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第一部 愉快なQちゃん

車窓にて

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 自動車(くるま)が動き出すと、Qちゃんは横を向き、車窓からいつも字を追う。
 街には字が溢れている。道路際には小売店が多い。小売店は目立つ必要があるので看板の字が大きく、車中からも無理なく読むことが出来る。
 何の為なのかはわからない。Qちゃんは頻繁に文字を読む。そして、声を出す。
「MITSUBISHI」「AOKI」 
 アルファベットを間違えずに読む。
「ミツビシ」「アオキ」

「SONNY」「BRIDGESTONE」
 英語読みも出来る。
「ソニー」「ブリジストン」

「・・・拉麺」
 難しい漢字も読める。
「ラーメン」

 Qちゃんは、読めるかどうか字と勝負しているのだ。

 間違いも指摘する。
「小いさな百貨店」

「い は入らない」
 厳しい指摘もする。

 入らぬ(?)心配もする。
「間違っているのに、だれも言ってあげないのかねえ」

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