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プロローグ
奥山市
しおりを挟む奥山市。
それは日本のどこかに存在する町だ。
名前の通りド田舎で、山と海に囲まれている。
山と海の自然の香りに包まれて、というと聞こえはいいが、要するに生臭い変な匂い。特に雨上がりは最悪だ。
この町では、事件が起こることが少なく、殺人事件なんて尚更だ。
綾根山という活火山があり、温泉街が栄え、標高は富士山に劣るが観光客の数は富士山に劣らない(?)。
つまり、この町は観光業という第三次産業でなんとか食いつないでいるわけだ。
そんなド田舎な町のなかでも一番都会っぽく、ゲーセンやマックなんかもある商店街にちょっと見た目は喫茶店に似ている探偵事務所がある。
それもそのはず、昔喫茶店をやっていたが廃業し、そこにほぼ内装そのままに安価でそこを事務所としているためだ。
若者が一人、その事務所の前で呟いた。
「ウーン・・・住所はここなんだけど、ホントにここなのかなぁ?」
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