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第1章『始まりの村と魔法の薬』編
第15話 超人/Super girls
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「じゃあ特別に『シュルフ』の魔法を二人に見せてあげる」
「よっしゃっ!」
ソウヤからの懇願に、ミサは仕方なく彼に自身の魔法を披露することにした。
風の魔法シュルフ。
これは、4大属性の内の一つである『風』の属性を司る魔法だ。その中でもシュルフは低級の魔法なので、魔導書の通り手順を踏んでいけば誰でも扱えることができる。
ただ、ミサはあの日教えられて今日までしばらくシュルフの魔法を使ってこなかったので、うまくやれるかどうか、そこが気がかりだった。
「ではでは、早速お願いしますっ、ミサ先生」
「ちょっと待って、その前に何か棒みたいなのない?」
平静を失ったソウヤは居ても立ってもいられず常にそわそわしていたが、ミサは落ち着き払って周囲を軽く見回した。
「棒って、なんで棒が必要なの?」
エレリアもミサの魔法披露に協力すべく、彼女に詳しい説明を求めた。
「そういう杖みたいなのが無いと、うまく魔法を打てないんだよ。そうだね、できるだけ長くて、丈夫で、硬いのがいいかな」
「まさに、魔法の杖ってやつだな。すげぇ、ワクワクしてきた!」
ミサの加えた説明に、高揚した様子のソウヤが肩を弾ませた。
そして、エレリアは彼女の言ったことを念頭に置いて辺りを眺めた。
ここは、日影に埋もれた小さな裏庭。
そして、目ぼしいものは物干し竿とポニヨンの畑のみ。それ以外は、割れた瓶や壊れた家具などの不用品が庭の隅に雑多に捨てられた、なんとも寂しい場所だった。
手当たり次第に三人は魔法披露のために棒を探し始めた。
「おっ、こういうのはどうだ?」
そう言うと、ソウヤが生い茂る雑草に埋もれたホウキを見つけた。
彼が取り出したそのホウキは、棒状の黒く細い木に植物の枝が無数にくくりつけられただけの、なんとも粗末なものだった。
「これなら、ちょうどいいんじゃないか。なんか、魔法使いっぽいし」
「うーん。ちょっと形状がガタガタして大きすぎるから、魔力を溜めにくいかも。それに、汚いから触りたくない…」
そのホウキは長年の間雑草の中で風雨に晒されていたものらしく、泥と無数の小さな害虫が付着しており、とても見るに堪えなかった。
ミサのお望みのものではないと知ったソウヤは、再びそのホウキを雑草の中に投げ捨てた。
「どんなのがいいんだろ。てか、結構散らかってんなぁ、ここ。掃除した方がいいんじゃないか?」
ソウヤは裏庭をざっと見回し、そしてため息を漏らした。
ここにあるものはどれも劣化が激しく、魔法の杖を担うことができるような長い棒はなかなか見当たらない。
そして、エレリアは彼の意見に共感できた。とてもじゃないが、棒らしきものが見つかる気がしない。
もちろん、先ほどのホウキみたく、長い棒状の道具は数個見つかったが、ミサの要望に合うシロモノはなかなか現れなかった。
「もしかしたら、ここにはないのかも」
ふとそう思ったエレリアは、捜索現場を変えるため、しきりに裏庭を探し回っているミサとソウヤを尻目に、一人家の玄関に移動した。
「何かいいものないかな」
先程のガラクタだらけの裏庭と比べれば物数は少ないが、何か手頃な物は見つかるかもしれない。
エレリアは視線を動かし、ミサの語った条件を頭に入れ、周囲を探し回った。
「あっ!」
視線が玄関の扉の前を通過した瞬間、何かがエレリアの頭の中で張っていた警戒心の網に引っ掛かった。
そのエレリアが見つけ出した物は、玄関の扉のすぐ横に壁に立て掛けられていたものだった。
エレリアはすぐにそれを手に取り、そのままミサたちのいる裏庭に駆け出した。
「ねぇねぇ、ミサこれは?」
エレリアの軽やかな声が裏庭に響き、ミサとソウヤは同時にエレリアの手にしているものに目をやった。
「うん!これこれ!こういうのが欲しかったんだよ」
エレリアの手に握られており、そしてミサが絶賛する程の物とは、まさしく魔法の杖そのものだった。
黒い木製のその杖は、取っ手の所が白い布で巻かれており、先端にはだいぶ磨り減った跡があった。つまり、それはかなり年季の入った杖だった。
「どこから持って来たんだよ、んなもの」
「玄関のとこに置いてあったよ。でも、誰のなんだろう」
勝手に持ってきたのはいいものの、エレリアにはその持ち主の心当たりがなかった。さすがにミサとソウヤのものでは無いように見えるが、誰の物なのだろう。
「きっと、それはおばあちゃんが使ってた杖だね。捨てるのもなんかあれだから、ずっとそのままにしておいたんだよ。でも、完全に忘れてた」
互いに眉を寄せるエレリアとソウヤに、ミサがその杖について説明を施してくれた。
そして、説明を聞いてエレリアは納得した。
確かに、所有者がおばあちゃんと言われれば辻褄が合う。
「けど、ミサ。勝手に使っちゃっていいのかな?」
「いいよ、いいよ。ちょっと使うだけだから、別に問題ないよ」
エレリアの懸念に対して、ミサが代言して軽くあしらった。事実、持ち主もこの世にいないわけだなのだから、少し勝手に使ったぐらいで怒られはしない。
「じゃあ、準備もできたことだし。さっそく、見せてあげる」
エレリアが見つけた杖をいったん地面に置き、ミサはそこら辺に転がっていた木箱と古びた瓶を取り出した。
「おいおい、何するつもりなんだ。早くシュルフってやつ見せてくれるんじゃないのか?」
彼女の不可解な行動に、たまらずソウヤが言葉を投げ掛けた。
「シュルフは風の刃を打ち出す魔法なの。だったら、何か的があった方が面白いでしょ?」
そう言って、ミサは木箱の上にそっと古びた瓶を乗せた。
瓶はポーション用のものらしく、丸底で飲み口が細長い形状をしていた。
「ということで、今からこの瓶を的とします。当てれるかどうか自信ないから、外しても笑わないでね」
「大丈夫だ。ミサの神エイム、期待してるぜ」
そして、そのままミサは杖を再び拾い上げて、的と一直線になるよう定位置についた。エレリアとソウヤは彼女の後ろから見守る。
「よしっ、じゃあいくよ」
ミサは軽く自らを奮い立たせ、杖を両手で握り締めた。
そして腰を低く落とし、杖の先端を狙いに定める。
「おぉ、来た来た…!」
ソウヤは沸き上がる感動と興奮を押さえて、吐息を口からはこぼした。
ミサは深く目を閉じ、身体の底から沸き上がってくる魔力を杖の先端に送ることだけに意識を研ぎ澄ませた。
