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第5章:帝国と教会使者編
第219話:アイアンクロー
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「全然見付からないじゃない・・・」
「・・・俺に言うなよ」
「腹減ったのう」
俺達三人は、オルフェの街に入り、超巨大要塞型馬車ゴリアテを停めておける良い感じの宿屋を探して彷徨っている最中で、彼此一時間以上は歩き回っている。
「宿屋の情報は事前に入手は出来るんだが、あの巨大なゴリアテを入れておけるかどうかってのはハッキリと情報として入手出来ないから一々、直接確認しに行かないと駄目なのがなぁ・・・」
そう、その辺を歩いている一般人から兵士、商人に宿屋の従業員と色々な人達から宿屋の情報自体は入手出来てはいるのだが、結局あの巨大やゴリアテが実際に入るかどうかと言う明確な答えはその人達では持ち得ていない為、宿屋の情報から直接足を運んで確認しに行き、無理だと言われたりなんだりを現在のところ繰り返している。
「もう十軒以上は回ってるわよ・・・」
「そんな事より妾は腹減ったのじゃ」
「でもまだ北側しか確認してないだろ。この街はすげぇ広いから別の方にはあるかも知れないけど、それを確認して回るってなると・・・」
「「うーん・・・」」
アリシエーゼを敢えて無視しつつ俺とイリアは唸る。かなり面倒臭いし時間も掛かるが、オルフェの街を隅々まで探すしかないかと考える。
ゴリアテは移動や野営時は非常に重宝するけど、こう言う時は不便と言うか、融通が効かないと言うか、そもそもあんな巨大な馬車の通行や宿屋の馬車預りが考慮している訳が在らず、少し考えればそう言った事は懸念事項として挙げるべきだったのだが、皆浮かれていたし圧倒もされていたしで、そんな事は一片たりとも話題には上がらなかった。
「のう、彼処の露店は何を―――」
「もう少し探す?」
「どうするかな・・・彼奴らを彼処であまり待たす訳にもいかないし」
「あッ、見るのじゃ!彼処は露店が集合していて外で食べられる様になっておるぞ!まるでフードコート―――」
「でも、そうすると街の外で野営する事になるわよ?魔界の近くにキャンプを張れる様な場所があればいいけど・・・」
「だよなぁ・・・そう言う場所があったとして、あのデカいの運び込んで大丈夫なのかどうか―――」
「なんじゃぁああ!!お主らなんじゃぁああああ!!」
あからさまにアリシエーゼを無視してイリアと二人で会話をしていると、遂に我慢の限界を迎えたのか、地団駄を踏みながらアリシエーゼがキレる。
「煩ぇッ、お前が何なんだよ!?お前は何しに着いて来たんだ、うん?」
一般人がかなり多い目抜き通りで、子供の様に駄々を捏ね出すアリシエーゼに俺も周囲の視線等は無視して反論し、ついでに右手でアリシエーゼの顔面を掴みアイアンクローをカマす。
「――んごッ、あがが・・・痛いッ、痛いのじゃッ」
アリシエーゼは俺の手の中で藻掻くが、俺はまだ言い足りない。
「黙れ。何もしないならそれで構わないが、静かにしてろ。分かったか」
「ぃッ、ぎぃ!?わ、わわ、分かったのじゃ!痛いッ、へ、変な音が顬から聞こえてるのじゃ!?」
アリシエーゼからメキメキと音をさせると、泣きが入りながら了承するので漸く解放する。
解き放たれたアリシエーゼは目に涙を浮かべながら顬を摩っている。
「ッたく、今はお前の腹の具合に付き合ってる暇はねぇんだよ」
「――お主、本気で妾の頭潰そうとしておったな・・・?乙女にする仕打ちでは無いぞ」
乙女はな、お前みたいに食いしん坊じゃねぇんだよ
「何やってるのよアンタ達・・・そんな事やってる暇ないでしょうが」
え、俺も同罪!?
