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第3章:雷速姫と迷宮街編
第104話:ホルスの街
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そんなこんなで、目が覚めてからは体調的に絶好調となったので、次の日には通常通りの道程でホルスに向けて進んだ。
森の中はどうかは分からないが、平原の奥の方に展開するダリス領軍の何処ぞの大隊だか中隊が展開している場所もチラホラあり、何となく前線に近付いていると言うのが、否が応無しに雰囲気として感じ取れた。
「明日には着くか?」
俺はドエインに近付く様に馬を操りながら言う。
「そうだなぁ、今日は野営するとして、明日の朝から飛ばせば明日の夕刻から夜には着くと思うぞ」
「まぁ別に急いで無いし、飛ばさなくてもいいんだけどさ」
「そうかじゃあ、明後日の昼くらいには着くんじゃねぇかな」
「了解」
結局俺達はその日と次の日の二回野営をして、ホルスへと到着した。
「うぉぉぉッ!?すっげぇ!!」
ホルスの外郭部へと到着して見るホルスの全体像は俺が想像していたものより遥かに大きかった。
遠目からホルスの街を確認出来る様になってから、想像よりも大きそうだとは思っていたが、間近で見るとそれは想像を超え、俺は唯々圧倒された。
「ダンジョンを囲む様に人が集まって出来た街って言って無かったか!?」
俺はテンション高めでアリシエーゼに言った。
「じゃから、そうやって傭兵や兵士が集まり、そこに商人が集まり、金が循環してまた人が集まる。そうやってここまで成長したんじゃろ」
「それにしてもデカ過ぎるだろ!?」
そう、想像では千や二千くらいの規模で人が集まり街を形成していると思っていたのだが、街の大きさを見る限り、ここで暮らすのは数万、下手したら十万程行くのではないだろうかと言うくらいデカい。
ホルスの街は、ダンジョンの裏側には一般人は立ち入れない様になっており、各国のもその辺りは一切の軍事拠点等を構える事を禁止する条約を取り決めている。
これは、各国が目の届かないところて勝手にダンジョンの入口等を増やされても困るだとかそう言う理由らしいが、詳しい事は分かっていない。
そんな理由がある為、ホルスの街は、ダンジョンから片側、ダリス領側から見ると右側にしか街を作る事が出来ず、今俺達は、ダンジョン近くの入口付近に居るが、そこから街の外壁は数キロに渡って存在しており、ハッキリ言って全容はここからでは掴みきれない。
外壁の外側にもズラリと建物が並んでおり、ホルスの街の中と外の境界線が分からなかった。
「この外側もホルスの街って事でいいんだよな?」
「あぁ、ここ数年は日に日にホルスに来る奴らが増えてるらしくってな。そんなもんだからとてもじゃ無いが間に合わなくて、外壁の移築何てもう何年もやってねぇって話だ」
俺の問いにドエインが答える。
そうなると、やはりこのホルスの街の人口は数万では効きそうに無かった。
「とりあえず宿取って落ち着いて今後の方針とか決めるか」
「おいおい、外壁の内側は勿論だが、外側の宿だって入れるか分からんぞ?」
「あ、そうなの?」
そんな事まったく想定していなかったのでどうしようか悩む。
「一時的な寝泊まりはキャンプを設置出来る所が、街の一番奥にあった筈だぜ」
そう言ってドエインはダンジョンとは反対側の街の遥か先を指差す。
いやぁ、ダンジョンからどれだけ離れてんだよ、面倒臭い・・・
「・・・いいよ、とりあえず外壁の内側の宿を探そう」
「いやいや、絶対空いてねぇって!」
「空いて無かったら空きを作ればいいだろ」
「はぁ?どうやって―――って、旦那なら可能なのか・・・」
「まぁ、そう言う事」
ドエインも漸く慣れて来た様で、それ以上は何も言わなかった。
俺達は先ずは拠点となる宿を探すべく、ホルスの街の内郭部へと馬を進めた。
外壁の外側の外郭部は外壁の外側にあると言うだけで、建物自体は比較的新しいく出来た物の為、なんと言うか、スラム街と言うよりは本当に普通の街並みだった。
街中の道自体はちゃんと整備されており、今も尚拡張工事がされている様子が見受けられる。