久々の感覚。
魔力自体はポーション作成の時に使用しているのだが、こうして杖に込めることは本当に久しぶりだった。だが、大まかな手順はやはり感覚として身体が覚えてくれていた。多少時間がかかっているものの、順調に魔力の供給は進んで行っている。
そしてこの時、現場は不思議な緊張感と雰囲気に包まれていた。
裏庭の空気はピリピリと痺れ、周囲の茂みが一斉に音を立てて揺れ始める。
エレリアはミサの背中を後ろから見つめていたのだが、そこからでも彼女から伝わってくる魔力のさざ波を肌で感じることができた。
「…」
ミサが魔力を杖に込めている間、エレリアとソウヤは口を固く閉ざして静かに見守っていた。
今ここは、彼女に容易く声をかけることなど決して許されないような場と化している。
少し指先が触れただけで一気に崩れ落ちてしまうような、危うくて一瞬も気が抜けない、そんな雰囲気に包まれている。
すると、ミサの黄金色の髪が舞うように揺れたかと思うと、杖の先端の小さな空間が歪み、淡い深緑の光が灯った。
それは、例えるならミサの手によって産み出された風の魔法シュルフの卵のような存在だった。
「おぉ…!」
ソウヤが吐息のような小声で興奮を口にした。
そして、彼が感嘆の息を漏らしている間にも、見る見るうちに光は大きくなっていき、激しさを増していく。
気づくと、杖の先にはすでに小さな嵐が出来上がっていた。サイズは小さいながらも、それはまるで荒れ狂う雷と吹き荒ぶ暴風が光の中に凝縮されてるいるようだった。
見たことのない光景に、エレリアとソウヤの二人は目を見開くことしかできない。
そしてミサは溢れ出る魔力に髪を舞い踊らせながら、必死に最後の細かな修正を行っていた。
その姿はまるで超人の域だった。世の魔法使いならこのような所業は朝メシ前なのかもしれないが、始めて見る彼女の姿と魔法というものに、エレリアとソウヤは始終圧倒され声が出なかった。
ミサは片目を閉じ、狙いを先の瓶に定める。
暴れ狂う魔力を押さえ込むのに精一杯で杖を持つ手が震えている。それでも、ミサは一瞬も気を抜くことなく、魔力固定の維持に努めた。
その時、瓶に向かって一筋の透明な航路が見えた。それは脳が視界に映し出した、魔法が通るべき見えざる道筋だ。
打つなら、今しかない。
そして声高らかに、その名を叫んだ。
「行くよっ、シュルフ!!」
そう言い放った瞬間ミサは目を見開き、勢いよく杖を瓶にめがけて突き出した。
そのままシュルフの結晶が杖から切り離される。
すると、放たれた衝撃波は一瞬にして鋭利な風の刃へと姿を変え、目標物へ飛んで行った。
「すげぇ!!」
ついに現実に魔法というものを目にし、ソウヤのテンションと感動は最高潮に達していた。
そしてその間も、ミサが生み出した風の刃は微妙に左右に揺れながら、気づくと瓶の鼻先まで距離を縮めていた。これなら、見事狙った通りに目標物に直撃するだろう。
ミサは、そんな栄えある未来を確信し、満足気に口の端を緩めた。
だが、その瞬間エレリアが一つの懸念を込めた小声をこぼした。
「あっ…」
すると、目標物に直撃するはずだった風の刃は瓶にかすり傷を負わせ、そのすぐ横を通過していった。瓶はシュルフが生んだ突風により木箱から吹き飛ばされ空中を数秒間さまよったが、その後庭の茂みに着地し、少しヒビが入るくらいのダメージを負った。
「えっ…!?」
微妙な判定で的から外れ、進路を変えた風の刃は減速することなく空気を裂いて進んでいく。
どこまで飛んで行くのか。
「あぁっ!!」
ミサがシュルフの進路の先を目にし、焦りと驚嘆の叫び声をあげた。
風の刃が向かう先、そこには数々の洗濯物がかけられ優雅にたたずんでいる物干し竿の姿があった。
風の暴威をまとった刃物が物干し竿をターゲットに変え、無情に距離を縮めていく。
「や、やばいかも…」
ミサはぎこちない笑みをこぼし、来るべき未来を想定した。それは、風の魔法シュルフが目標物を物干し竿として認定した場合の未来だ。
そして、ミサが抱いた懸念の通り、最悪の未来が現実に訪れてしまった。
風の刃は躊躇することなく物干し竿の片足を乾いた切断音と共に切り裂いた。そして、それと同時にまるで役目を終えたかの如く、午後の爽やかな風となりどこかへ吹き流れて行った。
しかしその間も、片足を切り裂かれた物干し竿がゆっくりとバランスを崩し、地面に倒れかかろうとしている。
「ちょっとぉ!?ストップ!!ストップ!!」
ミサは予想外すぎる展開を前に手にしていた杖を地面に投げ捨て、必死の思いで駆け出した。
洗濯物が土の大地に放り出されれば、またすべて洗わなければならない羽目になる。特に今日はいつもより服の量も多い。これからまた一から洗濯するなど、心の底からごめんだった。
「間に合えぇぇぇぇ!!」
ミサは無我夢中で地を蹴り、すんでのところで身体全体を使い、倒れかかる物干し竿を見事に受け止めた。
「ぅ、うぅ、間に合った…」
なんとか最悪の事態は回避し、ミサは安堵の息を漏らした。これでとりあえず、洗濯物は無事だ。
しかし、依然として物干し竿は地面に伏そうと己の重量をミサにのしかけてくる。
これ以上ミサが押し倒されることはないだろうが、何せ竿は片足を失っているため自力でバランスを保つことができない。
竿から体重を預けられたまま、ミサは途方に暮れてしまっていた。何て無様な格好なのだろうか。
だが、いつまで経っても誰も援助に駆けつけてくれない。
「ちょっと、二人とも…、見てないで手伝って…」
奥歯を噛みしめミサは横目で援助を求める視線を送った。
すると、奇しくも同時にソウヤが口を開いた。
「すげぇぜ、ミサ!!瓶に当てると見せかけて、本当は奥の物干し竿を狙ってたんだな!!おまえは天性の神スナイパーだ!!今日から魔法使いかアーチャーにジョブチェンジしたらどうだ?」
どうやら二人は無慈悲に助け船を出さないのではなくて、ただ単にミサのパフォーマンスに感心しているだけのようだった。
「い、いや…、そんなことはいいから…」
ミサはソウヤの感想を振り払い、声を絞り出すようにして助けを求めた。
だが、またしても今度はエレリアが声を被せてきた。
「ポーションだけじゃなくて魔法まで使いこなせるなんて、やっぱりミサってすごい。私もミサのこと見習わなきゃ」
「だから、そんなことはいいから…」
そろそろ、筋肉の限界だ。
たかが物干し竿だが、何せミサの体格より一回り大きいため、一人で支え続けることはできそうにない。
どうやら普段の運動不足のつけが回ってきたようだ。こんなことなら、少しぐらい筋力をつけておけばよかった。
