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第1章:異世界と吸血姫編
第13話:魔力
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「やっぱり最初からこうするべきだったかな…」
結局は脳内覗き見て情報を収集する事になったのを自分自身呆れてしまう。
「この機会にもう少しちゃんと解析してみようかな」
思考を停止させ自らの意思で動く事の無くなったアルアレとトイズにでは無く自分自身に語りかける様に独りごちた。
俺の能力は自分で言うのも何だがかなり万能だ
人間社会で生きてく上では俺の望み通りにならない事など無いに等しい。
俺に資産を贈与する金持ちなんて幾らでも作り出せるし、どんな絶世の美女だろうとその気になれば俺に惚れる事だろう。
毎日贅沢三昧に過ごし、欲望の限りを尽くす。
そんな人生超絶イージーモードに成れる能力であるが、俺はそんな生活を是としない。
っと言うかそんな自堕落な生活は直ぐに飽きたし、この能力に気づいてから今まで7年程であるがそれはもう自叙伝を出せば大ベストセラー間違い無しくらいの濃ゆい内容の人生を送って来たのだ。
高々17年程しか生きて来ていない糞ガキが何人生語ってんだと世のおじ様方にはお叱りを受けるかもしれないが、少なくとも人類は滅亡した方がいいんじゃね?と本気で考えた事があるくらいには世界の裏も表も酸いも甘いも見てきたし、知ってきた。
何年掛るか知らないが、その気になれば世界中の人々を意のままに操り、有りと有らゆる事を成し遂げられると自負する俺だからこそ言える。
あの世界は退屈過ぎた
あの巨人の目玉の様なものが何なのかは分からないが、異世界に飛ばされて改めて思うのだ。
どんなに全てが思い通りになろうと、どんなに贅沢をしようと、あの世界では一生心が満たされる事が無いまま死んで逝くのだろうと。
だからこの世界に飛ばされハッキリと感じた。
心が躍るのを
だってそうだろう。元の世界で唯一無二とも呼べるとんでも能力を持っていても全くもって張り合いが無いんだから。
世界中の能力者による、限界ギリギリ異能バトル(笑)なんてものに憧れてる時もありましたよ俺にも。
でも実際は世界中を探せど異能バトル(笑)が出来る様な能力者は皆無だった。
まあ2年程しか探してはないのだけれど。
っぽいのは居たことには居たよ?でもハッキリ言って、ショボいんだよ…
ガッカリどころの話じゃねぇよ!
そんな厨二拗らせっ子の俺としては、剣と魔法とドラゴンのファンタジー世界なんて所に転移したんだったらそりゃチートなり無双なりちょっとは夢見て自身の力で成り上がろうなんて考えるよね?
だが蓋を開けてみればどうだ
魔力が生み出せない。生み出せないから魔法は使えない。使えないから魔力障壁は張れない。張れないからその副産物的な身体強化も使えないっぽい。
身体強化出来ないから、魔物や魔獣なんてものともまともに戦えないみたいで傭兵家業なんて以ての外。
更にはそんなんだから穢人なんてレッテルを貼られて生きて行くのも困難を極めると言うどんなクソゲーだよ!と叫びたくなる状況な訳だ。
差別されながら人間として扱われず、コソコソと隠れて生きるなんてのは絶対に嫌だ。
俺が読み漁った聖典の数々にはそんなストーリーは存在しない!
だからまあ、結局は自分のこの能力に頼るしか無く、そうすると元の世界と何が違うんだって話になる訳で…
ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!