イリアは俺とアリシエーゼ双方にジト目を向けて言うが、納得がいかなかった。
俺はアリシエーゼを窘めただけであって、決してアリシエーゼと一緒に騒いでいた訳では無い。
「何で俺まで悪い事になってんだよ・・・」
「そんな事どうでもいいわよ。それよりも決めましょう。このまま条件が合う宿屋を探すか、他の方法を考えるか」
オルフェの街はかなり広い。もしかしたら条件に合う宿屋は探せば見つかるかも知れないが、全てを回るなどやっていたら日が暮れてしまう。
「とりあえず一回戻るか?皆で相談して何か方法を考えて―――」
「お主ら阿呆かのう?」
俺とイリアの会話にアリシエーゼは横から口を出して来るが・・・
お前の方が阿呆だと思うぞ・・・
とは口には出さないでおいた。俺が心の中でディスっているのを察したのか、アリシエーゼが俺を睨むがその視線を態とらしく逸らして続きを促した。
「な、何か案でもあるのか?」
「――まぁ、良いか。案と言うかじゃな、別に必ずしも宿屋を借りる事もあるまい?」
アリシエーゼは呆れた表情をしながら、俺とイリアに語る。
宿屋が無理ならば、屋敷なり何なりを借りれば良いと。屋敷ならば庭等に馬車を停めておけるスペースがあったり、そもそも厩舎の様なものが付いてる物件もあるだろうと。
「・・・確かにそうだな」
「じゃろ?中古物件なり賃貸物件を扱っておる業者の所へ行き、条件を伝えれば勝手に見繕ってくれるのじゃから態々歩いて探し回らなくても良かろう」
「ってか、この世界に不動産業とかあるの・・・?」
「あるじゃろ、何言っとるんじゃ」
「・・・・・・」
アリシエーゼ曰く、この世界にも不動産を取り扱う業者は存在するとの事であった。
この世界には、一軒家だけでは無く、アパートの様な集合住宅も存在しているのは知っているが、そう言えば、それらは住人が一部屋を買っているのか借りているのかって言う事は疑問に思わなかったなと思い出す。
普通に考えたら賃貸だと思うけど、疑問にすら思わなかったな・・・
「賃貸物件とか、中古の一軒家とかを扱ってるのか、この世界の不動産屋は?」
「うむ、じゃが気を付けなければいけない事もあるのじゃ―――」
例えば国から領地では無く、例えば屋敷だとか敷地を下賜されている物もあるし、その場合は通常の不動産屋とかに出回る事は無く、下賜された貴族等が例えば跡取りなどに恵まれず誰も引き継ぐ事が無かった場合は国へと返還されたりするので、一応気を付けないといけないらしい。
また、基本的に街中の土地はその土地の領主の持ち物であり、貴族や金持ちの商品などが土地を購入する場合はその領主の許可が必要となる。
その場合の代金など稀にローンの様に分割払いにしている事もあり、その返済途中で飛んだりした場合は、残債務を引継いだりしないといけない事もあったりするのだとか。
その他にも、土地と建物を中古で購入する場合は色々と気にしないといけない様だった。
「なら、やっぱり賃貸の方が俺達にとっては都合が良いんじゃないか?」
「そうじゃな。貸主を気を付ければ基本的には大丈夫じゃろ」
「なら早速―――」
「ちょっと待ちなさいよ。私達別に帝国民でも何でも無いのよ!?借りられる訳無いでしょ!」
「そうなの?でも、屋敷を賃貸で借りるとかフリーの傭兵ならありそうじゃないか?」
「それはその国に根を張って、ちゃんと評価されてるとか、認定されてる傭兵団の団員なら可能ってだけでしょ!」
「え、そうなの?」
「いや、知らん」
イリアの言葉を受け俺はアリシエーゼに確認を取ってみる。
「そうなのよッ、フリーのいつ自国の敵となるかも分からない奴にそんな屋敷なんて貸す訳ないでしょ!?」
イリアが言うには、アパートの様な集合住宅など傭兵向けのものは存在しているらしいが、そうでは無く貴族が住む様な屋敷等は借りれないとの事なのだが・・・
「何でお前が知ってるんだよ?お前ずっと王国に居ただろうが」
「そんなの王国だろうが帝国だろうが変わらないわよッ」
むむッ、それは確度の無い、イリアの先入観が入った情報では無いか?
