ちょうど5年前の私へ

正妻キドリ

文字の大きさ
1 / 1

ちょうど5年前の私へ

しおりを挟む
 タンスにしまった茶封筒の中に手紙が入っていた。



 「5年前の私へ。あなたは人を殺します。」



 どうやら私は将来、人を殺してしまうようだ。



 この茶封筒は不思議な力を持っていて、過去の自分に手紙を送ったり、未来の自分からの手紙を受け取ったりすることができる。これを使えば未来を変えることができる。



 なんとも便利なグッズに思えるが制約もある。今からちょうど5年前にしか手紙を送れない。5年も年月が経てば、送られてきた手紙を忘れてしまうこともある。



 まあ、人殺しをするなんて絶対忘れないだろうけど。



 手紙はこう続いていた。



 「相手は、Bという男性です。あなたはまだ出会っていません。彼は会社の同僚です。



 あなたは彼と付き合うことになります。彼とは婚約前まで行きますが、彼が浮気します。それが原因で口論となり、彼を包丁で刺します。



 彼と関係を持ったことは私の人生の汚点になりますが、それ以外はとても順調でした。ですから、なるべく未来を変えずに殺人だけを回避してください。



 どうか、このことを忘れないでください。お願いします。」



 なんとも勝手なものだ、未来の私は。これからの5年間、私はそのことが頭から離れないだろう。もし忘れたら社会的に終わる。忘れてほしくないのなら、定期的に手紙を送るべきだと思うのだが、たぶん未来の私はそんなことしないだろう。



 今の私がそんなことはしないから。



 「5年前の私へ。あなたは人を殺します。」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

真実の愛ならこれくらいできますわよね?

かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの でもそれは裏切られてしまったわ・・・ 夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。 ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

逆転した王女姉妹の復讐

碧井 汐桜香
ファンタジー
悪い噂の流れる第四王女と、 明るく美しく、使用人にまで優しい第五王女。

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【短編】追放した仲間が行方不明!?

mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。 ※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。

処理中です...