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第三章
ガルダ VS バーバラ
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「あん、たも、武人なら、わかるでしょ。女が戦、場に立つ、意味」
そこまで、話すと血を吐きながら、カミラの呼吸音は弱くなっていった。そこまで言われて、マリアはカミラの言いたいことがわかった。そして、同時にバカな質問をしたことも。女が戦場に立つということは、戦場で死ねなければ凌辱され、更なる地獄が待ってる。マリア自身も母親から散々反対されてきたのだ。
「わた、しには、戦う、しか・・・・・・」
そうとわかっていても、彼女には戦うという選択をするしかなかったのだろう。マリアも同じ選択をした。しかし、それでも・・・・・・と、マリアは思わずにいられなかった。
「ごめんなさい・・・・・・」
マリアはそれだけ言うと、こと切れたカミラの双眸を静かに閉じた。
その頃、パトスの隣ではガルダが第四席のバーバラ・メリオースと戦っていた。ガルダの戦斧がバーバラの剣と激しく打ち合う。ガルダは圧倒的なパワーでバーバラの剣を抑え込んでいく。
その分バーバラはスピードで攪乱した。ガルダの戦斧が振り下ろされた瞬間を狙って、正確にガルダの小手を狙って叩き込むことを繰り返す。ガルダもまた、バーバラの狙いを瞬時に見抜き戦斧の柄の部分を回転させて防ぐ。
「あんたバカでかい図体の割によく動くじゃないか」
「敵と話すことは何もありませんな」
「そうかい、じゃあ遠慮なくこちらもいかせてもらうとするよ」
そう言った直後、バーバラの周りのオーラがさらに濃い霧に変化した。ガルダの視界もバーバラのオーラに覆われていく。次の瞬間、ガルダの視界に映るバーバラの動きが妙に緩慢に見え始めた。バーバラが剣を振り下ろすように見えたのでガルダは思わず戦斧で受けようとした。
しかし、ガルダの想定を遥かに下回る緩慢な動きでバーバラが打ち込んでくる剣はガルダに近くなればなるほど遅くなっていった。おかしい!と思った瞬間、不意にオーラの揺らぎを感じると反射的に身体を仰け反らせた。しかし、一瞬遅く、ガルダの左腕と胸から血が噴き出す。
「ぐっ!」
「夢幻霧影掌《むげんむえいしょう》。私はね、この技で十傑の第四席に上り詰めたのさ」
どこから聞こえてくるのかガルダにわからなかったが、少なくともガルダの目に映るバーバラの姿とは別のところから聞こえてきたのは間違いなかった。幻影の類を仕掛けていると感じたガルダはバーバラの姿を追うのを止めた。目を閉じてひたすらバーバラのオーラに集中する。
「もう諦めたわけ?まぁラクでいいけどさ」
バーバラがガルダにとどめを刺すために近づく。刹那ガルダの戦斧がバーバラを捉えた。捉えられるはずのないバーバラに、ガルダの戦斧が斜めに振り下ろされる。反射的に身体を仰け反らして避けるが、油断から左肩を戦斧に抉られた。思わず声を出しそうになるところを抑える。
なぜ!?なぜ、コイツは私の位置がわかるの?焦りながらも、もういちど幻影を見せながら別の角度から攻撃を試みる。だが、今度も結果は同じ。
ガルダはひたすらバーバラのオーラが揺らぐ瞬間を待っていた。霧状に包まれるオーラの中では視覚での位置特定は出来ない。むしろ目に頼っていては有りもしない幻影を延々と見せられるだけだ。であれば、相手が動く時に生じるオーラの揺らぎを捉えればいい。
バーバラは展開していたオーラを解いてガルダと向き合う。再度、ふたりは激しい打ち合いになったが、徐々にバーバラが押されていく。両者とも傷を負っていたが、バーバラの受けた傷のほうが深くダメージは蓄積していった。加えて、戦闘技量もガルダのほうが上回っている。
ついにガルダの戦斧を受けきれず、バーバラの剣が弾き飛ばされた。と同時に、腹部に戦斧の柄で突かれる。ズドンッ!という鈍い音がして彼女は吹き飛ばされた。
「がっ、がはっ、そん、な」
「ここまでだ!」
よろけながら、バーバラは再度霧の中に姿を隠そうとしたがうまく出来なかった。意識が遠くなりかけたところで、彼女はベルンハルトに渡された小瓶を思い出した。
会戦が始まる前、十傑の四人だけがベルンハルトの邸宅に呼び出された。
呼び出されたのは、クルト、エルヴィン、ルドルフ、バーバラ。十傑の四天王と呼ばれるメンバーだ。四人が応接室で待っていると、やがてベルンハルトが入って来る。そして、赤いソファーにどっかりと座った。四人は応接室の場所の好きなところにそれぞれ座ったり立ったりしている。
「すまんな、ここでおまえらと話すのは今日が最後になる」
ベルンハルトの言葉に四人は驚いた。今までベルンハルトが謝ることなど無かったからだ。
「何かあったんですか?」
バーバラの問いにベルンハルトは、しばらく考えているだようだった。
「おまえらが気にする必要はない。俺はな、おまえらを中心とした最強の軍を作るつ
もりだ。そして、国の要(かなめ)に据える。この意味がわかるか?平民出だろうが、なんだろうが俺は気にしない。武を示せば応える。俺の気持ちは変わらん、当然、方針も変わらん」
「俺はそのために貴方にお仕えしてるんです。こんなところで、俺らが終わるわけがねぇ。もっと先へ進む!」
エルヴィンの反応にベルンハルトは笑って頷く。四人ともなんとなく気付いていた。今までとは状況が大きく変わったことに。
