「考えていたのは考えていたのだろう。だが、それよりも何故聖戦を起こしてまでその計画を実行に移したのかが気にはなりますね」
「1つに、聖戦後なら神々の力が削られているから、ってのもデカいんじゃないか?」
「だとしても、アルドゥラ神の事を影で操っていたのも気にはなるよ。目的が分からない訳じゃないけれど、アルドゥラ神だって見抜いていたとは思うんだ」
アルドゥラの事を考えてしまえば2人も正直まだ心苦しいのではあるが、ガデルズは父親としての意見ではなく1人の神としての意見を話す。ハルトは驚き、アルスはキョトンとしてしまったが。
「アルドゥラの事ですが、彼は本当に王神ドリアルズの手に乗っていたのかは不明です。話を聞く限り自死していると聞きますが、そんな状態にならないとは察していなかったのであれば……愚かです」
「そこまで言われます……?」
「まぁ、でも……同じ神として見るならそんな意見も出てもおかしくはないんだろうぜ」
「父親として言うのであれば……そんな浅はかな息子に育ててしまった私の責任です、としてか言いようがないですね」
ガデルズは小さく溜め息を吐き出しながらも、決して自分の息子だけが悪いとは言わなかった。育てた親である自分にも非があるというのがガデルズという1人の神の性格だと2人はなんとなくて察している。
3人はローガド国内を歩きながら色々と話しをしているとガデルズから2人にある提案がなされた。それは調律者として役目を負っている2人にしか頼めない事であるのをガデルズは充分に理解はしている。
「お2人は調律者としての役目を担ったと聞いています。そこでなんですが……改めて守護者になる事はお考えになりませんか?」
「守護者って……神々の守護者ですか?」
「神々の守護者だと調律者と役目が被らないか?」
「神々、ではなく調律者の守護者という立場になると言っていいかと思います」
「「調律者の守護者??」」
「調律者の守護者とは、調律者の役目を持った”始祖の力”を宿した守護者の事です」
ガデルズはそう説明しながら自身の右手に力を集める様に握り締める。その握り締めた鼓舞しに淡い光が集まって次第に形を形成していく。
その形成した力は右手に鋭い爪状の武器になってガデルズの右手を彩る。それを見たアルスとハルトは正直言えば男心を擽られており、瞳を輝かせていた。
「この様に”始祖の力”を具現化させれば武器にする事も出来るし、防具として具現化させれば防御にも効果を発揮する事が可能です」
「その”始祖の力”って神々の力とは違うのか? 見た限り同じ様に見えちまうんだけれどさ」
「僕も同じです。まるで神々の力とは大差がない様に思えてしまいます」
「この”始祖の力”とはマザー様の力を宿す事が最低条件にしています。勿論マザー様のご意思がないと出来ませんが、きっとマザー様のご意見も同じだと思います」
「マザーの力か。なら神々とは別の力だよな。俺はマザーがいいって言うなら受け入れてもいいと思う」
「僕はしっかり考えてマザー様と話をして決めたいかな。僕には右目の神聖な瞳もあるから扱えるかも分からないし」
アルスの前向きな意見と、ハルトの慎重的な意見を聞いてガデルズが今度はキョトンとしてしまった。だが、少しして微笑みを浮かべて2人に頷く。
そして、ローガド国内を歩いていた3人の元にリシャが到着して一緒にティドールも来ていた事にハルトは驚いた。アルスがガデルズにハルトがリシャ達の養子になった事を伝えているとリシャから衝撃的な言葉が出て、ハルトは固まる。
「ハルト、落ち着いて聞くんだよ」
「え、あ、はい」
「ガルーダが……暴乱に巻き込まれたそうだ」
「……えっ……それって……アルスにも知らせないとっ!」
「俺がどうかしたか?」
「ガルーダが暴乱騒動に巻き込まれたと知らせが入ったんだよ」
ティドールから聞かされた事実にハルトはアルスを心配して見つめていたが、アルスは至って冷静に判断をする為にガデルズに視線を向ける。その視線の意味を悟ったガデルズが頷く。