ミサは後悔を胸に悲痛な叫びを天に向かって響かせた。
「いいから、誰か助けよぉぉぉ!!!!」
相変わらず空はどこまでも青く澄み渡り、そよ風が稲穂の匂いを裏庭まで運んでくる。
ミサはとっさに投げ捨てたおばあちゃんの杖を拾い上げ、ため息をついた。
「はぁ、とんでもない目にあった…」
まさか的を外し、さらに物干し竿の片足を魔法で切り飛ばすなんて、夢にも思ってみなかった。
全身が心なしかピリピリ痺れる。久々に魔力を使い果たしてしまったせいか、あるいは思わぬアクシデントに精神を磨耗させてしまったせいか、真実の程は自分でもよく分からない。
ただ二人は都合よく謎に感心してくれていたので、ミサは自らの過ちの真実を語ることなく黙っておくことにした。
ちなみに物干し竿はあの後どうなったかと言うと、三人で協力して近くの木に立て掛けておいた。これなら、片足を失ってもバランスを保ったまま自力で立ち続けさせることができる。
「ミサって、なんでもできるんだね。本当にすごいや」
「ま、まぁね…。えへへ……」
ミサにとっては納得いかない結果になったが、こうして彼女の魔法披露は終幕を迎えたのだった。
「よっしゃ、ミサからすげぇもん見せてもらったし、俺も負けてらんねぇな!」
そう言うと、ソウヤは再びあの剣を天高く掲げた。
日光を受けて、刃が白く輝く。
「えっと確か、せいけん…、何だっけ?」
「聖なる剣と書いて、聖剣エクスカリバーだ。一度でいいから、この名前をつけてみたかったんだよ」
エレリアの質問に、ソウヤが丁寧に返答を施してくれた。
どうやら名前にはこだわりがあるらしいが、やはりその真意は分からない。
ただ、彼の剣に対する愛は間接的ながらも理解することができた。自ら鍛冶屋へ積極的に赴き、鍛練を重ねる程の彼の剣に対する熱愛は、その剣の状態と彼の自信に溢れた表情から伝わってくる。
そして、ソウヤはそのまま話を続けた。
「この剣、一見すると普通の剣に見えるだろ?だがな、これにはある秘められた力が宿ってるんだ」
ソウヤの中断していた剣の解説が再開した。
「秘められた力…?」
「そうだ。ただその分、上手に扱うのは難しいけどな」
彼の説明を聞き、エレリアはもう一度その剣をまじまじと見つめた。
扱うのが難しい。
誰が見ても普通の剣に見えるのだが、一体どのような力が込められていると言うのだろうか。
すると、ソウヤはエレリアの表情を伺うようにそっと呟きを口にした。
「どうだ?不思議な力、お前も見たいか?」
「うん。見たいね」
ミサの魔法に引き続き、またしてもエレリアは彼の剣の魅力にとりつかれていた。
あるいは、もしかしたら彼の言い分でまんまと話に乗せられているのかもしれないが、この際そんなことは気にしていられない。
「よっしゃ、分かった!それなら俺もおまえたちにこの剣の素晴らしさを見せてあげようじゃないか」
「でもソウくん、私それ何回も見たことあるんですけど…」
ソウヤが自信満々に豪語した直後、ミサが退屈そうな物言いで彼に呟いた。
「いいじゃねえか、エレリアもまだ見たことないことなんだし。それに、あれから成長した俺の姿を見てやってくれよ」
ソウヤはなんとかミサに披露を見てもらうための口実を急いで作りだした。
そして意識を手元に戻し、ソウヤは剣を両手で握り地面と水平に構えた。
「どうやってやるの?」
「まぁまぁ、いいから見とけって」
エレリアの問いかけをなだめ、ソウヤは剣の柄を握り締める。
そして、庭の誰もいない空間を目で確認し、足を前に出した。
「いくぞ!!」
力強くそう言い出すと、ソウヤは思いっきり剣を振り切った。
すると、剣の刃から透明な空気の塊のようなものが飛び出した。それはすぐに庭の空気と同化してしまったが、明らかに何かが剣から生み出されたのだ。
「何?今の…!?」
エレリアは一瞬の出来事に目が対応できず、困惑の意を口にした。
「すごいだろ。なんとこの剣、刃から衝撃波を出すことができるんだぜ。まだ、俺の実力じゃこんなちっぽけなものだけど、いつかミサのシュルフみたいに、ズバン! とすごいのを出せるようになりてぇんだ」
彼が言っていた秘められた力とは、このことだったのか。
確かに、剣の外見からは想像もつかない大技だ。一体、どういう仕組みになっているのか。
「鍛冶屋のおやっさんが俺のためにエンチャントしてくれたんだ。どうだ?エレリアもやってみるか?」
「いいの?」
ソウヤの提案に、エレリアは目を輝かせる。
しかし、剣を受けとる直前、ミサが横から口をはさんできた。
「無理だと思うよ、リアちゃん。私も今まで何回か挑戦したけど、重すぎで持つことすらできなかったんだよ」
「え、そうなの?」
ミサの発言に、エレリアは耳を疑った。
重すぎで持つことすらできないと言ったが、それは本当なのだろうか。見た目から判断して、とても重そうなシロモノには見えないが。
「確かに、剣を自由自在に扱うにはそれ相応のスキルが必要になるんだ。俺はおやっさんから特別に教えてもらったから、こうして持つことができるんだけど、素人だとミサの言うとおり持つことすらできない」
ソウヤの説明を聞いて、エレリアは少し納得した。
つまり、剣を使いこなすには相応の訓練と免許のようなものが必要ということなのだろう。ミサはその免許を持っていないから扱うことができない。
どういうカラクリなのか詳しいことは分からないが、とにかくエレリアが剣を装備することができる可能性は減ってしまった。どう考えても、自分が剣を装備することなどできるはずない。奇跡的に記憶を失う前に剣のスキルを習得していれば話は別だが。
「ただ、いい機会だしエレリアも持つだけ持ってみたらどうだ?」
「う、うん」
すると、ソウヤは持っている剣の刃を下に向け、そのまま地面に思いっきり突き刺した。
彼が手を離すと、剣は大地に突き刺さったまま自立している。
「もし、見事これを引き抜くことができたら、おまえは剣を装備できる資格をすでに持っているということだ。さぁ、やってみな」
一方的にソウヤに促されるまま、エレリアは剣を扱うための器量を試されることとなった。
了承はしていないが、場の流れからエレリアはその試験を甘んじて受けることにした。
「ふぅ…」
エレリアは胸に溜まった緊張の感情を吐息に変え、恐る恐る剣に手を伸ばした。
それを、ミサとソウヤの二人が固唾を飲んで静かに見守る。
自分に剣を振る資格があるのか、ないのか。すべては、この手にかかっている。
だが、エレリアにはこの試練に対してまったく自信がなかった。