「そうだな。これからデカい戦が始まる。だが、今までのようにはいかんだろうな。おまえらにも覚悟してもらう」
そこまで、話すと血を吐きながら、カミラの呼吸音は弱くなっていった。そこまで言われて、マリアはカミラの言いたいことがわかった。そして、同時にバカな質問をしたことも。女が戦場に立つということは、戦場で死ねなければ凌辱され、更なる地獄が待ってる。マリア自身も母親から散々反対されてきたのだ。
「わた、しには、戦う、しか・・・・・・」
そうとわかっていても、彼女には戦うという選択をするしかなかったのだろう。マリアも同じ選択をした。しかし、それでも・・・・・・と、マリアは思わずにいられなかった。
「ごめんなさい・・・・・・」
マリアはそれだけ言うと、こと切れたカミラの双眸を静かに閉じた。
その頃、パトスの隣ではガルダが第四席のバーバラ・メリオースと戦っていた。ガルダの戦斧がバーバラの剣と激しく打ち合う。ガルダは圧倒的なパワーでバーバラの剣を抑え込んでいく。
その分バーバラはスピードで攪乱した。ガルダの戦斧が振り下ろされた瞬間を狙って、正確にガルダの小手を狙って叩き込むことを繰り返す。ガルダもまた、バーバラの狙いを瞬時に見抜き戦斧の柄の部分を回転させて防ぐ。
「あんたバカでかい図体の割によく動くじゃないか」
「敵と話すことは何もありませんな」
「そうかい、じゃあ遠慮なくこちらもいかせてもらうとするよ」
そう言った直後、バーバラの周りのオーラがさらに濃い霧に変化した。ガルダの視界もバーバラのオーラに覆われていく。次の瞬間、ガルダの視界に映るバーバラの動きが妙に緩慢に見え始めた。バーバラが剣を振り下ろすように見えたのでガルダは思わず戦斧で受けようとした。
しかし、ガルダの想定を遥かに下回る緩慢な動きでバーバラが打ち込んでくる剣はガルダに近くなればなるほど遅くなっていった。おかしい!と思った瞬間、不意にオーラの揺らぎを感じると反射的に身体を仰け反らせた。しかし、一瞬遅く、ガルダの左腕と胸から血が噴き出す。
「ぐっ!」
「夢幻霧影掌《むげんむえいしょう》。私はね、この技で十傑の第四席に上り詰めたのさ」
どこから聞こえてくるのかガルダにわからなかったが、少なくともガルダの目に映るバーバラの姿とは別のところから聞こえてきたのは間違いなかった。幻影の類を仕掛けていると感じたガルダはバーバラの姿を追うのを止めた。目を閉じてひたすらバーバラのオーラに集中する。
「もう諦めたわけ?まぁラクでいいけどさ」
バーバラがガルダにとどめを刺すために近づく。刹那ガルダの戦斧がバーバラを捉えた。捉えられるはずのないバーバラに、ガルダの戦斧が斜めに振り下ろされる。反射的に身体を仰け反らして避けるが、油断から左肩を戦斧に抉られた。思わず声を出しそうになるところを抑える。
なぜ!?なぜ、コイツは私の位置がわかるの?焦りながらも、もういちど幻影を見せながら別の角度から攻撃を試みる。だが、今度も結果は同じ。
ガルダはひたすらバーバラのオーラが揺らぐ瞬間を待っていた。霧状に包まれるオーラの中では視覚での位置特定は出来ない。むしろ目に頼っていては有りもしない幻影を延々と見せられるだけだ。であれば、相手が動く時に生じるオーラの揺らぎを捉えればいい。
バーバラは展開していたオーラを解いてガルダと向き合う。再度、ふたりは激しい打ち合いになったが、徐々にバーバラが押されていく。両者とも傷を負っていたが、バーバラの受けた傷のほうが深くダメージは蓄積していった。加えて、戦闘技量もガルダのほうが上回っている。
ついにガルダの戦斧を受けきれず、バーバラの剣が弾き飛ばされた。と同時に、腹部に戦斧の柄で突かれる。ズドンッ!という鈍い音がして彼女は吹き飛ばされた。
「がっ、がはっ、そん、な」
「ここまでだ!」
よろけながら、バーバラは再度霧の中に姿を隠そうとしたがうまく出来なかった。意識が遠くなりかけたところで、彼女はベルンハルトに渡された小瓶を思い出した。
会戦が始まる前、十傑の四人だけがベルンハルトの邸宅に呼び出された。
呼び出されたのは、クルト、エルヴィン、ルドルフ、バーバラ。十傑の四天王と呼ばれるメンバーだ。四人が応接室で待っていると、やがてベルンハルトが入って来る。そして、赤いソファーにどっかりと座った。四人は応接室の場所の好きなところにそれぞれ座ったり立ったりしている。
「すまんな、ここでおまえらと話すのは今日が最後になる」
ベルンハルトの言葉に四人は驚いた。今までベルンハルトが謝ることなど無かったからだ。
「何かあったんですか?」
バーバラの問いにベルンハルトは、しばらく考えているだようだった。
「おまえらが気にする必要はない。俺はな、おまえらを中心とした最強の軍を作るつ
もりだ。そして、国の要(かなめ)に据える。この意味がわかるか?平民出だろうが、なんだろうが俺は気にしない。武を示せば応える。俺の気持ちは変わらん、当然、方針も変わらん」
「俺はそのために貴方にお仕えしてるんです。こんなところで、俺らが終わるわけがねぇ。もっと先へ進む!」
エルヴィンの反応にベルンハルトは笑って頷く。四人ともなんとなく気付いていた。今までとは状況が大きく変わったことに。
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