結局、グダグダと悩んでも仕方ないと割り切り先ずはアルアレから抜き取れるだけの情報を抜き取る事にした。
「戴きますよっと」
今までとは違い意識してアルアレと繋がる。
別に繋がったからと言って意図せず全ての情報がこっちに流れて来る訳ではない。
なんと言うか、この情報はこの辺にあってとか何となく分かると言うかなんと言うか。
そもそも繋がると言っているが、実際は物理的にも仮想的にも脳と脳が繋がっている訳では無いんだが――まぁ意識というか認識する事は何となく大事なんだろうと思う。
今まで数え切れない程の人間と繋がりめちゃくちゃやってきたからなのだろうかそれに気付くことが出来た。
「なんだこれ…?」
今まで感じた事の無い違和感の様な物を感じた。元の世界の人間の脳にこんな物無かったはずだ。
初めて認識出来た其れは例えるならブラックボックス。
何が入っているかは分からないが、今この時もそこから凄まじい勢いでアルアレの身体中に目まぐるしく電気信号に似た何かが駆け巡っている感覚を俺は共有した。
「まさか…!」
俺はトイズに向き直り意識して繋がり、アルアレに感じた何かを探す。
「こいつからも感じる…」
これはあれだ
俺は確信する。
「ここで魔力生成してるだろ」
元の世界の人間には無い脳のその機能で魔力を生成してるなら俺に魔力が無いのも納得出来た。
っと言うか予想は外れたか。
まさか脳内で魔力を生成してるとは…
てっきり脳内以外、体内の何処かの器官か異世界人の血が特殊でとかそう言った類のものを想像していた。
だって脳内で生成されるなら俺が気付かない道理は無い。
それにアルアレは言っていたはずだ。
草花にも魔力はある、と。
それが意味するところはつまり人間の様な脳ミソの無い植物でも魔力を生成出来るって事ではないのか?
そんなアルアレの発言があったから先入観を持ってしまっていたのかもしれない。
ただそうなると、なぜ草木にも魔力が存在するんだって事になる。
一つ仮定はある。それは大気中に魔力が満ちていて、草木はそれを取り込んで自分自身の細胞か何かは分からないが貯め込んでいるのではないだろうか。
よくあるファンタジー設定のマナとかエーテルとかそんな感じ?
「とりあえずアルアレはもういいかな、この情報だけでもうどうにでもなる気がするし」
結局は自分ではどう足掻こうが魔力を生成出来ないし魔法は使えそうにないが、それでも身体能力を強化出来て穢人では到底太刀打ち出来ない此奴ら魔力がある奴との対人戦何てものがあったとしても余裕で勝てそうだとも思った。
だからか魔法に関する情報を片っ端から抜こうと思っていたのだが、興味が無くなってしまった。
「でも神様ってのはマジで居そうだなぁ」
今しがたアルアレと深く繋がった際、魔力を生成する器官というかブラックボックス的なものを発見したと同時にもう一点気になる事を見付けていた。
アルアレは神聖魔法は信仰する神の起こす奇跡を体現する魔法だと言っていた。
ではその神とは何なのか。その情報もと思ったのだが…
この感覚は何だが此奴らから姫様の情報を得ようとした時の靄が掛かっている感じと少し似ていた。
似ていると言ってもあんなものでは無くもっとなんと言うか強力で、完全に秘匿されている感じだった。
言うならばその情報が格納されている領域にはアクセス出来るが、肝心のデータは暗号化されていて読めない様なと表現した方が良いだろうか。
暗号化を解除出来るなら情報を持って来ても良いがたぶん出来そうに無い。
解除の条件が何なのか分からないし、もしかしたらアルアレが言っていた様な魂の有り様であったり、徳であったりするのだろうか。
そう考えると神だの悪魔だの精霊なんて存在も何だか信憑性が有りそうな気がしてくるから不思議だ。
ちなみに、先ほど2人が魔術師と聞いて驚いていたが、あれは、この世界では魔法と魔術は別物の様だ。
魔法は正道、魔術は邪道であり、魔術は忌み嫌われるものらしい。
魔術とは、魔力なり命なりの代償を払い、無理やり神や精霊の力を引き出し行使するものの様で、魔法では先程の神聖魔法の話でもあった通り、魔力は使うがプロセスがまったく異なる様だ。
確かに、自分の信仰対象である神様の力を無理やり使ってる奴がいたらそりゃ怒るわな
なので魔術師は異端者として扱われ、見付けたら討伐対象、問答無用、斬り捨て御免な存在らしい。
何気なく言ってしまった事ではあるが、これがアルアレ達が相手で無かった場合、いきなり斬られていても文句は言えなかったって事だ…
思考が逸れてしまったが、結局俺は魔法は使えないみたいだし、俺が使えないのなら、使える奴に俺の為に使わせれば良いだけなんだけどね
俺を護る為、俺の敵を蹴散らす為の、俺だけの傭兵団なんてのを作るのも面白いかもしれない
なんて事を考えると更にこんな事もしたい、あんな物も欲しいと色々とアイデアが出てくる。
それは追々考えようと考えを頭の隅に追いやった。
「やっぱりアルアレはもういいかな。後はトイズからさっさと抜き出すか」
トイズ君、キミのその技術を戴くとしよう