ドエインの説明によると、ホルスの街の作りはダンジョンに近い程立地が良いとされ、ダンジョン近辺は全て、軍関連の施設が締めているらしかった。
これはダリス、エバンシオ王国側、ハイスタード帝国側も変わらないらしい。
その軍事施設がある区画を零番街として、そこからダンジョンから離れる毎にある一定の感覚で区切って、壱番街、弍番街、参番街と続いていく様だ。
ちなみに、外壁の内側は内壱番街、外側は外壱番街と言うカタチで区切っており、外壁に一定の間隔で色の違う石材を使って区画の境界を示しているらしく、更に分かりやすく、その境界を示す辺りの外壁の上に壱、弍、参と数字が書かれた看板のような物が掲げられているらしい。
「それと、内側にダリス、エバンシオ側と、帝国側の領土を隔てる境界があるから、絶対にそれを超えるなよ」
「その境界線は見て分かるのか?」
「あぁ、見れば分かる。外壁とまではいかないが、バリケードがずっと奥まで張り巡らされてるからな」
ダンジョンの丁度中央あたりから、街の端までをバリケードで隔てて、それを境界線としているらしいが、何とも危うい境界だと思わずにはいられなかった。
だってそうだろう。バリケード程度の物などその気になれば飛び越える事が可能な、防衛面で見れば何の役にも立たない代物だ。
つまり、ハイスタード帝国が今その気になって仕掛けて来たら、侵入を防ぐ手立てが無いと言う事だ。
勿論、そう言った事への対応を含めて軍は常に警戒して、防衛網なりを敷いているんだろうが、奇襲された場合の初手としては完全に後手に回るんだろうなと思った。
ただそれは、ハイスタード帝国側にも言える事で、条約やその他、暗黙の了解と言うか現地でのローカルルール的な物の上に成り立ついつ崩壊するか分からない代物な気がしてならなかった。
別に今はそんな戦争のゴタゴタに付き合う気も無いし、俺達が滞在中にいきなり何年も小康状態だったものが大きく動くかと言われると首を傾げざるを得ないのも確かだった。
「とりあえず、何番街くらいまでが一等地なんだ?」
「さぁ、伍番街辺りなんじゃねーか?」
「・・・お前、適当に言ってるだろ?」
「だ、だってしょうがねぇじゃねぇか、俺は別にホルス方面担当じゃ無く、北の関所担当だったんだぜ!?」
「まぁ、それもそうか」
一区画も結構な大きさがあるので、とりあえずは壱番街から順に奥へと探して行く事にしようと思っていたが、それもドエインにより待ったが掛けられた。
「そりゃ無駄だぜ。内壱番街から内参番街くらいまでは貴族の別宅やら大商家の事務所やらばっかりだと思うぜ」
「あー、なるほど・・・」
そうなると、肆番街以降かとも思ったが、伍番街、陸番街とかよりも、外壱番街の方が価値が高いんじゃないかと思い始めた。
だって、外壁があるか無いかってだけだし、外壱番街の方がダンジョンからの距離で考えたら近い訳だし
案の定、ドエインに確認するとそうらしいので、もう自力で探し回るより、俺が情報収集して一番条件の良さそうな場所を探して宿を直接取るのが一番速いと判断した。
アリシエーゼ達にそれを伝え、俺は一先ず、外壱番街から当たることにした。
俺について行きたいとアリシエーゼはごねたが、丁重にお断りしておいた。
「な、何か疚しい事でもするつもりじゃろ!?―――あッ、待て!無視するなッ」
阿呆を相手にしている暇なんてねぇんだよ
丁度、外壱番街と外弍番街の間に居たので、馬を預けて俺は駆け出す。
先ずはここに長く居そうな傭兵とかを当たるか
直接話すと、新参者等と思われるとガセを掴まされる可能性もある為、直接情報を抜きだすつもりで外壱番街に入る。
サッと見渡し、ここで一番古参の傭兵団の事務所や生活をする建物の場所の情報を抜き取りつつ、その情報を元に歩を進める。
色々と商店等を見てみたい所であったが、まずは拠点を確保してからだと自分に言い聞かせて、辿り着いた建物は石造りのかなり大きな建物の前だった。
「なになに、龍の尻尾・・・うわぁ、ベッタベタじゃん」
一階の中央に大きな扉が備え付けられており、その扉の真上に、木製の横長の看板が取り付けられていて、そこにこの建物のを所有している傭兵団の団名が刻まれていた。
龍の尻尾がなんぼのもんじゃい!と俺は勢い良く中央の両開きの扉を押し開いて建物の中に入った。
「・・・おぉッ、なんじゃこりゃ!」