などと思ったりはしたのだが、そんなの正直どうでも良かった。
「あのなぁ、一体何が問題なんだ?」
「何がって、アンタ―――ぁ」
漸く理解した様だ。俺とアリシエーゼは元々そのつもりであったが、俺の能力を使えばイリアが言った様な事もそれ以外も特段問題は無い。
よろしくねーで全て済むのだ。
「アンタ本当にズルいわよ、それ・・・」
「なんでだよ」
理解して尚、イリアはブツクサ言っていたが俺達はそうと決まれば善は急げとばかりに良さげな不動産業者を探して、良さげな物件を紹介して貰い契約をした。
全てマルっと俺の能力で解決したのだが、とりあえず全員分の個室有りで、庭または厩舎が広いを最低条件として、その他貸主や立地等を考慮した結果、西門から差程離れていない場所の屋敷を契約した。
西魔界はオルフェの街の北西に位置しており、西門か北門から向かう。
また、西門の付近は魔界から近い事もあり、傭兵が多く集まる為、傭兵に向けた衣食住の店等が多く立ち並んでいる。
因みに北門も魔界に近いが、こちらは軍関連の施設が多く立ち並んでいる様だ。
なので、屋敷や集合住宅を借りて生活をする傭兵も数多く存在するし、傭兵向けの宿屋も多く点在しているが、軽く確認した感じだとゴリアテを預けられる様な宿屋は存在していなかった。
「アンタろ本当に無茶苦茶ね・・・」
全ての契約を済ませて、仲間達が待つ南門まで戻っている最中だが、呆れた様に呟くイリア無視しつつ今後について考えてみる。
拠点は確保したから、生活に必要な物を揃えつう先ずは情報収集かな
他の傭兵団がどういう攻略法を取っているのか、そもそも西魔界についての情報も殆ど無いので、この辺りは入念に下調べは必要だろう。
同じ轍は踏まない
そう決心しながら自分の中で密かに気合いを入れ直す。
そんな俺の心情を知ってか知らずかアリシエーゼが徐に口を開く。
「のう、あの屋敷でコックを雇わんか?」
コイツ・・・
「・・・俺に言うなよ」
「腹減ったのう」
俺達三人は、オルフェの街に入り、超巨大要塞型馬車ゴリアテを停めておける良い感じの宿屋を探して彷徨っている最中で、彼此一時間以上は歩き回っている。
「宿屋の情報は事前に入手は出来るんだが、あの巨大なゴリアテを入れておけるかどうかってのはハッキリと情報として入手出来ないから一々、直接確認しに行かないと駄目なのがなぁ・・・」
そう、その辺を歩いている一般人から兵士、商人に宿屋の従業員と色々な人達から宿屋の情報自体は入手出来てはいるのだが、結局あの巨大やゴリアテが実際に入るかどうかと言う明確な答えはその人達では持ち得ていない為、宿屋の情報から直接足を運んで確認しに行き、無理だと言われたりなんだりを現在のところ繰り返している。
「もう十軒以上は回ってるわよ・・・」
「そんな事より妾は腹減ったのじゃ」
「でもまだ北側しか確認してないだろ。この街はすげぇ広いから別の方にはあるかも知れないけど、それを確認して回るってなると・・・」
「「うーん・・・」」
アリシエーゼを敢えて無視しつつ俺とイリアは唸る。かなり面倒臭いし時間も掛かるが、オルフェの街を隅々まで探すしかないかと考える。
ゴリアテは移動や野営時は非常に重宝するけど、こう言う時は不便と言うか、融通が効かないと言うか、そもそもあんな巨大な馬車の通行や宿屋の馬車預りが考慮している訳が在らず、少し考えればそう言った事は懸念事項として挙げるべきだったのだが、皆浮かれていたし圧倒もされていたしで、そんな事は一片たりとも話題には上がらなかった。
「のう、彼処の露店は何を―――」
「もう少し探す?」
「どうするかな・・・彼奴らを彼処であまり待たす訳にもいかないし」
「あッ、見るのじゃ!彼処は露店が集合していて外で食べられる様になっておるぞ!まるでフードコート―――」