ハルトは何が何だか分かっていなかったが、アルスが冷静でいる事に戸惑いを覚えていたが、その理由を聞いてスッと心が落ち着くのを感じていた。アルスはガデルズのいる前で暴乱の原因を話す。
「ラルシアルが聖戦終わりの頃にガルーダに不穏な空気が、って言っていたから親父達には警戒をしてもらっていた。んで、暴乱の原因は間違いなく王神ドリアルズの影響だと思うんだよ」
「可能性はないとは言えない。だが、そうだった場合は王神ドリアルズの狙いを考えないといけないと私は思う」
「ガデルズ様、王神ドリアルズの狙いがガルーダにあるとしたら何かあるのでしょうか?」
「王神ドリアルズの眼鏡に叶った人間がいる、っていうのが一番の可能性かと」
「それだとしたらガルーダにはアルス君のご家族がいるなら、そのご家族に被害が行かないとも言えない。リシャと私が先行してガルーダに向かうよ」
「あぁ、私とティドールだったら暴乱の収拾にも一役買えるとは思うから。ハルト、アルス君をしっかりサポートしておくんだよ?」
「はい、リシャお義母さん、ティドールお義父さんもお気を付けて」
リシャとティドールがローガドをすぐに発ってガルーダに移動を開始する。ガデルズは2人にマザーの元に行く様に促してきた。
ハルトもこの状況で慎重に力を受け取るかどうかを考える気は無くなった。”始祖の力”を受け入れて、守護者としてガルーダの暴乱を始めとする動きに対応する事に決めたのである。
そして、この事態についてはラルシアルとマザーの2人も把握していたので、ガデルズがアルスとハルトに”始祖の力”を与えるべきだと言う事もマザーは分かっていた。2人とガデルズがマザーの元に来た時にアデリスとルーディス、エテルナ、アデレア、ダラズ、レジャも部屋にやってきた。
〈王神ドリアルズが影で何かしらの動きを見せているとは分かっていたけれど、ガルーダを始めとしてアルガスト大陸全土の国々にも注意を向けなくてはならないね〉
「それもありますが、王神ドリアルズが目を付けている人間達の保護も私達がしなくてはならないと思います。それに関しては私達だけでは手が回りません」
「そこで、15神の力を借りようとマザー様と話をしていた所だ。15神も王神ドリアルズがこんな派手に動き出した事に警戒心を露わにしているだろうと思うからな」
「マザー、俺とハルトに”始祖の力”を与える事をどう思う? 素直な言葉を聞かせてくれ」
〈私としてはガデルズが推薦した理由に2人なら間違った使い方をしないだろうと思っているからだと思っている。ただ、”始祖の力”をその身体に宿すなら……不老の力を受け入れる事になるけれどいいの?〉
「不老だけで済むなら僕は、僕達は構いません。王神ドリアルズがこれ以上このアルガスト大陸をボロボロにするのであれば、阻止出来る為なら不老ぐらい受け入れます」
アルスとハルトが真剣な眼差しでマザーを見つめてくると、マザーもその視線に本気を伺えて小さく頷く。マザーの瞳には見えている未来がこのアルスとハルトが不老になっても後悔しない未来が見えていたから与える事を決める。
マザーの集中を感じたラルシアルはルーディスとアデリスに視線を向けて、ガデルズの力になる様に頼む。それはルーディスとアデリスも心から受け入れる事に異論はなかった。
「私とルーディスでガデルズをサポートするのは家族としてこちらからお願いしたい限りです」
『私もです。父上の力になれるのであればなんでも致します』
「アデリスは私のサポートを。ルーディス、エテルナと共に魔界の神々の動向を探ってくれますか? 魔界の神々にも王神ドリアルズが何かしらの手を出している可能性もありますから」
「分かりました。ルーディス様と共に魔界に赴いて調べてみます」
〈アルス、ハルト、右手を私の方に差し出して?〉
「こうか?」
「はい」
マザーの前に右手を出すアルスとハルトにマザーは自分の右手に集めた力を乗せていく。淡い黄金色の球体を乗せられた2人はその球体を見つめる。
