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第三章
潜入作戦
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「いや、さすがに3大ギルド相手とは違うからな。王族相手だとジェルモの情報網もどこまで拾えるかわからないんじゃないか?」
フランツが否定的な反応を見せるが、リヒャルトが大きく頷いた。
「いや、待て待て待て!それだ!ジェルモならイケるかもしれない!」
「どういうことですかな?」
ガルダの問いにリヒャルトは考えを整理しながら話した。
「つまりこういうことだ。会食中に使った毒はブラインファルク家の誰かが作ったものであれば毒の材料となるものを発注しているはずだ」
「ブラインファルク家とも限りませんよ。ベルンハルトかもしれない。しかし、いずれにせよどんな材料を誰が発注していたかがわからないといけませんね」パトスが顎に手を当てながら呟く。
「問題はそこだ。どんな毒か当たりをつければ探しやすい。せめて現場にいたアルトゥース殿下にファディーエ王子の症状がどうであったか聞ければよいのだが、今は牢獄だろうしな」
「そういうことなら僕が行きますよ」
「お兄ちゃん!?」
コレットがビックリして声を上げた。
「エミール、行くって言ったって王宮の中だぞ?どうやって忍び込むんだ?」
フランツが尋ねるとエミールは笑った。
「大丈夫。雨の降っている今なら霧状のオーラを展開しながら忍び込めるよ」
「そうは言ってもな・・・・・・うーん、それなら俺も行くか」
霧状のオーラを展開するといっても、完全に見えなくなるわけではない。オーラの感知能力が高い者ならば気付く可能性が高い。
いくらエミールとはいえ、先ほど刺客と戦ってきたばかりのフランツが少し心配になるのも自然の流れであった。
「一人で大丈夫だよ。それに僕はこの中では一番小柄だし、見つかりにくいだろうし」
「お兄ちゃん、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、コレット。こう見えて瞬時の判断には自信があるから」
「確かに。エミール殿は戦場でも常に敵の死角から狙い打てる場所を見つけています」
実際、パトスの言うように先のバートラム戦でも彼の活躍無しでは勝利は難しかっただろう。森の中で偵察を実行し、糧食の位置を見つけることが出来たのはエミールだからこそだ。
実績から言っても、忍び込むなら彼以上の適任者はいないのは明らかだった。
「パトスさん、ありがとうございます」
「いえいえ、事実を述べたまでですよ」
「エミール殿、アルスさまにもし会ったらそのまま脱獄させてしまったらいいのではないですかな?」
エミールはガルダの提案を聞いて頭を振った。
「ガルダ、それはたぶん無理だと思う」
「なぜですかな?」
「アルスさまがここで逃げてしまったら世間的には王子殺害の罪を認めたと世間から思われてしまうよ」
「そうです、アルスさまはそんな選択は絶対にしないでしょう。それこそ敵の思う壺になってしまいます」
マリアもエミールに同意した。ソフィアとリヒャルトも頷く。
「それなら事は急いだほうが良さそうだ。私が知っている限りになるが、王宮内の地図を描こう。牢獄は入り口までならわかるが、地下にあるとのことなのでそれ以上のことは私もわからない。なんとかなりそうか?」
「大丈夫です。お願いします」エミールは力強く答えた。
「よし、やろう」
リヒャルトはテーブルの上に紙を広げて王宮内の地図を描きながらエミールに細かい説明をした。
王宮の中庭は、下の中庭と上の中庭に分かれている。下の中庭には兵舎となってる城門館がある。当然だがここを避けて通らなければならない。リヒャルトの話によれば、城の東側と西側にそれぞれ冬の出口と夏の出口と呼ばれる出入り口があるとのことだった。
そして、今の季節は西の夏の出口が開いている。そこから侵入すると北側に調理場がある。西側は食材置き場になってるが、東側には使用人たちの部屋になっていて、そこを抜けて南側に行くと地下室への階段があるとのことだった。
そこが地下牢への入り口らしい。一通り説明をし終えたリヒャルトはエミールに向かって声を掛けた。
「大変だろうが頼んだぞ。明日以降だと二人とも別の牢獄に移送される可能性も捨てきれない」
「大丈夫ですよ。任せてください」
「お兄ちゃん、気を付けてね!」
コレットが心配そうに兄を見つめる。
「大丈夫だよコレット、必ず戻るから」
エミールは笑ってコレットに応えた。
「近くまで馬車でお送りいたしましょうか?」
アチャズがそう尋ねるとエミールは首を振った。
「大丈夫です。馬車のほうが目立ってしまうのでこのまま出ます」