まだ記憶を無くしてから剣を振ったことはないが、自分にそんな器量が備わっているはずがない。そうやって、彼女はたかをくくっていた。
エレリアの白い手が剣の柄に触れる。
動物の皮が巻かれたその部分は、所有者が唯一触れることができる部分というところもあってか、以外としっかりした手触りをしていた。
そして、エレリアは握った手に力を入れる。
抜けることができるのか。あるいは、できないのか。
様々な思いが交錯する中、エレリアはいったん生唾を飲み込んだ。
そして、二人が静かに見守る中、自分の胸の内で意を決したエレリアはそのまま思いっきり剣を上へ引き抜いた。
「ふん…!!」
鋭い音と共に地面の土が跳ね上がる。
その瞬間、突如自身を取り巻いている時間の流れがゆっくりになったようにエレリアには感じられた。それは、目の前で起きた出来事に思考が追いついていないせいだからなのか。とにかく、視界に映るすべての光景がスローモーションの如く緩満になったのだ。
剣の刃がついに大地の外へ露出する。
感覚としては、特に苦になるようなものは何もなかった。ミサは重くて持ち上げられないと言っていたが、そのような重量感はエレリアには特に感じられない。
そして、気づくと二人の前には、剣を抜き終え立ち尽くしているエレリアの姿があった。
「えっ…?」
剣を胸の高さまで持ち上げているエレリアに、ミサとソウヤは言葉を失う。
逆にエレリアから二人を見ると、二人とも凍りついたようにその場で固まっていた。
そして、動揺で震える声を喉から絞り出すようにしてエレリアは呟いた。
「どうやら私、剣の才能あるみたい…」
エレリアも自分自身の隠されていた力に驚きを隠せなかった。何だか自分が自分でないような感じだ。
「う、嘘…、でしょ、リアちゃん。ちょ、ちょっと、その剣貸してみて」
そう言うと、ミサはエレリアの手にある剣に近づき、そのまま柄を掴んだ。
そして、ミサが剣を握ったのを確認し、エレリアは柄から手を離した。
すると、剣は急に何かが宿ったように突然重くなり地面に深々と突き刺さった。
「うっ…、お、重い…じゃん…」
ミサが身に残った渾身の力で剣を引き抜こうとするが、エレリアみたいに軽々と持ち上げることはできない。それどころか、少しも動かすことすらできない。
「なるほど、これで分かったぞ…」
ミサが剣を引き抜こうと努力する中、ソウヤが何やら一つの結論を得たようだった。
彼の発言を耳にし、エレリアは彼にその真意を尋ねた。
「分かったって、何が分かったの?」
「それは、ズバリ、エレリア。おまえはもともと戦士だったんだよ」
「戦士…?」
彼の放った発言に、エレリアは首をかしげる。
「そうだ、間違いない。おまえが記憶を失う前はきっと戦士の肩書きを持ってたんだよ。そうでなきゃ、こんなことはありえない」
ソウヤは自信に満ちた表情で、エレリアにその名推理を説明した。
そして、彼の言い分を基にエレリアは自分自身の過去を見つめ直してみた。
「戦士か…」
もちろん確証を得たわけではないが、もし彼の言っていることが本当だとしたら、過去を探るヒントはまだ身体の中に眠っているということになる。
エレリアは再び剣を手にした。
まだ帰れる手段がすべて潰えたわけではない。すべての真実はこの身体の中に宿っている。
思わぬ可能性を見つけることができ、エレリアは少し希望の欠片を感じることができた。
しかしそれと同時に、ふいにエレリアの心に迷いと不安の感情が沸き上がったてきた来た。
それは、単純でありながら深刻な問題だ。
自分はこれから先、どうやって生きていけばいいのか。
自分には帰るべき場所がある。愛する家族が待っている、はずだ。
なら自分は早く記憶を取り戻して故郷へ帰らなければならない。
しかし、そうだとしたら、今の生活はどうなるのだ。
彼らと過ごす今の生活はとても楽しい。
ただ記憶を取り戻した後、ミサは、ソウヤは、この村は、自分の中でどうなってしまうのか。
気づくと、エレリアという人物の中にもう一人のエレリアができているような気がした。
帰りたい自分と帰りたくない自分。
両者は紛れもなく、自分自身だ。だが、それぞれが意思を持ち、自我を持ったように、心の中で振る舞い始めていた。
矛盾した感情が、胸の中でぐるぐる渦巻く。
自分は…、エレリアは、一体どうやって今後生きていけばいいのか。
「…」
やめよう、こんなことを考えるのは。
自分は、自分だ。自分は一人しかいない。
それに、今はミサのポーション開発を手伝うのが最優先だ。無駄な考え事はその後にしよう。
エレリアは心の中で渦巻く葛藤を紛らわす意味も込めて、試しに剣を一振りしてみた。
すると、空気を切り裂いた刃から、突然強力な衝撃波が誕生した。
「えぇ!?」
思わずソウヤが驚きの声をあげる。
「エレリア、おまえ今何したんだ!?」
「何したって…、ただ剣を振っただけだよ」
何気なく振り下ろした剣から、これほど衝撃波が生まれるなんてエレリアは本当に思ってなかった。それは先ほどソウヤが生み出したものとは比べものにならないほど強力なものだ。
その証拠に、彼が出したものが空気の塊のようなものだったのに対し、彼女のものは鋭利な光の刃のような見た目をしていた。
一同がエレリアの大技に驚きを隠せない中、彼女が生み出した衝撃波は首ひもが切れた犬のように自らの意思で空中を進んでいった。それは、先ほどのミサのシュルフを連想させる。
三人は為す術もなくその光の刃の行方を目で追っていた。
そして、三人同時に間抜けな声を漏らした。
「あっ…」
なんと光の刃が先に、先ほど片足を負傷した物干し竿が運悪くそこに存在していたのだ。木に立て掛けられたまま、竿は何も知らない面構えでたたずんでいる。
そして息つく暇もなく、光の刃は竿のもう片方の足を見事に切り離した。それも、始めからそれが狙いだったかのように。
物干し竿はついにバランスを両足と共に失い、多数の洗濯物を抱えたまま地にノックダウンした。
「…」
一方、三人はその一連の流れを走って止めることすらできず、ただ遠方から黙って眺めることしかできなかった。
思わぬ偶然によって大地に投げ出された洗濯物を前に、三人ともどうしていいか分からず固まっている。
「まさに、物干し竿『解せぬ』、だなこりゃ…」
ソウヤが機転を利かして、目の前の状況を表す一言を呟いた。
そして、ここでエレリアは考えた。
家事全般は、すべてミサの仕事だ。時折エレリアも手伝ってあげるのだが、ほとんどがそうなっている。
「ご、ごめんね…。ミサ…」
エレリアは前髪で隠れたミサの表情を伺うように、口を開いた。