球体がコロンと手の上で転がって落ちそうになったのを、2人はそっと包む様に握り込むと球体は手の平を通って体内に浸透していく。その球体が体内で広がりを見せる様に無くなるとアルスとハルトは体内から感じる力の存在を確認する。
「これが……」
「この温かい感じが”始祖の力”……」
〈その力が馴染めば不老も始まるし、力の使い方はガデルズを見れば分かると思うよ〉
マザーは一息吐き出すとガデルズに視線を向けるとガデルズも小さく頷く。アデリスが何故嫉妬しないのだろうか? と娘達は思うのだが。
だが、アデリスは嫉妬しないのではなくその心配がないのだと知っているからだ。マザーとガデルズは決して愛を語る関係ではない、いや、なる事が不可能である事をマザー自身から聞いている。
〈アデリス、ガデルズといい報告を待っているよ〉
「はい、お任せ下さい。必ずマザー様のお耳にいいご報告をお持ち出来るよう全力を尽くします」
「それではマザー様、私とアデリスは行きます。ルーディスとエテルナもおいで」
『はい。失礼します』
「失礼します」
〈皆、気を付けてね。ダラズ、レジャ、アデレア、アナタ達には私の力になってもらいたいの。頼める?〉
「分かりました! ダラズ兄様、アデレア、頑張ろうね!」
「俺達も王神ドリアルズがアルドゥラ兄様の事を利用していた事を許す気はないですからね。お力にならせて下さい」
『私も。私達の家族を引き裂こうとしている神様なんかに負けたくないです!』
「俺とハルトはガルーダに飛ぶか。親父達の事も気になるし」
「そうだね。ラルシアル様、マザー様、行ってきます」
「気を付けていくんだぞ。私とマザー様も準備が整い次第ガルーダに向かうのでな」
ラルシアルの言葉をキッカケにそれぞれが動き始める。マザーはアルスとハルトを見送りながら無事を願う事に心を砕いていた――――。
ガデルズがアルスとハルトにルーディスの事、エテルナとアデリスの事などを感謝を告げると2人はガデルズの代わりになれた事を喜ぶ。そして、ハルトがガデルズに問い掛ける。
「ガデルズ様、王神ドリアルズの行動……前々から考えていた計画だと思いますでしょうか?」
「考えていたのは考えていたのだろう。だが、それよりも何故聖戦を起こしてまでその計画を実行に移したのかが気にはなりますね」
「1つに、聖戦後なら神々の力が削られているから、ってのもデカいんじゃないか?」
「だとしても、アルドゥラ神の事を影で操っていたのも気にはなるよ。目的が分からない訳じゃないけれど、アルドゥラ神だって見抜いていたとは思うんだ」
アルドゥラの事を考えてしまえば2人も正直まだ心苦しいのではあるが、ガデルズは父親としての意見ではなく1人の神としての意見を話す。ハルトは驚き、アルスはキョトンとしてしまったが。
「アルドゥラの事ですが、彼は本当に王神ドリアルズの手に乗っていたのかは不明です。話を聞く限り自死していると聞きますが、そんな状態にならないとは察していなかったのであれば……愚かです」
「そこまで言われます……?」
「まぁ、でも……同じ神として見るならそんな意見も出てもおかしくはないんだろうぜ」
「父親として言うのであれば……そんな浅はかな息子に育ててしまった私の責任です、としてか言いようがないですね」
ガデルズは小さく溜め息を吐き出しながらも、決して自分の息子だけが悪いとは言わなかった。育てた親である自分にも非があるというのがガデルズという1人の神の性格だと2人はなんとなくて察している。
3人はローガド国内を歩きながら色々と話しをしているとガデルズから2人にある提案がなされた。それは調律者として役目を負っている2人にしか頼めない事であるのをガデルズは充分に理解はしている。
「お2人は調律者としての役目を担ったと聞いています。そこでなんですが……改めて守護者になる事はお考えになりませんか?」
「守護者って……神々の守護者ですか?」
「神々の守護者だと調律者と役目が被らないか?」
「神々、ではなく調律者の守護者という立場になると言っていいかと思います」
「「調律者の守護者??」」
