ギルド最弱と呼ばれているけれど、実は数年前、大厄災を起こした最強の能力者でした。最高のヒロインと一緒に隠していたチートの力を使って無双します

シア07

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第12話 思いと願い

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 炎がさらにメラメラと燃える。
 まるで太陽のように真っ赤だった。

「うざったらしい奴だよなお前。こんなことしてクソ雑魚が喜ぶとでも思ってんのか」

「わかってますよそれくらい。これがレンさんへのおせっかいだってことも」

「わかってんのにやるってことはお前は相当な馬鹿なんだな」

「…………ほんと馬鹿ですよ、私は」

「ふ……なに笑ってやがんだ。もういい死ね」

 そういって戦いの火ぶたは切られた。
 最初に炎の弾が剛速球で飛んできた。

 速すぎて反応できるはずもなく、私の髪の端に当たる。
 少しだけ焦げた。

「…………強い」

 他の二人とはものが違う。
 さっき攻撃を当てれたのは油断。
 本気のこの人はやっぱり強い。多分レンさんのような能力タレント持ちにしか倒せない。
 でも諦める気は毛頭ない。

「はぁ……やっぱりいきなり当てるのは難しいか。朝一番で腕がなまっているってこともあるしなあ……まあでも次は当たるかもしれないがな」

「…………」

 緊張感が漂う。 
 力を使ったことで周りは大騒ぎになる。
 近くにいた人は離れていった。

 そこで私は考える。

 まず私がするべきことはあの片手剣を拾う事。
 一つだけの片手剣ではほとんど戦えない。
 それもあの攻撃を避けながらだ。

 私はこの人を円で描くように走り出す。
 周りはいなくなったことで距離が取れやすくなった。

「走るだけで避けれると思うなよ。死ね!」

 炎の弾が飛んでくる。
 速さはやはり一級品。
 目に見えない。

 だけど、走ったことで被弾をまぬがれる。
 ちょうど落ちていた片手剣を拾う。
 これで、武器はそろった。

「っち偏差打ちミスったか。こざかしい奴だ」

「あなたこそ…………本当に強いですね」

「ふ、謝るなら今のうちだぞ。今ならまだ、殺さないでおいてやる」

「そういってますけど…………殺しはしないだけですよね」

「よくわかってんじゃねぇか。ぼこぼこにして泣いている所をさらにぶん殴ってやる」

「じゃあお断りです!」

「……その判断は愚策だな。せいぜい、死なないように気をつけろよ!」

 すると何発も何発も飛んでくる。
 私は走って回避しようとするものの数が多すぎる。
 当たるのも時間の問題だった。
 それに。

「精度が悪くても数で押し切れば問題ないだろ」 

「でも…………そんなことしたらあなたの仲間が…………」

 気絶しているとはいえ、近くに倒れているのだ。
 そんなに攻撃し続けたら最悪…………
 だけど、想像しているものとは全く異なる答えが返ってきた。

「仲間? 笑わせんなよ。そいつらは仲間なんかじゃない。ただの奴隷。まあ、荷物持ちぐらいには思ってるか」

「…………なんで、ですか」

「なにがだ?」

「どうして……そんな風に思うんです。彼たちだって頑張っていたじゃないですか。私を倒そうとして来たじゃないですか」

「でも結局倒せなかっただろ。そいつらは弱い。だから負ける。つまり、敗者なんだよ。そんなの俺の仲間じゃない。認めない」

「…………」

 その瞬間、この世とは思えないほどの憎悪と怒りが湧いてくる。
 どうして人のことを強いとか弱いとかでしかはかれないのだろう。

 こんな人に私は…………負けてしまうのか。
 嫌だ。そんなのは嫌だ。
 レンさんまでこの人の餌食にはさせておけない。
 
 もう逃げるのは止めだ。
 私が絶対に倒す。倒さなくちゃいけない。必ず。
 私はそう決心した。

「逃げずに向かってくるか……面白い!」

「もう、逃げるのはやめたんです。この勝負。勝たせてもらいます!」

「来いよ!」

 奴に向かって走る。
 強い願いと思いを乗せて私は走る。

「死ねえええええええええええ!」

 突如として奴の体まわりに炎が芽吹く。
 針のような尖った炎。
 それが物凄い勢いで飛んできた。

「やああああああああああああああああ!」
 
 剣を重ねて盾にする。
 それをかざして炎を防いだ。
 ぱりん、とかたまっていた炎が割れた。

「なに…………壊された…………俺の火炎ファイアーが……」

「終わりです!」

 奴は私の目前にいた。片手剣を奴に突き刺そうとする。
 勝った。
 私はそう思った。
 
 だけど、現実は残酷で。
 奴はニヤッと笑っていた。

「…………よくやったよ。お前は、褒めてつかわしてやる」

「う、……なんで……これ以上、刺せない」

 剣を動かそうとしても硬すぎて動かない。
 なぜだろうと思って腹を見てみる。
 そこに答えがあった。

「俺の能力タレントは炎ただ出すってだけじゃない。炎を色んな感じに変換できる。弾だったり、槍だったり。それに盾だったりにな」

 炎が防いでいた。
 どおりで硬いわけだ。

 気づいたときにはもう遅く、思いっきり足で蹴り上げられていた。
 体が吹っ飛び、地面に落ちる。

「うぅ……」

 痛すぎて声もあげれない。

「驚いだぜ。まさかその剣に火炎耐性がついているなんてな。よっぽど珍しい武器だぜ。どこで見つけて来たんだよ、そんな代物。欲しいくらいだ」

「か、火炎耐性…………」

「……まあ、いい。流石にその状況で防げはしないだろう。お前はよく頑張ったほうだ。誇ってもいいぜ。この俺を…………本気にさせたんだからな。そして……死ね」

 突然彼の目の前に真っ赤な弓と4本の矢が現れる。

「おいおい、あれってたしか……」

「ああ、あいつの奥義とか言われる奴だろ」

「ダンジョン攻略で毎回ボスを倒すときに使われるっていう……あの!?」

「あの子……大丈夫なのか!?」

 周りからヤバそうな声が聞こえてくる。
 しかし、そんなことお構いなしに奴は弓を構え、引いた。
 よけようと身体を揺らすが、痛みで動かない。

業火の弓矢フレイムアロー

 そして炎の矢が飛んでくる。
 4本の矢は両手両足にすべて刺さった。

 血が身体から抜けていくのを感じる。
 そして、食らった瞬間から私の意識は遠のいていった。

 私にはなにも出来なかった。
 レンさんを守れなかった。
 思いと願いは通らなかった。

「ごめん、なさい…………レンさん……」

 それを最後に私は完全に気絶した。
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