そして、状況を整理できたミサは本日二度目の悲痛な叫びを、西日が傾き始めている天に向かって盛大に響かせた。
「…もおぉぉぉ、いやあぁぁぁぁぁぁ!!!」
「よっしゃっ!」
ソウヤからの懇願に、ミサは仕方なく彼に自身の魔法を披露することにした。
風の魔法シュルフ。
これは、4大属性の内の一つである『風』の属性を司る魔法だ。その中でもシュルフは低級の魔法なので、魔導書の通り手順を踏んでいけば誰でも扱えることができる。
ただ、ミサはあの日教えられて今日までしばらくシュルフの魔法を使ってこなかったので、うまくやれるかどうか、そこが気がかりだった。
「ではでは、早速お願いしますっ、ミサ先生」
「ちょっと待って、その前に何か棒みたいなのない?」
平静を失ったソウヤは居ても立ってもいられず常にそわそわしていたが、ミサは落ち着き払って周囲を軽く見回した。
「棒って、なんで棒が必要なの?」
エレリアもミサの魔法披露に協力すべく、彼女に詳しい説明を求めた。
「そういう杖みたいなのが無いと、うまく魔法を打てないんだよ。そうだね、できるだけ長くて、丈夫で、硬いのがいいかな」
「まさに、魔法の杖ってやつだな。すげぇ、ワクワクしてきた!」
ミサの加えた説明に、高揚した様子のソウヤが肩を弾ませた。
そして、エレリアは彼女の言ったことを念頭に置いて辺りを眺めた。
ここは、日影に埋もれた小さな裏庭。
そして、目ぼしいものは物干し竿とポニヨンの畑のみ。それ以外は、割れた瓶や壊れた家具などの不用品が庭の隅に雑多に捨てられた、なんとも寂しい場所だった。
手当たり次第に三人は魔法披露のために棒を探し始めた。
「おっ、こういうのはどうだ?」
そう言うと、ソウヤが生い茂る雑草に埋もれたホウキを見つけた。
彼が取り出したそのホウキは、棒状の黒く細い木に植物の枝が無数にくくりつけられただけの、なんとも粗末なものだった。
「これなら、ちょうどいいんじゃないか。なんか、魔法使いっぽいし」
「うーん。ちょっと形状がガタガタして大きすぎるから、魔力を溜めにくいかも。それに、汚いから触りたくない…」
そのホウキは長年の間雑草の中で風雨に晒されていたものらしく、泥と無数の小さな害虫が付着しており、とても見るに堪えなかった。
ミサのお望みのものではないと知ったソウヤは、再びそのホウキを雑草の中に投げ捨てた。
「どんなのがいいんだろ。てか、結構散らかってんなぁ、ここ。掃除した方がいいんじゃないか?」
ソウヤは裏庭をざっと見回し、そしてため息を漏らした。
ここにあるものはどれも劣化が激しく、魔法の杖を担うことができるような長い棒はなかなか見当たらない。
そして、エレリアは彼の意見に共感できた。とてもじゃないが、棒らしきものが見つかる気がしない。
もちろん、先ほどのホウキみたく、長い棒状の道具は数個見つかったが、ミサの要望に合うシロモノはなかなか現れなかった。
「もしかしたら、ここにはないのかも」
ふとそう思ったエレリアは、捜索現場を変えるため、しきりに裏庭を探し回っているミサとソウヤを尻目に、一人家の玄関に移動した。
「何かいいものないかな」
先程のガラクタだらけの裏庭と比べれば物数は少ないが、何か手頃な物は見つかるかもしれない。
エレリアは視線を動かし、ミサの語った条件を頭に入れ、周囲を探し回った。
「あっ!」
視線が玄関の扉の前を通過した瞬間、何かがエレリアの頭の中で張っていた警戒心の網に引っ掛かった。
そのエレリアが見つけ出した物は、玄関の扉のすぐ横に壁に立て掛けられていたものだった。
エレリアはすぐにそれを手に取り、そのままミサたちのいる裏庭に駆け出した。
「ねぇねぇ、ミサこれは?」
エレリアの軽やかな声が裏庭に響き、ミサとソウヤは同時にエレリアの手にしているものに目をやった。
「うん!これこれ!こういうのが欲しかったんだよ」
エレリアの手に握られており、そしてミサが絶賛する程の物とは、まさしく魔法の杖そのものだった。
黒い木製のその杖は、取っ手の所が白い布で巻かれており、先端にはだいぶ磨り減った跡があった。つまり、それはかなり年季の入った杖だった。
「どこから持って来たんだよ、んなもの」
「玄関のとこに置いてあったよ。でも、誰のなんだろう」
勝手に持ってきたのはいいものの、エレリアにはその持ち主の心当たりがなかった。さすがにミサとソウヤのものでは無いように見えるが、誰の物なのだろう。
「きっと、それはおばあちゃんが使ってた杖だね。捨てるのもなんかあれだから、ずっとそのままにしておいたんだよ。でも、完全に忘れてた」
互いに眉を寄せるエレリアとソウヤに、ミサがその杖について説明を施してくれた。
そして、説明を聞いてエレリアは納得した。
確かに、所有者がおばあちゃんと言われれば辻褄が合う。
「けど、ミサ。勝手に使っちゃっていいのかな?」
「いいよ、いいよ。ちょっと使うだけだから、別に問題ないよ」
エレリアの懸念に対して、ミサが代言して軽くあしらった。事実、持ち主もこの世にいないわけだなのだから、少し勝手に使ったぐらいで怒られはしない。
「じゃあ、準備もできたことだし。さっそく、見せてあげる」
エレリアが見つけた杖をいったん地面に置き、ミサはそこら辺に転がっていた木箱と古びた瓶を取り出した。
「おいおい、何するつもりなんだ。早くシュルフってやつ見せてくれるんじゃないのか?」
彼女の不可解な行動に、たまらずソウヤが言葉を投げ掛けた。
「シュルフは風の刃を打ち出す魔法なの。だったら、何か的があった方が面白いでしょ?」
そう言って、ミサは木箱の上にそっと古びた瓶を乗せた。
瓶はポーション用のものらしく、丸底で飲み口が細長い形状をしていた。
「ということで、今からこの瓶を的とします。当てれるかどうか自信ないから、外しても笑わないでね」
「大丈夫だ。ミサの神エイム、期待してるぜ」
そして、そのままミサは杖を再び拾い上げて、的と一直線になるよう定位置についた。エレリアとソウヤは彼女の後ろから見守る。
「よしっ、じゃあいくよ」
ミサは軽く自らを奮い立たせ、杖を両手で握り締めた。
そして腰を低く落とし、杖の先端を狙いに定める。
「おぉ、来た来た…!」
ソウヤは沸き上がる感動と興奮を押さえて、吐息を口からはこぼした。
ミサは深く目を閉じ、身体の底から沸き上がってくる魔力を杖の先端に送ることだけに意識を研ぎ澄ませた。
久々の感覚。
魔力自体はポーション作成の時に使用しているのだが、こうして杖に込めることは本当に久しぶりだった。だが、大まかな手順はやはり感覚として身体が覚えてくれていた。多少時間がかかっているものの、順調に魔力の供給は進んで行っている。