「調律者の守護者とは、調律者の役目を持った”始祖の力”を宿した守護者の事です」
ガデルズはそう説明しながら自身の右手に力を集める様に握り締める。その握り締めた鼓舞しに淡い光が集まって次第に形を形成していく。
その形成した力は右手に鋭い爪状の武器になってガデルズの右手を彩る。それを見たアルスとハルトは正直言えば男心を擽られており、瞳を輝かせていた。
「この様に”始祖の力”を具現化させれば武器にする事も出来るし、防具として具現化させれば防御にも効果を発揮する事が可能です」
「その”始祖の力”って神々の力とは違うのか? 見た限り同じ様に見えちまうんだけれどさ」
「僕も同じです。まるで神々の力とは大差がない様に思えてしまいます」
「この”始祖の力”とはマザー様の力を宿す事が最低条件にしています。勿論マザー様のご意思がないと出来ませんが、きっとマザー様のご意見も同じだと思います」
「マザーの力か。なら神々とは別の力だよな。俺はマザーがいいって言うなら受け入れてもいいと思う」
「僕はしっかり考えてマザー様と話をして決めたいかな。僕には右目の神聖な瞳もあるから扱えるかも分からないし」
アルスの前向きな意見と、ハルトの慎重的な意見を聞いてガデルズが今度はキョトンとしてしまった。だが、少しして微笑みを浮かべて2人に頷く。
そして、ローガド国内を歩いていた3人の元にリシャが到着して一緒にティドールも来ていた事にハルトは驚いた。アルスがガデルズにハルトがリシャ達の養子になった事を伝えているとリシャから衝撃的な言葉が出て、ハルトは固まる。
「ハルト、落ち着いて聞くんだよ」
「え、あ、はい」
「ガルーダが……暴乱に巻き込まれたそうだ」
「……えっ……それって……アルスにも知らせないとっ!」
「俺がどうかしたか?」
「ガルーダが暴乱騒動に巻き込まれたと知らせが入ったんだよ」
ティドールから聞かされた事実にハルトはアルスを心配して見つめていたが、アルスは至って冷静に判断をする為にガデルズに視線を向ける。その視線の意味を悟ったガデルズが頷く。
ハルトは何が何だか分かっていなかったが、アルスが冷静でいる事に戸惑いを覚えていたが、その理由を聞いてスッと心が落ち着くのを感じていた。アルスはガデルズのいる前で暴乱の原因を話す。
「ラルシアルが聖戦終わりの頃にガルーダに不穏な空気が、って言っていたから親父達には警戒をしてもらっていた。んで、暴乱の原因は間違いなく王神ドリアルズの影響だと思うんだよ」
「可能性はないとは言えない。だが、そうだった場合は王神ドリアルズの狙いを考えないといけないと私は思う」
「ガデルズ様、王神ドリアルズの狙いがガルーダにあるとしたら何かあるのでしょうか?」
「王神ドリアルズの眼鏡に叶った人間がいる、っていうのが一番の可能性かと」
「それだとしたらガルーダにはアルス君のご家族がいるなら、そのご家族に被害が行かないとも言えない。リシャと私が先行してガルーダに向かうよ」
「あぁ、私とティドールだったら暴乱の収拾にも一役買えるとは思うから。ハルト、アルス君をしっかりサポートしておくんだよ?」
「はい、リシャお義母さん、ティドールお義父さんもお気を付けて」
リシャとティドールがローガドをすぐに発ってガルーダに移動を開始する。ガデルズは2人にマザーの元に行く様に促してきた。
ハルトもこの状況で慎重に力を受け取るかどうかを考える気は無くなった。”始祖の力”を受け入れて、守護者としてガルーダの暴乱を始めとする動きに対応する事に決めたのである。
そして、この事態についてはラルシアルとマザーの2人も把握していたので、ガデルズがアルスとハルトに”始祖の力”を与えるべきだと言う事もマザーは分かっていた。2人とガデルズがマザーの元に来た時にアデリスとルーディス、エテルナ、アデレア、ダラズ、レジャも部屋にやってきた。
〈王神ドリアルズが影で何かしらの動きを見せているとは分かっていたけれど、ガルーダを始めとしてアルガスト大陸全土の国々にも注意を向けなくてはならないね〉
