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第二章
29. おっさん、異世界料理人
しおりを挟む「さてと・・晩ごはん作りますか~」
日も暮れた為キャンピングカーを街道から少し離れた所に停め、キッチンに立つ俺。「ごはん」というフレーズに反応して脚にしがみつくシラユキさん。よだれたれてますよ?
「今日はハンバーグを作ります!」
「はんばーぐ!?」
シラユキさんはキラキラした目でこちらを見上げている。
「お手伝いします。ご主人様」
「それじゃ、つけあわせのポテトサラダ作ってもらおうかな」
カグヤさんに指示を出す。何気に料理上手だったりする。
基本的に食事はおっさんが作っている。
キャンピングカーで移動を始めてから地球の料理を出すようになったのだが、カグヤさんとシラユキさんはそれがいたくお気に召したらしい。以前立ち寄った街で食事をしようとした所、明らかにがっかりした顔をされた。というかシラユキさんにいたっては、まるでこの世の終わりが来たような絶望感あふれる表情をしたあと地面にうずくまって動かなくなった。仕方なくだっこしてキャンピングカーに連れ帰って、食事にしたのはいい思い出だ。
という訳で、今日の晩御飯は「ハンバーグ」と「ポテトサラダ」を作ろう。
すでに材料はネットショップで購入済だ。
ポテトサラダはカグヤさんに任せよう。おっさんとシラユキさんはハンバーグを作ります。
ボウルに合挽き肉4kgを入れます。量がかなり多いですが、余った分は明日の朝パンに挟んで食べるのと何かあった時用にインベントリに入れておきます。インベントリまじ便利。
次に大量の刻んだタマネギを加えます。一般的には炒めたタマネギを使うみたいですが、おっさんは生のタマネギを使います。そうすると食べた時にシャクシャクとした食感がとてもいい感じなのです。あまり入れ過ぎると崩れやすくなりますが。
ちなみに獣人はタマネギとか大丈夫なのか以前カグヤさんに聞いたことがあるが、大丈夫との事。獣人といってもあくまで人の為、人が食べられる物なら問題無いようだ。おそらく進化の過程で適応したのだろうね。
そして卵、生パン粉、塩コショウを加え、こねていきます。ここでシラユキさんの出番です。調理用のビニール手袋をつけてあげます。
「それじゃシラユキさん、これをかきまぜてください」
「!?」
自分も料理に参加できると思っていなかったシラユキさん、おっかなびっくり挽き肉を混ぜていきます。「こう?こうでいいの!?」といった感じでこちらをチラチラ見るシラユキさん。おっさんが頷く、とニパァーと満面の笑顔で挽き肉をかき混ぜていきます。子供ってこういうの好きだよね。
尻尾フリフリ、何故か腰をクイックイッ揺らしながらかき混ぜるシラユキさん。可愛い。
「それじゃ焼くから、ちょっと離れてね」
火傷するといけないので、あらかじめシラユキさんに注意する。シラユキさんはおっさんの背後にまわり脚にしがみつき、顔だけ出して様子をうかがっている。
『ジュウゥゥー』
量が多いのでガンガン焼いていく。途中シラユキさんが我慢しきれなさそうだったので、一口味見させた。目を丸くして固まっていた。口に合わなかったかな?と思ったが、尻尾が今まで見たこともないスピードでブンブン振れていたのでたぶん大丈夫だろう。俺も一口味見して、カグヤさんにも一口あげた。
大量のハンバーグを焼き終わり、次はソースだ。
フライパンに残った肉汁にケチャップととんかつソースを合わせ、砂糖を少々加える。
他の家ではどうか知らないが、おっさんの家ではハンバーグソースといえばこれだった。この甘酸っぱいソースがまた肉とタマネギに合うのだ。
カグヤさんが作ってくれていたポテトサラダも出来たみたい。こちらは茹でたジャガイモを潰し、同じく茹でたミックスベジタブルを加え塩コショウとマヨネーズで味を整えたものだ。カグヤさんは一度教えた事は大抵出来てしまう。見た目だけでなく中身もスペックが高いんだなぁ・・時々残念だけど。
これだけだと寂しいのでコーンスープも用意する。ネットショップで粒入りコーンポタージュを購入し、鍋で温める。
あとはデザートか。再びネットショップで プリンを購入。ちょっとお高いやつを買ってみた。6個で3,000円。大丈夫!金ならある。わっはっは!