建物の中に入ると、そこは俺の想像する傭兵団の事務所とはまったくの別世界が広がっていた。
俺は、傭兵団の事務所なんだから、中には屈強な男共が中に詰めており、昼間っから酒を浴びながら飲んで、下品な笑いを響かせていて、俺が入ってくるなりどこの団のもんじゃい!とか言って絡んでくるのを想像していた。
次いでに、ダーツの的があって、投げ矢の代わりにナイフを投げているイメージも付け足しておく。
それが、正反対と言うか何と言うか・・・
一言で言うならば冒険者ギルドの様相を呈していた。
入って左側の壁に大きな掲示板の様なものが三つ並べられており、そこには木板に書かれた依頼書の様なものが無数に掲示されている。
右側はL字型のカウンターテーブルが設置されていて、カウンターの中には三人の受付嬢の様な女性が居り、そこで傭兵風の者達と何やら色々と話をしていた。
これで、一階部分の約、四分の一程で、カウンターと掲示板の奥には事務作業だろうか、そんな事をしていそうな、此方は男女混じった人達が木製の机を並べて八人程居て忙しなく作業を行っている。
これで一階の半分程で、残りはカウンターの後ろに部屋等がありそうだが、扉が閉じられおり、中がどうなっているのかは確認出来なかった。
「完全に冒険者ギルドだろ・・・」
呆気に取られていたが、本来の目的を思い出し、俺は右側の受付の様な場所の列に並んだ。
俺の前に五人並んで居たが、受付嬢が一人又は一組に費やす時間はマチマチではあるものの、次に呼ばれる番になったので、そこまで掛かる物では無いんだなと思った。
そしてここで気付く。
あれ、何で並んでるんだ?
情報引き出すだけなら、別に並ぶ必要無くね?
やっちまったと思ってる所でお呼びが掛かったので、仕方無くそちらに向かう。
カウンターの一番奥の女性が手を上げているので其方に歩き出すと、急に右肩を引かれてたたらを踏んだ。
「おっと・・・」
そうしている隙に後ろから男が俺を追い抜き、手を挙げていた女性の元に向かって行った。
え、なに??
一瞬、何が起こったのか理解出来なかったが、どうやら俺はかなり強引に追い抜きと言うか、横入りをされた様だった。
これは、初冒険者ギルドに行ったら、先輩冒険者に絡まれた異世界転移者イベントって事でいいよな?
森の中はどうかは分からないが、平原の奥の方に展開するダリス領軍の何処ぞの大隊だか中隊が展開している場所もチラホラあり、何となく前線に近付いていると言うのが、否が応無しに雰囲気として感じ取れた。
「明日には着くか?」
俺はドエインに近付く様に馬を操りながら言う。
「そうだなぁ、今日は野営するとして、明日の朝から飛ばせば明日の夕刻から夜には着くと思うぞ」
「まぁ別に急いで無いし、飛ばさなくてもいいんだけどさ」
「そうかじゃあ、明後日の昼くらいには着くんじゃねぇかな」
「了解」
結局俺達はその日と次の日の二回野営をして、ホルスへと到着した。
「うぉぉぉッ!?すっげぇ!!」
ホルスの外郭部へと到着して見るホルスの全体像は俺が想像していたものより遥かに大きかった。
遠目からホルスの街を確認出来る様になってから、想像よりも大きそうだとは思っていたが、間近で見るとそれは想像を超え、俺は唯々圧倒された。
「ダンジョンを囲む様に人が集まって出来た街って言って無かったか!?」
俺はテンション高めでアリシエーゼに言った。
「じゃから、そうやって傭兵や兵士が集まり、そこに商人が集まり、金が循環してまた人が集まる。そうやってここまで成長したんじゃろ」
「それにしてもデカ過ぎるだろ!?」
そう、想像では千や二千くらいの規模で人が集まり街を形成していると思っていたのだが、街の大きさを見る限り、ここで暮らすのは数万、下手したら十万程行くのではないだろうかと言うくらいデカい。
ホルスの街は、ダンジョンの裏側には一般人は立ち入れない様になっており、各国のもその辺りは一切の軍事拠点等を構える事を禁止する条約を取り決めている。
これは、各国が目の届かないところて勝手にダンジョンの入口等を増やされても困るだとかそう言う理由らしいが、詳しい事は分かっていない。