「それもありますが、王神ドリアルズが目を付けている人間達の保護も私達がしなくてはならないと思います。それに関しては私達だけでは手が回りません」
「そこで、15神の力を借りようとマザー様と話をしていた所だ。15神も王神ドリアルズがこんな派手に動き出した事に警戒心を露わにしているだろうと思うからな」
「マザー、俺とハルトに”始祖の力”を与える事をどう思う? 素直な言葉を聞かせてくれ」
〈私としてはガデルズが推薦した理由に2人なら間違った使い方をしないだろうと思っているからだと思っている。ただ、”始祖の力”をその身体に宿すなら……不老の力を受け入れる事になるけれどいいの?〉
「不老だけで済むなら僕は、僕達は構いません。王神ドリアルズがこれ以上このアルガスト大陸をボロボロにするのであれば、阻止出来る為なら不老ぐらい受け入れます」
アルスとハルトが真剣な眼差しでマザーを見つめてくると、マザーもその視線に本気を伺えて小さく頷く。マザーの瞳には見えている未来がこのアルスとハルトが不老になっても後悔しない未来が見えていたから与える事を決める。
マザーの集中を感じたラルシアルはルーディスとアデリスに視線を向けて、ガデルズの力になる様に頼む。それはルーディスとアデリスも心から受け入れる事に異論はなかった。
「私とルーディスでガデルズをサポートするのは家族としてこちらからお願いしたい限りです」
『私もです。父上の力になれるのであればなんでも致します』
「アデリスは私のサポートを。ルーディス、エテルナと共に魔界の神々の動向を探ってくれますか? 魔界の神々にも王神ドリアルズが何かしらの手を出している可能性もありますから」
「分かりました。ルーディス様と共に魔界に赴いて調べてみます」
〈アルス、ハルト、右手を私の方に差し出して?〉
「こうか?」
「はい」
マザーの前に右手を出すアルスとハルトにマザーは自分の右手に集めた力を乗せていく。淡い黄金色の球体を乗せられた2人はその球体を見つめる。
球体がコロンと手の上で転がって落ちそうになったのを、2人はそっと包む様に握り込むと球体は手の平を通って体内に浸透していく。その球体が体内で広がりを見せる様に無くなるとアルスとハルトは体内から感じる力の存在を確認する。
「これが……」
「この温かい感じが”始祖の力”……」
〈その力が馴染めば不老も始まるし、力の使い方はガデルズを見れば分かると思うよ〉
マザーは一息吐き出すとガデルズに視線を向けるとガデルズも小さく頷く。アデリスが何故嫉妬しないのだろうか? と娘達は思うのだが。
だが、アデリスは嫉妬しないのではなくその心配がないのだと知っているからだ。マザーとガデルズは決して愛を語る関係ではない、いや、なる事が不可能である事をマザー自身から聞いている。
〈アデリス、ガデルズといい報告を待っているよ〉
「はい、お任せ下さい。必ずマザー様のお耳にいいご報告をお持ち出来るよう全力を尽くします」
「それではマザー様、私とアデリスは行きます。ルーディスとエテルナもおいで」
『はい。失礼します』
「失礼します」
〈皆、気を付けてね。ダラズ、レジャ、アデレア、アナタ達には私の力になってもらいたいの。頼める?〉
「分かりました! ダラズ兄様、アデレア、頑張ろうね!」
「俺達も王神ドリアルズがアルドゥラ兄様の事を利用していた事を許す気はないですからね。お力にならせて下さい」
『私も。私達の家族を引き裂こうとしている神様なんかに負けたくないです!』
「俺とハルトはガルーダに飛ぶか。親父達の事も気になるし」
「そうだね。ラルシアル様、マザー様、行ってきます」
「気を付けていくんだぞ。私とマザー様も準備が整い次第ガルーダに向かうのでな」
ラルシアルの言葉をキッカケにそれぞれが動き始める。マザーはアルスとハルトを見送りながら無事を願う事に心を砕いていた――――。
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