ちょうどご飯も炊けたみたいだ。
それじゃ食べますか。
「いただきまーす」
「いただきます」
「たーきまーしゅ」
最近、ふたりも真似して「いただきます」「ごちそうさまでした」を言うようになった。食べ物に感謝するのは良いことだと思う。
ハンバーグうまー。溢れる肉汁、シャクシャクしたタマネギに甘酸っぱいソースがよく合う。
シラユキさんは口のまわりの汚れを気にもせず、ハンバーグを口に詰め込んでいる。
「まだあるから、よく噛んで食べるんだよー」
無言でコクコクうなずくシラユキさん。
一方カグヤさんは、上品に食べている。テーブルマナーもしっかりしている。もしかしたらカグヤさんは、元は良い所のお嬢様だったのかも・・こちらから聞き出そうとは思わないが。いずれ自分から話してくれるだろう。でもお昼にナポリタンを食べた時は口のまわりベトベトだったな?あれは何だったのだろう。
締めはデザートのプリンだ。お高いだけあって、まろやかで濃厚だ。
カグヤさんがとても喜んでいる。女の子は甘いもの好きだもんね。
シラユキさんは何故か悟りを開いたような穏やかな表情をしている。どうした!?
食後、シラユキさんがウトウトし始めたので急ぎシャワーに入れる。
カグヤさんも一緒に入りたそうにこちらを見ているが、気づかないふりをする。シラユキさんは幼いからまだいいが、カグヤさんはさすがに目のやり場に困る。おっさんのおっさんが大変なことになってしまう。そもそもキャンピングカーのシャワーは狭いので、3人は厳しいのだ。
シラユキさんを洗う。念入りに洗うようになったので、最近、毛艶が良くなってきた。これでまた一歩、もふもふ帝国の野望へと近づいた。
シラユキさんもお返しとばかりに、おっさんの背中を洗ってくれる。娘がいたらこんな感じなのだろうか・・ほっこりした気分になる。
「あ!前は大丈夫です。自分で洗えますので・・」
シラユキさんはキョトンとしている。
あぶないあぶない・・危うく事案が発生するところでした。ア○ネス怖い。
シャワーからあがりシラユキさんにドライヤーをかける。フワッフワになる。
お次は歯磨きだ。まずは自分で磨かせる。その後、仕上げにおっさんが磨いてやる。仕上げはおかーあさーん。おっさんはお母さんではないが。
カグヤさんもシャワーからあがったみたいだ。
「・・シャワー浴びてきました」
カグヤさんはシャワーが済むと必ずおっさんに報告してきます・・熱っぽい目で。
やめてくださいそんなめでみないでくださいおっさんのりせいがもちません。
逃げるようにシラユキさんを抱っこしてベッドへ。
添い寝して毛布の上からポンポンする。シラユキさんは寝つきがよく、すぐに眠ってしまう。最近は夜泣きも無くなった。本当に良かった。いっぱい寝て、元気に大きく育ってください。
「・・失礼します」
カグヤさんがベッドに入ってくる。距離が近い。おっさんはシラユキさんの方を向いているが、背中にぴっとりくっついてくる。
「カグヤさん・・ちょっと近すぎません・・?」
「ご迷惑ですか・・?」
「い、いや・・迷惑ではありませんが・・」
「・・・よかった」
ぎゅうっと背中から抱きついてくるカグヤさん。これどうしたらいいのん!?おっさんのおっさんが大変なことになっているのですが・・!!
こっちの世界に来てから自家発電もままならないというのに。かといって無理やり引き剥がして傷つける訳にもいかない。どうしよう、このままではヤバい。気を紛らわせなければ・・。背中に抱きついているのはガンバ○ルーヤのよ○こ、背中に抱きついているのはガンバ○ルーヤのよ○こ・・何とか自分に暗示をかける。ちょっと落ち着いてきた。ありがとう、よしこ。
====================
購入品リスト
・[国産 牛豚合挽きミンチ 約4kg(500g×8パック) ] 5,000円
・[タマネギ 5kg] 2,000円
・[卵1パック] 300円
・[生パン粉 1kg] 1,000円
・[味付け塩コショウ 250g] 600円
・[調理用ビニール手袋 キッズ] 1,000円
・[キャノーラ油 1kg] 400円
・[トマトケチャップ 500g×2] 600円
・[とんかつソース 500ml×2] 600円
・[三温糖 1kg] 300円
・[男爵芋 新じゃが 5kg] 1,500円
・[冷凍ミックスベジタブル 1kg] 500円
・[マヨネーズ カロリーハーフ 300g×2] 500円
・[コーンクリームポタージュ粒入り 900g×2] 800円
・[濃厚なめらかプリン 6個入り] 3,000円
合計 1万8,100円
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