結局は脳内覗き見て情報を収集する事になったのを自分自身呆れてしまう。
「この機会にもう少しちゃんと解析してみようかな」
思考を停止させ自らの意思で動く事の無くなったアルアレとトイズにでは無く自分自身に語りかける様に独りごちた。
俺の能力は自分で言うのも何だがかなり万能だ
人間社会で生きてく上では俺の望み通りにならない事など無いに等しい。
俺に資産を贈与する金持ちなんて幾らでも作り出せるし、どんな絶世の美女だろうとその気になれば俺に惚れる事だろう。
毎日贅沢三昧に過ごし、欲望の限りを尽くす。
そんな人生超絶イージーモードに成れる能力であるが、俺はそんな生活を是としない。
っと言うかそんな自堕落な生活は直ぐに飽きたし、この能力に気づいてから今まで7年程であるがそれはもう自叙伝を出せば大ベストセラー間違い無しくらいの濃ゆい内容の人生を送って来たのだ。
高々17年程しか生きて来ていない糞ガキが何人生語ってんだと世のおじ様方にはお叱りを受けるかもしれないが、少なくとも人類は滅亡した方がいいんじゃね?と本気で考えた事があるくらいには世界の裏も表も酸いも甘いも見てきたし、知ってきた。
何年掛るか知らないが、その気になれば世界中の人々を意のままに操り、有りと有らゆる事を成し遂げられると自負する俺だからこそ言える。
あの世界は退屈過ぎた
あの巨人の目玉の様なものが何なのかは分からないが、異世界に飛ばされて改めて思うのだ。
どんなに全てが思い通りになろうと、どんなに贅沢をしようと、あの世界では一生心が満たされる事が無いまま死んで逝くのだろうと。
だからこの世界に飛ばされハッキリと感じた。
心が躍るのを
だってそうだろう。元の世界で唯一無二とも呼べるとんでも能力を持っていても全くもって張り合いが無いんだから。
世界中の能力者による、限界ギリギリ異能バトル(笑)なんてものに憧れてる時もありましたよ俺にも。
でも実際は世界中を探せど異能バトル(笑)が出来る様な能力者は皆無だった。
まあ2年程しか探してはないのだけれど。
っぽいのは居たことには居たよ?でもハッキリ言って、ショボいんだよ…
ガッカリどころの話じゃねぇよ!
そんな厨二拗らせっ子の俺としては、剣と魔法とドラゴンのファンタジー世界なんて所に転移したんだったらそりゃチートなり無双なりちょっとは夢見て自身の力で成り上がろうなんて考えるよね?
だが蓋を開けてみればどうだ
魔力が生み出せない。生み出せないから魔法は使えない。使えないから魔力障壁は張れない。張れないからその副産物的な身体強化も使えないっぽい。
身体強化出来ないから、魔物や魔獣なんてものともまともに戦えないみたいで傭兵家業なんて以ての外。
更にはそんなんだから穢人なんてレッテルを貼られて生きて行くのも困難を極めると言うどんなクソゲーだよ!と叫びたくなる状況な訳だ。
差別されながら人間として扱われず、コソコソと隠れて生きるなんてのは絶対に嫌だ。
俺が読み漁った聖典の数々にはそんなストーリーは存在しない!
だからまあ、結局は自分のこの能力に頼るしか無く、そうすると元の世界と何が違うんだって話になる訳で…
ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!
結局、グダグダと悩んでも仕方ないと割り切り先ずはアルアレから抜き取れるだけの情報を抜き取る事にした。
「戴きますよっと」
今までとは違い意識してアルアレと繋がる。
別に繋がったからと言って意図せず全ての情報がこっちに流れて来る訳ではない。
なんと言うか、この情報はこの辺にあってとか何となく分かると言うかなんと言うか。
そもそも繋がると言っているが、実際は物理的にも仮想的にも脳と脳が繋がっている訳では無いんだが――まぁ意識というか認識する事は何となく大事なんだろうと思う。
今まで数え切れない程の人間と繋がりめちゃくちゃやってきたからなのだろうかそれに気付くことが出来た。
「なんだこれ…?」
今まで感じた事の無い違和感の様な物を感じた。元の世界の人間の脳にこんな物無かったはずだ。
初めて認識出来た其れは例えるならブラックボックス。
何が入っているかは分からないが、今この時もそこから凄まじい勢いでアルアレの身体中に目まぐるしく電気信号に似た何かが駆け巡っている感覚を俺は共有した。
「まさか…!」
俺はトイズに向き直り意識して繋がり、アルアレに感じた何かを探す。
「こいつからも感じる…」
これはあれだ
俺は確信する。
「ここで魔力生成してるだろ」
元の世界の人間には無い脳のその機能で魔力を生成してるなら俺に魔力が無いのも納得出来た。
っと言うか予想は外れたか。
まさか脳内で魔力を生成してるとは…
てっきり脳内以外、体内の何処かの器官か異世界人の血が特殊でとかそう言った類のものを想像していた。
だって脳内で生成されるなら俺が気付かない道理は無い。
それにアルアレは言っていたはずだ。
草花にも魔力はある、と。
それが意味するところはつまり人間の様な脳ミソの無い植物でも魔力を生成出来るって事ではないのか?