「でも、そうすると街の外で野営する事になるわよ?魔界の近くにキャンプを張れる様な場所があればいいけど・・・」
「だよなぁ・・・そう言う場所があったとして、あのデカいの運び込んで大丈夫なのかどうか―――」
「なんじゃぁああ!!お主らなんじゃぁああああ!!」
あからさまにアリシエーゼを無視してイリアと二人で会話をしていると、遂に我慢の限界を迎えたのか、地団駄を踏みながらアリシエーゼがキレる。
「煩ぇッ、お前が何なんだよ!?お前は何しに着いて来たんだ、うん?」
一般人がかなり多い目抜き通りで、子供の様に駄々を捏ね出すアリシエーゼに俺も周囲の視線等は無視して反論し、ついでに右手でアリシエーゼの顔面を掴みアイアンクローをカマす。
「――んごッ、あがが・・・痛いッ、痛いのじゃッ」
アリシエーゼは俺の手の中で藻掻くが、俺はまだ言い足りない。
「黙れ。何もしないならそれで構わないが、静かにしてろ。分かったか」
「ぃッ、ぎぃ!?わ、わわ、分かったのじゃ!痛いッ、へ、変な音が顬から聞こえてるのじゃ!?」
アリシエーゼからメキメキと音をさせると、泣きが入りながら了承するので漸く解放する。
解き放たれたアリシエーゼは目に涙を浮かべながら顬を摩っている。
「ッたく、今はお前の腹の具合に付き合ってる暇はねぇんだよ」
「――お主、本気で妾の頭潰そうとしておったな・・・?乙女にする仕打ちでは無いぞ」
乙女はな、お前みたいに食いしん坊じゃねぇんだよ
「何やってるのよアンタ達・・・そんな事やってる暇ないでしょうが」
え、俺も同罪!?
イリアは俺とアリシエーゼ双方にジト目を向けて言うが、納得がいかなかった。
俺はアリシエーゼを窘めただけであって、決してアリシエーゼと一緒に騒いでいた訳では無い。
「何で俺まで悪い事になってんだよ・・・」
「そんな事どうでもいいわよ。それよりも決めましょう。このまま条件が合う宿屋を探すか、他の方法を考えるか」
オルフェの街はかなり広い。もしかしたら条件に合う宿屋は探せば見つかるかも知れないが、全てを回るなどやっていたら日が暮れてしまう。
「とりあえず一回戻るか?皆で相談して何か方法を考えて―――」
「お主ら阿呆かのう?」
俺とイリアの会話にアリシエーゼは横から口を出して来るが・・・
お前の方が阿呆だと思うぞ・・・
とは口には出さないでおいた。俺が心の中でディスっているのを察したのか、アリシエーゼが俺を睨むがその視線を態とらしく逸らして続きを促した。
「な、何か案でもあるのか?」
「――まぁ、良いか。案と言うかじゃな、別に必ずしも宿屋を借りる事もあるまい?」
アリシエーゼは呆れた表情をしながら、俺とイリアに語る。
宿屋が無理ならば、屋敷なり何なりを借りれば良いと。屋敷ならば庭等に馬車を停めておけるスペースがあったり、そもそも厩舎の様なものが付いてる物件もあるだろうと。
「・・・確かにそうだな」
「じゃろ?中古物件なり賃貸物件を扱っておる業者の所へ行き、条件を伝えれば勝手に見繕ってくれるのじゃから態々歩いて探し回らなくても良かろう」
「ってか、この世界に不動産業とかあるの・・・?」
「あるじゃろ、何言っとるんじゃ」
「・・・・・・」
アリシエーゼ曰く、この世界にも不動産を取り扱う業者は存在するとの事であった。
この世界には、一軒家だけでは無く、アパートの様な集合住宅も存在しているのは知っているが、そう言えば、それらは住人が一部屋を買っているのか借りているのかって言う事は疑問に思わなかったなと思い出す。
普通に考えたら賃貸だと思うけど、疑問にすら思わなかったな・・・
「賃貸物件とか、中古の一軒家とかを扱ってるのか、この世界の不動産屋は?」
「うむ、じゃが気を付けなければいけない事もあるのじゃ―――」