そんな理由がある為、ホルスの街は、ダンジョンから片側、ダリス領側から見ると右側にしか街を作る事が出来ず、今俺達は、ダンジョン近くの入口付近に居るが、そこから街の外壁は数キロに渡って存在しており、ハッキリ言って全容はここからでは掴みきれない。
外壁の外側にもズラリと建物が並んでおり、ホルスの街の中と外の境界線が分からなかった。
「この外側もホルスの街って事でいいんだよな?」
「あぁ、ここ数年は日に日にホルスに来る奴らが増えてるらしくってな。そんなもんだからとてもじゃ無いが間に合わなくて、外壁の移築何てもう何年もやってねぇって話だ」
俺の問いにドエインが答える。
そうなると、やはりこのホルスの街の人口は数万では効きそうに無かった。
「とりあえず宿取って落ち着いて今後の方針とか決めるか」
「おいおい、外壁の内側は勿論だが、外側の宿だって入れるか分からんぞ?」
「あ、そうなの?」
そんな事まったく想定していなかったのでどうしようか悩む。
「一時的な寝泊まりはキャンプを設置出来る所が、街の一番奥にあった筈だぜ」
そう言ってドエインはダンジョンとは反対側の街の遥か先を指差す。
いやぁ、ダンジョンからどれだけ離れてんだよ、面倒臭い・・・
「・・・いいよ、とりあえず外壁の内側の宿を探そう」
「いやいや、絶対空いてねぇって!」
「空いて無かったら空きを作ればいいだろ」
「はぁ?どうやって―――って、旦那なら可能なのか・・・」
「まぁ、そう言う事」
ドエインも漸く慣れて来た様で、それ以上は何も言わなかった。
俺達は先ずは拠点となる宿を探すべく、ホルスの街の内郭部へと馬を進めた。
外壁の外側の外郭部は外壁の外側にあると言うだけで、建物自体は比較的新しいく出来た物の為、なんと言うか、スラム街と言うよりは本当に普通の街並みだった。
街中の道自体はちゃんと整備されており、今も尚拡張工事がされている様子が見受けられる。
ドエインの説明によると、ホルスの街の作りはダンジョンに近い程立地が良いとされ、ダンジョン近辺は全て、軍関連の施設が締めているらしかった。
これはダリス、エバンシオ王国側、ハイスタード帝国側も変わらないらしい。
その軍事施設がある区画を零番街として、そこからダンジョンから離れる毎にある一定の感覚で区切って、壱番街、弍番街、参番街と続いていく様だ。
ちなみに、外壁の内側は内壱番街、外側は外壱番街と言うカタチで区切っており、外壁に一定の間隔で色の違う石材を使って区画の境界を示しているらしく、更に分かりやすく、その境界を示す辺りの外壁の上に壱、弍、参と数字が書かれた看板のような物が掲げられているらしい。
「それと、内側にダリス、エバンシオ側と、帝国側の領土を隔てる境界があるから、絶対にそれを超えるなよ」
「その境界線は見て分かるのか?」
「あぁ、見れば分かる。外壁とまではいかないが、バリケードがずっと奥まで張り巡らされてるからな」
ダンジョンの丁度中央あたりから、街の端までをバリケードで隔てて、それを境界線としているらしいが、何とも危うい境界だと思わずにはいられなかった。
だってそうだろう。バリケード程度の物などその気になれば飛び越える事が可能な、防衛面で見れば何の役にも立たない代物だ。
つまり、ハイスタード帝国が今その気になって仕掛けて来たら、侵入を防ぐ手立てが無いと言う事だ。
勿論、そう言った事への対応を含めて軍は常に警戒して、防衛網なりを敷いているんだろうが、奇襲された場合の初手としては完全に後手に回るんだろうなと思った。
ただそれは、ハイスタード帝国側にも言える事で、条約やその他、暗黙の了解と言うか現地でのローカルルール的な物の上に成り立ついつ崩壊するか分からない代物な気がしてならなかった。
別に今はそんな戦争のゴタゴタに付き合う気も無いし、俺達が滞在中にいきなり何年も小康状態だったものが大きく動くかと言われると首を傾げざるを得ないのも確かだった。
「とりあえず、何番街くらいまでが一等地なんだ?」
「さぁ、伍番街辺りなんじゃねーか?」
「・・・お前、適当に言ってるだろ?」
「だ、だってしょうがねぇじゃねぇか、俺は別にホルス方面担当じゃ無く、北の関所担当だったんだぜ!?」
「まぁ、それもそうか」
一区画も結構な大きさがあるので、とりあえずは壱番街から順に奥へと探して行く事にしようと思っていたが、それもドエインにより待ったが掛けられた。