そしてこの時、現場は不思議な緊張感と雰囲気に包まれていた。
裏庭の空気はピリピリと痺れ、周囲の茂みが一斉に音を立てて揺れ始める。
エレリアはミサの背中を後ろから見つめていたのだが、そこからでも彼女から伝わってくる魔力のさざ波を肌で感じることができた。
「…」
ミサが魔力を杖に込めている間、エレリアとソウヤは口を固く閉ざして静かに見守っていた。
今ここは、彼女に容易く声をかけることなど決して許されないような場と化している。
少し指先が触れただけで一気に崩れ落ちてしまうような、危うくて一瞬も気が抜けない、そんな雰囲気に包まれている。
すると、ミサの黄金色の髪が舞うように揺れたかと思うと、杖の先端の小さな空間が歪み、淡い深緑の光が灯った。
それは、例えるならミサの手によって産み出された風の魔法シュルフの卵のような存在だった。
「おぉ…!」
ソウヤが吐息のような小声で興奮を口にした。
そして、彼が感嘆の息を漏らしている間にも、見る見るうちに光は大きくなっていき、激しさを増していく。
気づくと、杖の先にはすでに小さな嵐が出来上がっていた。サイズは小さいながらも、それはまるで荒れ狂う雷と吹き荒ぶ暴風が光の中に凝縮されてるいるようだった。
見たことのない光景に、エレリアとソウヤの二人は目を見開くことしかできない。
そしてミサは溢れ出る魔力に髪を舞い踊らせながら、必死に最後の細かな修正を行っていた。
その姿はまるで超人の域だった。世の魔法使いならこのような所業は朝メシ前なのかもしれないが、始めて見る彼女の姿と魔法というものに、エレリアとソウヤは始終圧倒され声が出なかった。
ミサは片目を閉じ、狙いを先の瓶に定める。
暴れ狂う魔力を押さえ込むのに精一杯で杖を持つ手が震えている。それでも、ミサは一瞬も気を抜くことなく、魔力固定の維持に努めた。
その時、瓶に向かって一筋の透明な航路が見えた。それは脳が視界に映し出した、魔法が通るべき見えざる道筋だ。
打つなら、今しかない。
そして声高らかに、その名を叫んだ。
「行くよっ、シュルフ!!」
そう言い放った瞬間ミサは目を見開き、勢いよく杖を瓶にめがけて突き出した。
そのままシュルフの結晶が杖から切り離される。
すると、放たれた衝撃波は一瞬にして鋭利な風の刃へと姿を変え、目標物へ飛んで行った。
「すげぇ!!」
ついに現実に魔法というものを目にし、ソウヤのテンションと感動は最高潮に達していた。
そしてその間も、ミサが生み出した風の刃は微妙に左右に揺れながら、気づくと瓶の鼻先まで距離を縮めていた。これなら、見事狙った通りに目標物に直撃するだろう。
ミサは、そんな栄えある未来を確信し、満足気に口の端を緩めた。
だが、その瞬間エレリアが一つの懸念を込めた小声をこぼした。
「あっ…」
すると、目標物に直撃するはずだった風の刃は瓶にかすり傷を負わせ、そのすぐ横を通過していった。瓶はシュルフが生んだ突風により木箱から吹き飛ばされ空中を数秒間さまよったが、その後庭の茂みに着地し、少しヒビが入るくらいのダメージを負った。
「えっ…!?」
微妙な判定で的から外れ、進路を変えた風の刃は減速することなく空気を裂いて進んでいく。
どこまで飛んで行くのか。
「あぁっ!!」
ミサがシュルフの進路の先を目にし、焦りと驚嘆の叫び声をあげた。
風の刃が向かう先、そこには数々の洗濯物がかけられ優雅にたたずんでいる物干し竿の姿があった。
風の暴威をまとった刃物が物干し竿をターゲットに変え、無情に距離を縮めていく。
「や、やばいかも…」
ミサはぎこちない笑みをこぼし、来るべき未来を想定した。それは、風の魔法シュルフが目標物を物干し竿として認定した場合の未来だ。
そして、ミサが抱いた懸念の通り、最悪の未来が現実に訪れてしまった。
風の刃は躊躇することなく物干し竿の片足を乾いた切断音と共に切り裂いた。そして、それと同時にまるで役目を終えたかの如く、午後の爽やかな風となりどこかへ吹き流れて行った。
しかしその間も、片足を切り裂かれた物干し竿がゆっくりとバランスを崩し、地面に倒れかかろうとしている。
「ちょっとぉ!?ストップ!!ストップ!!」
ミサは予想外すぎる展開を前に手にしていた杖を地面に投げ捨て、必死の思いで駆け出した。
洗濯物が土の大地に放り出されれば、またすべて洗わなければならない羽目になる。特に今日はいつもより服の量も多い。これからまた一から洗濯するなど、心の底からごめんだった。
「間に合えぇぇぇぇ!!」
ミサは無我夢中で地を蹴り、すんでのところで身体全体を使い、倒れかかる物干し竿を見事に受け止めた。
「ぅ、うぅ、間に合った…」
なんとか最悪の事態は回避し、ミサは安堵の息を漏らした。これでとりあえず、洗濯物は無事だ。
しかし、依然として物干し竿は地面に伏そうと己の重量をミサにのしかけてくる。
これ以上ミサが押し倒されることはないだろうが、何せ竿は片足を失っているため自力でバランスを保つことができない。
竿から体重を預けられたまま、ミサは途方に暮れてしまっていた。何て無様な格好なのだろうか。
だが、いつまで経っても誰も援助に駆けつけてくれない。
「ちょっと、二人とも…、見てないで手伝って…」
奥歯を噛みしめミサは横目で援助を求める視線を送った。
すると、奇しくも同時にソウヤが口を開いた。
「すげぇぜ、ミサ!!瓶に当てると見せかけて、本当は奥の物干し竿を狙ってたんだな!!おまえは天性の神スナイパーだ!!今日から魔法使いかアーチャーにジョブチェンジしたらどうだ?」
どうやら二人は無慈悲に助け船を出さないのではなくて、ただ単にミサのパフォーマンスに感心しているだけのようだった。
「い、いや…、そんなことはいいから…」
ミサはソウヤの感想を振り払い、声を絞り出すようにして助けを求めた。
だが、またしても今度はエレリアが声を被せてきた。
「ポーションだけじゃなくて魔法まで使いこなせるなんて、やっぱりミサってすごい。私もミサのこと見習わなきゃ」
「だから、そんなことはいいから…」
そろそろ、筋肉の限界だ。
たかが物干し竿だが、何せミサの体格より一回り大きいため、一人で支え続けることはできそうにない。
どうやら普段の運動不足のつけが回ってきたようだ。こんなことなら、少しぐらい筋力をつけておけばよかった。
ミサは後悔を胸に悲痛な叫びを天に向かって響かせた。
「いいから、誰か助けよぉぉぉ!!!!」
相変わらず空はどこまでも青く澄み渡り、そよ風が稲穂の匂いを裏庭まで運んでくる。