仲間たちから心配や励ましの声をもらいながらエミールはヴァレンシュタット城に向けて雨の中を出発した。
フランツが否定的な反応を見せるが、リヒャルトが大きく頷いた。
「いや、待て待て待て!それだ!ジェルモならイケるかもしれない!」
「どういうことですかな?」
ガルダの問いにリヒャルトは考えを整理しながら話した。
「つまりこういうことだ。会食中に使った毒はブラインファルク家の誰かが作ったものであれば毒の材料となるものを発注しているはずだ」
「ブラインファルク家とも限りませんよ。ベルンハルトかもしれない。しかし、いずれにせよどんな材料を誰が発注していたかがわからないといけませんね」パトスが顎に手を当てながら呟く。
「問題はそこだ。どんな毒か当たりをつければ探しやすい。せめて現場にいたアルトゥース殿下にファディーエ王子の症状がどうであったか聞ければよいのだが、今は牢獄だろうしな」
「そういうことなら僕が行きますよ」
「お兄ちゃん!?」
コレットがビックリして声を上げた。
「エミール、行くって言ったって王宮の中だぞ?どうやって忍び込むんだ?」
フランツが尋ねるとエミールは笑った。
「大丈夫。雨の降っている今なら霧状のオーラを展開しながら忍び込めるよ」
「そうは言ってもな・・・・・・うーん、それなら俺も行くか」
霧状のオーラを展開するといっても、完全に見えなくなるわけではない。オーラの感知能力が高い者ならば気付く可能性が高い。
いくらエミールとはいえ、先ほど刺客と戦ってきたばかりのフランツが少し心配になるのも自然の流れであった。
「一人で大丈夫だよ。それに僕はこの中では一番小柄だし、見つかりにくいだろうし」
「お兄ちゃん、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、コレット。こう見えて瞬時の判断には自信があるから」
「確かに。エミール殿は戦場でも常に敵の死角から狙い打てる場所を見つけています」
実際、パトスの言うように先のバートラム戦でも彼の活躍無しでは勝利は難しかっただろう。森の中で偵察を実行し、糧食の位置を見つけることが出来たのはエミールだからこそだ。
実績から言っても、忍び込むなら彼以上の適任者はいないのは明らかだった。
「パトスさん、ありがとうございます」
「いえいえ、事実を述べたまでですよ」
「エミール殿、アルスさまにもし会ったらそのまま脱獄させてしまったらいいのではないですかな?」
エミールはガルダの提案を聞いて頭を振った。
「ガルダ、それはたぶん無理だと思う」
「なぜですかな?」
「アルスさまがここで逃げてしまったら世間的には王子殺害の罪を認めたと世間から思われてしまうよ」
「そうです、アルスさまはそんな選択は絶対にしないでしょう。それこそ敵の思う壺になってしまいます」
マリアもエミールに同意した。ソフィアとリヒャルトも頷く。
「それなら事は急いだほうが良さそうだ。私が知っている限りになるが、王宮内の地図を描こう。牢獄は入り口までならわかるが、地下にあるとのことなのでそれ以上のことは私もわからない。なんとかなりそうか?」
「大丈夫です。お願いします」エミールは力強く答えた。
「よし、やろう」
リヒャルトはテーブルの上に紙を広げて王宮内の地図を描きながらエミールに細かい説明をした。
王宮の中庭は、下の中庭と上の中庭に分かれている。下の中庭には兵舎となってる城門館がある。当然だがここを避けて通らなければならない。リヒャルトの話によれば、城の東側と西側にそれぞれ冬の出口と夏の出口と呼ばれる出入り口があるとのことだった。
そして、今の季節は西の夏の出口が開いている。そこから侵入すると北側に調理場がある。西側は食材置き場になってるが、東側には使用人たちの部屋になっていて、そこを抜けて南側に行くと地下室への階段があるとのことだった。
そこが地下牢への入り口らしい。一通り説明をし終えたリヒャルトはエミールに向かって声を掛けた。
「大変だろうが頼んだぞ。明日以降だと二人とも別の牢獄に移送される可能性も捨てきれない」
「大丈夫ですよ。任せてください」
「お兄ちゃん、気を付けてね!」
コレットが心配そうに兄を見つめる。
「大丈夫だよコレット、必ず戻るから」
エミールは笑ってコレットに応えた。
「近くまで馬車でお送りいたしましょうか?」
アチャズがそう尋ねるとエミールは首を振った。
「大丈夫です。馬車のほうが目立ってしまうのでこのまま出ます」
仲間たちから心配や励ましの声をもらいながらエミールはヴァレンシュタット城に向けて雨の中を出発した。
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