Qちゃん 103歳 おでかけですよー

松澤 康廣

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第三部 不思議の国のQちゃん

涙がぽろり

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 神奈川県寒川市のさむかわ産業祭り。
 ここは人が多すぎる。食事場所には向かない。落ち着ける場所がいい。
 ならばと、私は、かねてから考えていた神奈川県水道記念館に移動。ここの水の広場は、ベンチも多く、食事場所は幾つもある。


 食事場所の一番に考えていた東屋には先客がいた。お母さん、おばあさん、女の子2人の家族だ。
 女の子は広場に設置された装置のようなものの傍にいて、何かをしている。装置から、霧状の水が出ている。

 私は車椅子を押して、そこに近づいた。
 すると、女の子は少し離れた装置へ移った。
 譲ってくれたようだ。

 「レバーを押すと、水が噴射され、虹が見えます」
 装置にはそう書かれていた。

 「Qちゃん、ここ押してみて。虹が見えるよ」と私。
 
 私が先ず見本を見せる。虹がはっきり見える。
 「きれいだねえ。凄い、凄い」とQちゃん。
 「では、交代ね」と私。

 Qちゃん、なかなか押せない。Qちゃんには硬くて、結構大変なのだ。

 レバーの上のQちゃんの手に私の手を重ねて押す。噴射成功。

 そこでQちゃんは考えた。
 体重をいっぱい手にかけて押した。
 すると、見事に水が出た。

 「Qちゃん、凄い、虹だよ」と」私。

 だが、急に水が止まった。
 虹を見るとき、顔が上がって体重がかけられないのかレバーが戻ったのだ。 当然、虹も消える。

 Qちゃんは、諦めず、また力いっぱいレバーを押す。
 水が出る。虹が出る。Qちゃんが見る。水が止まる。
 Qちゃんはまたも見ることができない。

 Qちゃんは必死だ。

 もう1回。また1回。


 ……私はしてはいけないことをしたのだ。
 Qちゃんの負けん気の凄さを私は思い知らされる。

 私は悲しい気持ちでQちゃんの手を押す。


 もう いいよ  Qちゃん  ごめんなさい。



 涙がぽろり。 
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