ミサはとっさに投げ捨てたおばあちゃんの杖を拾い上げ、ため息をついた。
「はぁ、とんでもない目にあった…」
まさか的を外し、さらに物干し竿の片足を魔法で切り飛ばすなんて、夢にも思ってみなかった。
全身が心なしかピリピリ痺れる。久々に魔力を使い果たしてしまったせいか、あるいは思わぬアクシデントに精神を磨耗させてしまったせいか、真実の程は自分でもよく分からない。
ただ二人は都合よく謎に感心してくれていたので、ミサは自らの過ちの真実を語ることなく黙っておくことにした。
ちなみに物干し竿はあの後どうなったかと言うと、三人で協力して近くの木に立て掛けておいた。これなら、片足を失ってもバランスを保ったまま自力で立ち続けさせることができる。
「ミサって、なんでもできるんだね。本当にすごいや」
「ま、まぁね…。えへへ……」
ミサにとっては納得いかない結果になったが、こうして彼女の魔法披露は終幕を迎えたのだった。
「よっしゃ、ミサからすげぇもん見せてもらったし、俺も負けてらんねぇな!」
そう言うと、ソウヤは再びあの剣を天高く掲げた。
日光を受けて、刃が白く輝く。
「えっと確か、せいけん…、何だっけ?」
「聖なる剣と書いて、聖剣エクスカリバーだ。一度でいいから、この名前をつけてみたかったんだよ」
エレリアの質問に、ソウヤが丁寧に返答を施してくれた。
どうやら名前にはこだわりがあるらしいが、やはりその真意は分からない。
ただ、彼の剣に対する愛は間接的ながらも理解することができた。自ら鍛冶屋へ積極的に赴き、鍛練を重ねる程の彼の剣に対する熱愛は、その剣の状態と彼の自信に溢れた表情から伝わってくる。
そして、ソウヤはそのまま話を続けた。
「この剣、一見すると普通の剣に見えるだろ?だがな、これにはある秘められた力が宿ってるんだ」
ソウヤの中断していた剣の解説が再開した。
「秘められた力…?」
「そうだ。ただその分、上手に扱うのは難しいけどな」
彼の説明を聞き、エレリアはもう一度その剣をまじまじと見つめた。
扱うのが難しい。
誰が見ても普通の剣に見えるのだが、一体どのような力が込められていると言うのだろうか。
すると、ソウヤはエレリアの表情を伺うようにそっと呟きを口にした。
「どうだ?不思議な力、お前も見たいか?」
「うん。見たいね」
ミサの魔法に引き続き、またしてもエレリアは彼の剣の魅力にとりつかれていた。
あるいは、もしかしたら彼の言い分でまんまと話に乗せられているのかもしれないが、この際そんなことは気にしていられない。
「よっしゃ、分かった!それなら俺もおまえたちにこの剣の素晴らしさを見せてあげようじゃないか」
「でもソウくん、私それ何回も見たことあるんですけど…」
ソウヤが自信満々に豪語した直後、ミサが退屈そうな物言いで彼に呟いた。
「いいじゃねえか、エレリアもまだ見たことないことなんだし。それに、あれから成長した俺の姿を見てやってくれよ」
ソウヤはなんとかミサに披露を見てもらうための口実を急いで作りだした。
そして意識を手元に戻し、ソウヤは剣を両手で握り地面と水平に構えた。
「どうやってやるの?」
「まぁまぁ、いいから見とけって」
エレリアの問いかけをなだめ、ソウヤは剣の柄を握り締める。
そして、庭の誰もいない空間を目で確認し、足を前に出した。
「いくぞ!!」
力強くそう言い出すと、ソウヤは思いっきり剣を振り切った。
すると、剣の刃から透明な空気の塊のようなものが飛び出した。それはすぐに庭の空気と同化してしまったが、明らかに何かが剣から生み出されたのだ。
「何?今の…!?」
エレリアは一瞬の出来事に目が対応できず、困惑の意を口にした。
「すごいだろ。なんとこの剣、刃から衝撃波を出すことができるんだぜ。まだ、俺の実力じゃこんなちっぽけなものだけど、いつかミサのシュルフみたいに、ズバン! とすごいのを出せるようになりてぇんだ」
彼が言っていた秘められた力とは、このことだったのか。
確かに、剣の外見からは想像もつかない大技だ。一体、どういう仕組みになっているのか。
「鍛冶屋のおやっさんが俺のためにエンチャントしてくれたんだ。どうだ?エレリアもやってみるか?」
「いいの?」
ソウヤの提案に、エレリアは目を輝かせる。
しかし、剣を受けとる直前、ミサが横から口をはさんできた。
「無理だと思うよ、リアちゃん。私も今まで何回か挑戦したけど、重すぎで持つことすらできなかったんだよ」
「え、そうなの?」
ミサの発言に、エレリアは耳を疑った。
重すぎで持つことすらできないと言ったが、それは本当なのだろうか。見た目から判断して、とても重そうなシロモノには見えないが。
「確かに、剣を自由自在に扱うにはそれ相応のスキルが必要になるんだ。俺はおやっさんから特別に教えてもらったから、こうして持つことができるんだけど、素人だとミサの言うとおり持つことすらできない」
ソウヤの説明を聞いて、エレリアは少し納得した。
つまり、剣を使いこなすには相応の訓練と免許のようなものが必要ということなのだろう。ミサはその免許を持っていないから扱うことができない。
どういうカラクリなのか詳しいことは分からないが、とにかくエレリアが剣を装備することができる可能性は減ってしまった。どう考えても、自分が剣を装備することなどできるはずない。奇跡的に記憶を失う前に剣のスキルを習得していれば話は別だが。
「ただ、いい機会だしエレリアも持つだけ持ってみたらどうだ?」
「う、うん」
すると、ソウヤは持っている剣の刃を下に向け、そのまま地面に思いっきり突き刺した。
彼が手を離すと、剣は大地に突き刺さったまま自立している。
「もし、見事これを引き抜くことができたら、おまえは剣を装備できる資格をすでに持っているということだ。さぁ、やってみな」
一方的にソウヤに促されるまま、エレリアは剣を扱うための器量を試されることとなった。
了承はしていないが、場の流れからエレリアはその試験を甘んじて受けることにした。
「ふぅ…」
エレリアは胸に溜まった緊張の感情を吐息に変え、恐る恐る剣に手を伸ばした。
それを、ミサとソウヤの二人が固唾を飲んで静かに見守る。
自分に剣を振る資格があるのか、ないのか。すべては、この手にかかっている。
だが、エレリアにはこの試練に対してまったく自信がなかった。
まだ記憶を無くしてから剣を振ったことはないが、自分にそんな器量が備わっているはずがない。そうやって、彼女はたかをくくっていた。
エレリアの白い手が剣の柄に触れる。
動物の皮が巻かれたその部分は、所有者が唯一触れることができる部分というところもあってか、以外としっかりした手触りをしていた。