そんなアルアレの発言があったから先入観を持ってしまっていたのかもしれない。
ただそうなると、なぜ草木にも魔力が存在するんだって事になる。
一つ仮定はある。それは大気中に魔力が満ちていて、草木はそれを取り込んで自分自身の細胞か何かは分からないが貯め込んでいるのではないだろうか。
よくあるファンタジー設定のマナとかエーテルとかそんな感じ?
「とりあえずアルアレはもういいかな、この情報だけでもうどうにでもなる気がするし」
結局は自分ではどう足掻こうが魔力を生成出来ないし魔法は使えそうにないが、それでも身体能力を強化出来て穢人では到底太刀打ち出来ない此奴ら魔力がある奴との対人戦何てものがあったとしても余裕で勝てそうだとも思った。
だからか魔法に関する情報を片っ端から抜こうと思っていたのだが、興味が無くなってしまった。
「でも神様ってのはマジで居そうだなぁ」
今しがたアルアレと深く繋がった際、魔力を生成する器官というかブラックボックス的なものを発見したと同時にもう一点気になる事を見付けていた。
アルアレは神聖魔法は信仰する神の起こす奇跡を体現する魔法だと言っていた。
ではその神とは何なのか。その情報もと思ったのだが…
この感覚は何だが此奴らから姫様の情報を得ようとした時の靄が掛かっている感じと少し似ていた。
似ていると言ってもあんなものでは無くもっとなんと言うか強力で、完全に秘匿されている感じだった。
言うならばその情報が格納されている領域にはアクセス出来るが、肝心のデータは暗号化されていて読めない様なと表現した方が良いだろうか。
暗号化を解除出来るなら情報を持って来ても良いがたぶん出来そうに無い。
解除の条件が何なのか分からないし、もしかしたらアルアレが言っていた様な魂の有り様であったり、徳であったりするのだろうか。
そう考えると神だの悪魔だの精霊なんて存在も何だか信憑性が有りそうな気がしてくるから不思議だ。
ちなみに、先ほど2人が魔術師と聞いて驚いていたが、あれは、この世界では魔法と魔術は別物の様だ。
魔法は正道、魔術は邪道であり、魔術は忌み嫌われるものらしい。
魔術とは、魔力なり命なりの代償を払い、無理やり神や精霊の力を引き出し行使するものの様で、魔法では先程の神聖魔法の話でもあった通り、魔力は使うがプロセスがまったく異なる様だ。
確かに、自分の信仰対象である神様の力を無理やり使ってる奴がいたらそりゃ怒るわな
なので魔術師は異端者として扱われ、見付けたら討伐対象、問答無用、斬り捨て御免な存在らしい。
何気なく言ってしまった事ではあるが、これがアルアレ達が相手で無かった場合、いきなり斬られていても文句は言えなかったって事だ…
思考が逸れてしまったが、結局俺は魔法は使えないみたいだし、俺が使えないのなら、使える奴に俺の為に使わせれば良いだけなんだけどね
俺を護る為、俺の敵を蹴散らす為の、俺だけの傭兵団なんてのを作るのも面白いかもしれない
なんて事を考えると更にこんな事もしたい、あんな物も欲しいと色々とアイデアが出てくる。
それは追々考えようと考えを頭の隅に追いやった。
「やっぱりアルアレはもういいかな。後はトイズからさっさと抜き出すか」
トイズ君、キミのその技術を戴くとしよう
応援ありがとうございます!
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