風紀委員長は××が苦手

乙藤 詩

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混沌を極める2学期

四十九話

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本部席で悶々と考え込んでいた正木が意識をふと浮上させるもいまだに校長の話が長々と続いていた。チラッと隣の流を見ると、とても退屈そうな顔で校長の話を聞いていた。
正木はふと思い立ち、横にいる流に話しかけた。
「なぁ、ちょっと変なこと聞くが、流は最近の柏木の事をどう思う?」
凄く唐突に、しかもこんな時に何故そんな質問をするのかと思わず眉を顰めた流だったが、思いの外真剣な正木の眼差しに、これが単なる世間話ではない事を察した。
以前は柏木に固執し、片時も側を離れたくないと思っていた流だったが、1学期のテストを機に何処か柏木と距離ができているように感じていた。その事実を正木に伝える。
「僕も前程、葵と過ごすこともなくなったのでよく分かりませんが、正木と衝突したあたりから少し壁を感じるようになりました。」
「壁?俺が見る限り、そんな様子もないけどな。」
首を傾げる正木を見ながら少し寂しそうに流は言った。
「こんな事は思いたくないですが、あのテスト後の一件で葵の中で僕の役割は終わってしまったのかもしれません。」
まるで柏木が流を利用していたとでも言わんばかりの口振りに困惑しながら正木が口を開く。
「あいつは馬鹿正直なのが取り柄なのに、人を利用したりする筈がないだろ?」
「僕もそう思いたいんですけどね・・・」
含みを残した流の返答に正木の不安が一気に噴出する。
そしてそれと同時に一つの可能性が頭をよぎった。
もしも姫川や伊東がただの苦手意識で柏木を避けているのではないとしたら・・・
自分の知らないところで柏木が姫川と接触していたとしたら・・・
その考えに正木の心臓がドクドクと波打つ。そして、
「柏木が関係している言ったら、正木は信じるか?」
と、弱々しく正木にそう言った姫川の顔が唐突に思い浮かんだ。
あの時正木は姫川の言葉など碌に聞こうともしなかった。しかし、あれが姫川のSOSだったかもしれないと思うと、感情的にならずもっと真剣に耳を傾けるべきだったと今更ながら後悔が襲ってくる。それと同時に自分が信じていた柏木という人物像がガラガラと音を立てて崩れ去っていくような嫌な感覚に陥った。

「正木!ちょっと正木!」
恐ろしい思考に囚われていた正木は、焦った流に肘で小突かれ、漸く意識を浮上させた。気づけば校長の話も終わり、自分の挨拶の番がまわってきていた。
正木はじっとりと汗をかいて素肌にまとわり付くシャツや、自分の額を伝う嫌な汗を自覚しながらもマイクを持ってゆっくりと話し始めた。
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