そして、エレリアは握った手に力を入れる。
抜けることができるのか。あるいは、できないのか。
様々な思いが交錯する中、エレリアはいったん生唾を飲み込んだ。
そして、二人が静かに見守る中、自分の胸の内で意を決したエレリアはそのまま思いっきり剣を上へ引き抜いた。
「ふん…!!」
鋭い音と共に地面の土が跳ね上がる。
その瞬間、突如自身を取り巻いている時間の流れがゆっくりになったようにエレリアには感じられた。それは、目の前で起きた出来事に思考が追いついていないせいだからなのか。とにかく、視界に映るすべての光景がスローモーションの如く緩満になったのだ。
剣の刃がついに大地の外へ露出する。
感覚としては、特に苦になるようなものは何もなかった。ミサは重くて持ち上げられないと言っていたが、そのような重量感はエレリアには特に感じられない。
そして、気づくと二人の前には、剣を抜き終え立ち尽くしているエレリアの姿があった。
「えっ…?」
剣を胸の高さまで持ち上げているエレリアに、ミサとソウヤは言葉を失う。
逆にエレリアから二人を見ると、二人とも凍りついたようにその場で固まっていた。
そして、動揺で震える声を喉から絞り出すようにしてエレリアは呟いた。
「どうやら私、剣の才能あるみたい…」
エレリアも自分自身の隠されていた力に驚きを隠せなかった。何だか自分が自分でないような感じだ。
「う、嘘…、でしょ、リアちゃん。ちょ、ちょっと、その剣貸してみて」
そう言うと、ミサはエレリアの手にある剣に近づき、そのまま柄を掴んだ。
そして、ミサが剣を握ったのを確認し、エレリアは柄から手を離した。
すると、剣は急に何かが宿ったように突然重くなり地面に深々と突き刺さった。
「うっ…、お、重い…じゃん…」
ミサが身に残った渾身の力で剣を引き抜こうとするが、エレリアみたいに軽々と持ち上げることはできない。それどころか、少しも動かすことすらできない。
「なるほど、これで分かったぞ…」
ミサが剣を引き抜こうと努力する中、ソウヤが何やら一つの結論を得たようだった。
彼の発言を耳にし、エレリアは彼にその真意を尋ねた。
「分かったって、何が分かったの?」
「それは、ズバリ、エレリア。おまえはもともと戦士だったんだよ」
「戦士…?」
彼の放った発言に、エレリアは首をかしげる。
「そうだ、間違いない。おまえが記憶を失う前はきっと戦士の肩書きを持ってたんだよ。そうでなきゃ、こんなことはありえない」
ソウヤは自信に満ちた表情で、エレリアにその名推理を説明した。
そして、彼の言い分を基にエレリアは自分自身の過去を見つめ直してみた。
「戦士か…」
もちろん確証を得たわけではないが、もし彼の言っていることが本当だとしたら、過去を探るヒントはまだ身体の中に眠っているということになる。
エレリアは再び剣を手にした。
まだ帰れる手段がすべて潰えたわけではない。すべての真実はこの身体の中に宿っている。
思わぬ可能性を見つけることができ、エレリアは少し希望の欠片を感じることができた。
しかしそれと同時に、ふいにエレリアの心に迷いと不安の感情が沸き上がったてきた来た。
それは、単純でありながら深刻な問題だ。
自分はこれから先、どうやって生きていけばいいのか。
自分には帰るべき場所がある。愛する家族が待っている、はずだ。
なら自分は早く記憶を取り戻して故郷へ帰らなければならない。
しかし、そうだとしたら、今の生活はどうなるのだ。
彼らと過ごす今の生活はとても楽しい。
ただ記憶を取り戻した後、ミサは、ソウヤは、この村は、自分の中でどうなってしまうのか。
気づくと、エレリアという人物の中にもう一人のエレリアができているような気がした。
帰りたい自分と帰りたくない自分。
両者は紛れもなく、自分自身だ。だが、それぞれが意思を持ち、自我を持ったように、心の中で振る舞い始めていた。
矛盾した感情が、胸の中でぐるぐる渦巻く。
自分は…、エレリアは、一体どうやって今後生きていけばいいのか。
「…」
やめよう、こんなことを考えるのは。
自分は、自分だ。自分は一人しかいない。
それに、今はミサのポーション開発を手伝うのが最優先だ。無駄な考え事はその後にしよう。
エレリアは心の中で渦巻く葛藤を紛らわす意味も込めて、試しに剣を一振りしてみた。
すると、空気を切り裂いた刃から、突然強力な衝撃波が誕生した。
「えぇ!?」
思わずソウヤが驚きの声をあげる。
「エレリア、おまえ今何したんだ!?」
「何したって…、ただ剣を振っただけだよ」
何気なく振り下ろした剣から、これほど衝撃波が生まれるなんてエレリアは本当に思ってなかった。それは先ほどソウヤが生み出したものとは比べものにならないほど強力なものだ。
その証拠に、彼が出したものが空気の塊のようなものだったのに対し、彼女のものは鋭利な光の刃のような見た目をしていた。
一同がエレリアの大技に驚きを隠せない中、彼女が生み出した衝撃波は首ひもが切れた犬のように自らの意思で空中を進んでいった。それは、先ほどのミサのシュルフを連想させる。
三人は為す術もなくその光の刃の行方を目で追っていた。
そして、三人同時に間抜けな声を漏らした。
「あっ…」
なんと光の刃が先に、先ほど片足を負傷した物干し竿が運悪くそこに存在していたのだ。木に立て掛けられたまま、竿は何も知らない面構えでたたずんでいる。
そして息つく暇もなく、光の刃は竿のもう片方の足を見事に切り離した。それも、始めからそれが狙いだったかのように。
物干し竿はついにバランスを両足と共に失い、多数の洗濯物を抱えたまま地にノックダウンした。
「…」
一方、三人はその一連の流れを走って止めることすらできず、ただ遠方から黙って眺めることしかできなかった。
思わぬ偶然によって大地に投げ出された洗濯物を前に、三人ともどうしていいか分からず固まっている。
「まさに、物干し竿『解せぬ』、だなこりゃ…」
ソウヤが機転を利かして、目の前の状況を表す一言を呟いた。
そして、ここでエレリアは考えた。
家事全般は、すべてミサの仕事だ。時折エレリアも手伝ってあげるのだが、ほとんどがそうなっている。
「ご、ごめんね…。ミサ…」
エレリアは前髪で隠れたミサの表情を伺うように、口を開いた。
そして、状況を整理できたミサは本日二度目の悲痛な叫びを、西日が傾き始めている天に向かって盛大に響かせた。
「…もおぉぉぉ、いやあぁぁぁぁぁぁ!!!」
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