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少しずつ
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「マスタ~♪」
「……菫(すみれ)?」
「どうしたの? そんなに驚いて」
「いや、なんか肌の質感変わった?」
「ん~? 変わった~?」
僕は着せてもらっているお洋服をフワフワとさせながら、マスターの膝上に乗っかる。
いつもの様に髪を撫でてくれる筈のマスターの手が止まって、僕の頬に触れる。
サワサワ、それが今日はいつもよりくすぐったい。
マスターは首を傾げながら僕の髪の毛を撫でながら、僕の顔を見つめている。
そんなに見られたら恥ずかしいから顔が赤くなる。
「あ!」
「な、何?」
「菫、この触られている感覚、昨日までと同じ?」
「そう言えば、なんだか今日はくすぐったいかなぁ?」
「もしかしてだけれど、少しだけ”人間”に近付いた、とか?」
「えぇ!?」
マスターの言葉に僕は丸い瞳を限界まで見開く。
確かに僕は神様に人間になるチャンスをもらっている。
でもこんなに早くそれが叶う時が来るの?
肌以外で変わった所、あるかな?
僕が身体をペタペタ触っているのを見たマスターが、少し苦笑しながら告げる。
「そんなに早く人間にはなれないよ」
「そうなの?」
「菫にはまだまだ知らなきゃいけない事が沢山ある。いきなり完全な人間になっても欠落したものが多くて、それは人間とは呼べないよ」
「そうなんだ……マスターは僕が人間になったら嬉しい?」
「勿論嬉しいよ? 大好きで大事な菫が人間になったらずっと行きたい場所がある。そこに連れて行きたいからね」
「何処~?」
「今は内緒」
フフッとマスターが笑って僕の頬を撫でてくる、それが心地いい。
僕が人間になるのにはまだまだ先は長いかも知れないけれど、それでもいいや。
大事なマスターの愛情を一心に受けて、成長していけたらいい。
マスターの事を大好きな僕が人間になるまであとどれくらい?
そんな疑問を持ってると分かっているマスターが、僕に新しいお洋服を用意してくれた。
グリーンのタキシード、それに着替える為にお洋服を受け取り着替えに行く。
「お着換え完了~! マスター見て見て!!」
「うん、菫の名に恥じないカッコよさだ。菫の名は華の名前でもあるからグリーンがよく映えるね」
「マスターありがとう♪」
「どう致しまして。さぁ、写真撮影会するよ~」
「はーい♪」
僕をモデルに写真を取る為に機材の用意をするマスターは嬉しそう。
そんなマスターの姿を見て僕は、クリーム色の髪の毛を揺らしながらマスターの足元に移動する。
マスターは僕を抱き上げて、そっと用意した椅子に座らせてくれた。
「撮るよ~」
「はーい!」
カシャカシャとカメラの音が響く、それがマスターのテンションを上げてくれる。
僕はマスターのリクエストに答えて色々なポーズを取る。
そして最後の1枚はマスターが僕を抱き抱えて、2人で笑顔で撮る写真。
その写真を見る頃には僕も人間になっているかな?
「……菫(すみれ)?」
「どうしたの? そんなに驚いて」
「いや、なんか肌の質感変わった?」
「ん~? 変わった~?」
僕は着せてもらっているお洋服をフワフワとさせながら、マスターの膝上に乗っかる。
いつもの様に髪を撫でてくれる筈のマスターの手が止まって、僕の頬に触れる。
サワサワ、それが今日はいつもよりくすぐったい。
マスターは首を傾げながら僕の髪の毛を撫でながら、僕の顔を見つめている。
そんなに見られたら恥ずかしいから顔が赤くなる。
「あ!」
「な、何?」
「菫、この触られている感覚、昨日までと同じ?」
「そう言えば、なんだか今日はくすぐったいかなぁ?」
「もしかしてだけれど、少しだけ”人間”に近付いた、とか?」
「えぇ!?」
マスターの言葉に僕は丸い瞳を限界まで見開く。
確かに僕は神様に人間になるチャンスをもらっている。
でもこんなに早くそれが叶う時が来るの?
肌以外で変わった所、あるかな?
僕が身体をペタペタ触っているのを見たマスターが、少し苦笑しながら告げる。
「そんなに早く人間にはなれないよ」
「そうなの?」
「菫にはまだまだ知らなきゃいけない事が沢山ある。いきなり完全な人間になっても欠落したものが多くて、それは人間とは呼べないよ」
「そうなんだ……マスターは僕が人間になったら嬉しい?」
「勿論嬉しいよ? 大好きで大事な菫が人間になったらずっと行きたい場所がある。そこに連れて行きたいからね」
「何処~?」
「今は内緒」
フフッとマスターが笑って僕の頬を撫でてくる、それが心地いい。
僕が人間になるのにはまだまだ先は長いかも知れないけれど、それでもいいや。
大事なマスターの愛情を一心に受けて、成長していけたらいい。
マスターの事を大好きな僕が人間になるまであとどれくらい?
そんな疑問を持ってると分かっているマスターが、僕に新しいお洋服を用意してくれた。
グリーンのタキシード、それに着替える為にお洋服を受け取り着替えに行く。
「お着換え完了~! マスター見て見て!!」
「うん、菫の名に恥じないカッコよさだ。菫の名は華の名前でもあるからグリーンがよく映えるね」
「マスターありがとう♪」
「どう致しまして。さぁ、写真撮影会するよ~」
「はーい♪」
僕をモデルに写真を取る為に機材の用意をするマスターは嬉しそう。
そんなマスターの姿を見て僕は、クリーム色の髪の毛を揺らしながらマスターの足元に移動する。
マスターは僕を抱き上げて、そっと用意した椅子に座らせてくれた。
「撮るよ~」
「はーい!」
カシャカシャとカメラの音が響く、それがマスターのテンションを上げてくれる。
僕はマスターのリクエストに答えて色々なポーズを取る。
そして最後の1枚はマスターが僕を抱き抱えて、2人で笑顔で撮る写真。
その写真を見る頃には僕も人間になっているかな?
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