例えば国から領地では無く、例えば屋敷だとか敷地を下賜されている物もあるし、その場合は通常の不動産屋とかに出回る事は無く、下賜された貴族等が例えば跡取りなどに恵まれず誰も引き継ぐ事が無かった場合は国へと返還されたりするので、一応気を付けないといけないらしい。
また、基本的に街中の土地はその土地の領主の持ち物であり、貴族や金持ちの商品などが土地を購入する場合はその領主の許可が必要となる。
その場合の代金など稀にローンの様に分割払いにしている事もあり、その返済途中で飛んだりした場合は、残債務を引継いだりしないといけない事もあったりするのだとか。
その他にも、土地と建物を中古で購入する場合は色々と気にしないといけない様だった。
「なら、やっぱり賃貸の方が俺達にとっては都合が良いんじゃないか?」
「そうじゃな。貸主を気を付ければ基本的には大丈夫じゃろ」
「なら早速―――」
「ちょっと待ちなさいよ。私達別に帝国民でも何でも無いのよ!?借りられる訳無いでしょ!」
「そうなの?でも、屋敷を賃貸で借りるとかフリーの傭兵ならありそうじゃないか?」
「それはその国に根を張って、ちゃんと評価されてるとか、認定されてる傭兵団の団員なら可能ってだけでしょ!」
「え、そうなの?」
「いや、知らん」
イリアの言葉を受け俺はアリシエーゼに確認を取ってみる。
「そうなのよッ、フリーのいつ自国の敵となるかも分からない奴にそんな屋敷なんて貸す訳ないでしょ!?」
イリアが言うには、アパートの様な集合住宅など傭兵向けのものは存在しているらしいが、そうでは無く貴族が住む様な屋敷等は借りれないとの事なのだが・・・
「何でお前が知ってるんだよ?お前ずっと王国に居ただろうが」
「そんなの王国だろうが帝国だろうが変わらないわよッ」
むむッ、それは確度の無い、イリアの先入観が入った情報では無いか?
などと思ったりはしたのだが、そんなの正直どうでも良かった。
「あのなぁ、一体何が問題なんだ?」
「何がって、アンタ―――ぁ」
漸く理解した様だ。俺とアリシエーゼは元々そのつもりであったが、俺の能力を使えばイリアが言った様な事もそれ以外も特段問題は無い。
よろしくねーで全て済むのだ。
「アンタ本当にズルいわよ、それ・・・」
「なんでだよ」
理解して尚、イリアはブツクサ言っていたが俺達はそうと決まれば善は急げとばかりに良さげな不動産業者を探して、良さげな物件を紹介して貰い契約をした。
全てマルっと俺の能力で解決したのだが、とりあえず全員分の個室有りで、庭または厩舎が広いを最低条件として、その他貸主や立地等を考慮した結果、西門から差程離れていない場所の屋敷を契約した。
西魔界はオルフェの街の北西に位置しており、西門か北門から向かう。
また、西門の付近は魔界から近い事もあり、傭兵が多く集まる為、傭兵に向けた衣食住の店等が多く立ち並んでいる。
因みに北門も魔界に近いが、こちらは軍関連の施設が多く立ち並んでいる様だ。
なので、屋敷や集合住宅を借りて生活をする傭兵も数多く存在するし、傭兵向けの宿屋も多く点在しているが、軽く確認した感じだとゴリアテを預けられる様な宿屋は存在していなかった。
「アンタろ本当に無茶苦茶ね・・・」
全ての契約を済ませて、仲間達が待つ南門まで戻っている最中だが、呆れた様に呟くイリア無視しつつ今後について考えてみる。
拠点は確保したから、生活に必要な物を揃えつう先ずは情報収集かな
他の傭兵団がどういう攻略法を取っているのか、そもそも西魔界についての情報も殆ど無いので、この辺りは入念に下調べは必要だろう。
同じ轍は踏まない
そう決心しながら自分の中で密かに気合いを入れ直す。
そんな俺の心情を知ってか知らずかアリシエーゼが徐に口を開く。
「のう、あの屋敷でコックを雇わんか?」
コイツ・・・
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