「そりゃ無駄だぜ。内壱番街から内参番街くらいまでは貴族の別宅やら大商家の事務所やらばっかりだと思うぜ」
「あー、なるほど・・・」
そうなると、肆番街以降かとも思ったが、伍番街、陸番街とかよりも、外壱番街の方が価値が高いんじゃないかと思い始めた。
だって、外壁があるか無いかってだけだし、外壱番街の方がダンジョンからの距離で考えたら近い訳だし
案の定、ドエインに確認するとそうらしいので、もう自力で探し回るより、俺が情報収集して一番条件の良さそうな場所を探して宿を直接取るのが一番速いと判断した。
アリシエーゼ達にそれを伝え、俺は一先ず、外壱番街から当たることにした。
俺について行きたいとアリシエーゼはごねたが、丁重にお断りしておいた。
「な、何か疚しい事でもするつもりじゃろ!?―――あッ、待て!無視するなッ」
阿呆を相手にしている暇なんてねぇんだよ
丁度、外壱番街と外弍番街の間に居たので、馬を預けて俺は駆け出す。
先ずはここに長く居そうな傭兵とかを当たるか
直接話すと、新参者等と思われるとガセを掴まされる可能性もある為、直接情報を抜きだすつもりで外壱番街に入る。
サッと見渡し、ここで一番古参の傭兵団の事務所や生活をする建物の場所の情報を抜き取りつつ、その情報を元に歩を進める。
色々と商店等を見てみたい所であったが、まずは拠点を確保してからだと自分に言い聞かせて、辿り着いた建物は石造りのかなり大きな建物の前だった。
「なになに、龍の尻尾・・・うわぁ、ベッタベタじゃん」
一階の中央に大きな扉が備え付けられており、その扉の真上に、木製の横長の看板が取り付けられていて、そこにこの建物のを所有している傭兵団の団名が刻まれていた。
龍の尻尾がなんぼのもんじゃい!と俺は勢い良く中央の両開きの扉を押し開いて建物の中に入った。
「・・・おぉッ、なんじゃこりゃ!」
建物の中に入ると、そこは俺の想像する傭兵団の事務所とはまったくの別世界が広がっていた。
俺は、傭兵団の事務所なんだから、中には屈強な男共が中に詰めており、昼間っから酒を浴びながら飲んで、下品な笑いを響かせていて、俺が入ってくるなりどこの団のもんじゃい!とか言って絡んでくるのを想像していた。
次いでに、ダーツの的があって、投げ矢の代わりにナイフを投げているイメージも付け足しておく。
それが、正反対と言うか何と言うか・・・
一言で言うならば冒険者ギルドの様相を呈していた。
入って左側の壁に大きな掲示板の様なものが三つ並べられており、そこには木板に書かれた依頼書の様なものが無数に掲示されている。
右側はL字型のカウンターテーブルが設置されていて、カウンターの中には三人の受付嬢の様な女性が居り、そこで傭兵風の者達と何やら色々と話をしていた。
これで、一階部分の約、四分の一程で、カウンターと掲示板の奥には事務作業だろうか、そんな事をしていそうな、此方は男女混じった人達が木製の机を並べて八人程居て忙しなく作業を行っている。
これで一階の半分程で、残りはカウンターの後ろに部屋等がありそうだが、扉が閉じられおり、中がどうなっているのかは確認出来なかった。
「完全に冒険者ギルドだろ・・・」
呆気に取られていたが、本来の目的を思い出し、俺は右側の受付の様な場所の列に並んだ。
俺の前に五人並んで居たが、受付嬢が一人又は一組に費やす時間はマチマチではあるものの、次に呼ばれる番になったので、そこまで掛かる物では無いんだなと思った。
そしてここで気付く。
あれ、何で並んでるんだ?
情報引き出すだけなら、別に並ぶ必要無くね?
やっちまったと思ってる所でお呼びが掛かったので、仕方無くそちらに向かう。
カウンターの一番奥の女性が手を上げているので其方に歩き出すと、急に右肩を引かれてたたらを踏んだ。
「おっと・・・」
そうしている隙に後ろから男が俺を追い抜き、手を挙げていた女性の元に向かって行った。
え、なに??
一瞬、何が起こったのか理解出来なかったが、どうやら俺はかなり強引に追い抜きと言うか、横入りをされた様だった。
これは、初冒険者ギルドに行ったら、先輩冒険者に絡まれた異世界転移者イベントって事でいいよな?
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